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転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい  作者: ちょきんぎょ。
本編

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239/283

はるか久遠にあるもの

「……玖音の名前を知っているものが出た、か」


 正直なところ、それは予想していたことだった。

 転生の条件は、『元いた世界と魂の質が合っていない』こと。

 僕がいた世界は、玖音という家が世界のすべてを掌握している。

 あの世界では玖音がトップであり、玖音以外の生き物は搾取される側だ。

 そんな世界であるがゆえに、抑圧されている人間は多い。諦めている人間も多いけれど、死ぬ寸前まで玖音への憤りを、世界への悲しみを抱えているものも無数にいるのだ。

 歪みのある世界。であれば、転生者が生まれる可能性は十二分にある。だから僕は、はじめからこうなることは予期していた。ある意味で、完全な予定調和だ。


「……本来ならそのカウンターとして機能するはずのものがいたんだが、仕方ないね」


 転生者を殺すために作成した『黒曜』は、完全な失敗作だった。まさかあそこまでお花畑な思考を持ってしまうとは思わなかった。

 やはり、兵器に意思は必要ない。その考えを確信に変えるいいモデルケースではあったけれど、いかんせんあれには武装を詰め込みすぎた。

 おかげであれが反乱軍に渡った今、いらぬ苦戦を強いられている。


「しかし、反乱軍はここ最近、明らかに動きが甘い」


 それはつい少し前に、こちらがやったことだ。

 戦争が終わらない程度の戦争。確実に相手を滅ぼすための準備期間。王国を相手に、僕たちはそれをやった。

 反乱軍には僕の、クロガネ・クオンの造った兵器がある。今まで反乱軍に有効に使われていたそれの姿が、ここ最近ぱったりと見なくなっている。


「……だったら、切り札をそろそろ投入してくるだろう」


 反乱軍の虎の子、『黒曜』という切り札を、戦場へと投入する。

 それはすなわち、彼らが帝都を攻めるということだ。数も質も劣る反乱軍にとって使える手があるとすれば、それしかあるまい。

 決戦兵器、『黒曜』を中核に据えた一点突破による帝都陥落。それ以外に書けるシナリオはない。


「……ふふ」


 こぽ、という水音を確かめるようにして、僕はチャンバーの表面を撫でる。

 透明な液体にしずめられた鎧の色は、鮮烈なまでの紅。血の色のようで、ひどくあざやかだ。


「いいね。いい兵器ができた」


 この兵器はどれだけの死体の山を築くのだろう。

 殺した数が、僕の証明となる。帝王様の夢の礎となる。


「試させておくれよ、どこまでも」


 それができる世界を僕は望んだ。

 だからこそ、僕はあの世界で不適格だった。

 僕は、玖音として生まれるべきではなかったのだ。

 だからここだ。この世界で、僕は玖音として生まれ直す。

 ここが僕の戦場。夢を叶える場所。望んだ世界。


「玖音のことを知っているものが来るなら、それもいいだろうさ。僕がこの世界で、玖音として生きているかどうか……存分に見せてあげよう」


 自分の価値を定めるために、僕は操作パネルに手を伸ばした。

 新しい兵器の完成は、もうすぐだ。

どーもちょきんぎょ。です。




なろう版あとがきもそこそこ数が増えてきました……。


転生吸血鬼さん7巻に収録分はここまでになります。あとは書き下ろし2本くらい入ってるとおもふ。




ゆるゆるまったりとはいかなくなってきましたが、もう少しでこの旅も終わりです。前回から引き続いて三部作くらいのノリです。




そう。おわり。転生吸血鬼さん、もうすぐ終わります。


アルジェの旅路を、最後まで見届けていただけると嬉しいです。




それにしても、タイトルにTSを入れ忘れたことを4年間ずっと悔いていたりしますが、バランス的には悪いタイトルじゃないよなぁとか思うのでなんとも微妙ですね(今更)




今回はクロムちゃんが再登場してわちゃわちゃしました。子犬盗賊団もそうですが、なんだかんだでこういう初期のメンバーに再度光を当てるのが好きだったりします。


同時にそれは、終わりというゴールが見えてきたということでもありますが。




クロムちゃんが変わっていく過程とかも書いてみたかったんですが、やはりメインメンバーではないので書くことは出来ませんでした。あくまでこの物語は、アルジェの物語ですから。


ですがクロムちゃんが変わることで、間接的に時間の流れを表現はできたかなぁとか思います。




幸せに瞳を閉じられる時が、来るといいんですけどね。




今回もリアル含めて色々ありましたが、何やかんや皆様に支えられてここまで来れました。


転生吸血鬼さんの物語ももう三年~四年くらい続けさせてもらっています。私の創作人生もそろそろ14年目くらいですが、完結まで一番長いことかかった作品になってしまいそうですね。




しかもそれが書籍化して、今は7巻目。デビュー作をそこまで続けられたのも、無料で読めるなろう版だけでよしとせずに、お金を落として買ってやろうという選択をしてくださった、熱量のあるファンの皆様のおかげです。おかげでコミカライズも出来ました。


私を人気作家にしてくれて、アルジェを本にしてくれて、その旅を書籍という媒体で続けさせてくれて、本当にありがとうございます。


必ず次の最終巻、8巻はかならず出しますので、ここまで付き合ってくださった皆様はぜひ、お付き合い下さい。




もちろんなろう版だけ読んでまーすって人も、楽しんでくれれば嬉しいです。応援は本当に嬉しいものですから。飽き性の私では、きっとひとりで最後まで持ってこれないと思いますので。




積み重なったあれこれに答えを出して、安らかに眠るその日まで。


アルジェの旅は、もうちょっとだけ続きます。

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― 新着の感想 ―
[一言] TSはtenseiの一部ってことで
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