第四十話:実力の差
ギリ一週間で更新できました。
「ああ、そうだが……お前はあの裏切り者を知っているのか?」
「シード君は僕らの仲間だ」
「仲間……か。くだらんな、そんなものでは…何も救えはしない!!」
大将が大剣を後ろに構えた。そして、あの赤いオーラを放出した高速移動で、僕に接近する。僕は能力を水流操作に切り替え、柄だけの剣に氷の刃を作り、応戦する。
だが、大将の一閃は氷の刃を突き抜け、僕の頭を真っ直ぐに狙う。
「っぶな!」
頭を下げて大剣をかわし横に転がる。そのままだと、大将のタックルをくらってしまうからだ。だが、大将は、左足を軸に回転し追撃をしてくる。
何とか氷の壁を作り攻撃を防ごうとするが、壁は難なく突き破られ、大剣が僕の脇腹に直撃した。
「ッッツ!」
激痛が脇腹を襲い、僕は数メートルも吹き飛ばされた。
僕が今、リリアと一体化して肉体強化をしていなかったら、確実に致命傷だっただろう。
(何か、おかしかった)
さっきの氷の刃といい、氷の壁といい、大剣で叩き斬られたような感じではなかった。何か、もっと自然に………
『熱、じゃないですか?』
(え?)
『あの赤いオーラからは、熱が発せられている。それなら、全部説明がつくと思います』
(そうか、なるほど)
そう言えば大剣で切られたのに、僕の脇腹からは全然血が流れていなかった。焼いて傷を塞いでいたのだ。それに、激痛に誤魔化されて分からなかったけれど、僕の脇腹はかなり熱くなっていた。
「なら、こうする!!」
僕は能力を風力操作に切り替え、大将の上空に飛んだ。そして、そこで大きめの竜巻を作り、それを投げつける。
つまりは、氷で攻撃をしなければ良い。さらに大将は飛べないみたいだったから、空中は安全地帯だ。
「その程度か!!?」
大将は大剣にさっきの何倍もオーラを纏わせ、竜巻を真っ向から切り裂いた。そして、そのオーラは飛び道具となって僕に襲いかかる。
僕はそれを前進してかわし、さらに追撃を銜えるために後ろを振り向いた瞬間。
「その程度かと聞いている」
大将がオーラを放出し、僕の眼前に現れた。
「ッツ!」
僕は間一髪で風力操作を使って後ろに飛び退き、大将の回転切りをかわした。そして、能力を電撃操作切り替え、攻撃をして隙の出来た大将に電撃を放つ。
だが、大将の攻撃は終わっていなかった。オーラを放って僕に接近し、もう一度回転ギリを放とうとしていたのだ。
(ダメだ!切り替えが間に合わない!!)
能力を切り替える隙が無かった。たぶん大将もそれを狙ったのだろう。その大剣は僕の頭をしっかりと狙っていた。
(くそっ!)
だが、大将の大剣は僕の頭を切り裂くことはなく空を切った。
大将の大剣が僕にあたる寸前に背中に殴られたような痛みが広がり、僕が地面に落とされたのだ。
僕は知っている。距離を無視して殴る事が出来るこの魔法を。それを使う仲間を。
「ありがとう、サリー」
僕が立ちあがると、サリ-とシード君の背中が見えた。
「そんなのはいいから。いくよキリ君」
「このクソ親父を……ぶっ倒すぞ」
「分かった!」




