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水害被災者の皆様、暑い中、水も不十分で大変だと思います。蚊の発生に気をつけてください。不必要な水たまりがある場合は、ボウフラがわく前に水を捨てたり、穴を埋めてください。伝えることしか今できることがないのが心苦しいです。

 夕食を神殿で取ることになり、シルヴァン達を呼びに、外に出たアマーリエ。

「なんじゃこれ?ナイスバルク?」

 ポロリとボディビルの声援をこぼすアマーリエ。そう言いたくなるような様々なポーズのスタチューと化した冒険者の姿が子ども達と混じってそこここに。そして、鬼役の子の手の先には繋がれた囚われ人達が数人。

 ほのぼのといらぬ熱さが混在する空間に、目をこするアマーリエであった。

「いーーーち!にーーーーーーーい!三!お星様!」

「「「『!』」」」

 新たなポーズを取るスタチューな冒険者達。子ども達の方は普通に静止しているところを見ると、子どもなりに考えて、大人にはハンデ(難しいポーズを取ること)がつけられているようである。

「黒紅様!ピーちゃん!動いた!」

「ぴぃ」

『ぬぅ、よみそこのうた。シルヴァン!助けに来てたも!』

 囚われ人の先につながる、ひよこ載せ黒紅。シルヴァンは視線で黒紅の意志を受け取り、次に動く態勢にはいる。

「いくよ〜。一!二!さーーーーーーーん!おーほーしーさーまっ!」

「オン!」

「!一!二!……」

「おじちゃん逃げろー!」

「きゃー」

「五!六!……」

「しっかりしがみつけ!」

「ウオー」

「キャッキャ」

「……八、九、十!止まれ!」

 シルヴァンが囚われ人を開放し、鬼が数える間に冒険者が子どもを抱えて遠くに逃げる。どうやらそれもハンデのようである。

「真剣にやってんなぁ。おーい、そろそろ夕食だよ〜」

「「「「もうちょっと!」」」」

「明日やんなよ〜。お父さん達が迎えに来てるよ」

 遠巻きにしながらも、興味津々で子どもと冒険者達の様子を見ていた父親達。もちろん迎えに来ていたはずの兄や姉はスタチューゲームに混ざってしまっている。

 家で食事を用意して待ってるお母さん達に、角が生えかけていることは間違いないであろう。

 渋々解散して、明日また遊ぶ約束をする子ども達と冒険者であった。

「なんだかなー?」

「思ったより良い訓練なんだよ!この遊び!」

「いかに自分の体を使いこなすかが勝負だからな!」

「避難の時に人を担いでどれだけ走れるかわかっていい!」

 首をかしげるアマーリエに、近くに居た冒険者が言い訳を始める。

「いや、まぁ、そうなんですけど」

 外遊びも内遊びも子どもの成長に必要なことと、決して否定する気はないアマーリエ。大人の運動不足やとっさに頭を使う力も培われるため、大人がやっちゃダメとも思わないのだが。前世のあれこれをつらつら思い出しつつ、先程の冒険者のスタチューぶりに吹き出しそうになるアマーリエ。

「大人がやっちゃいけないなんて法律はないぞ!」

「そりゃ、大人がやる大会もありますけどね」

「「「「あるんだな!?」」」」

「あ」

 うっかり前世のかくれんぼ世界大会やケイドロを思い出して、口にしてしまったアマーリエ。その後、どういうことか聞き出され、何故か近辺の村と合同でかくれんぼ大会が開催されることになる。

「何故こうなったし?ううう、また、準備しなきゃいけなくなったし。自分の口の軽さが恨めしいー」

 ブツブツいいながらも、後日、真剣勝負の鬼ごっこ大会を真面目に村役場の人達と協議、準備することになったアマーリエであった。


 神殿での夕食後、シルヴァンと黒紅と一緒に帰るアマーリエ。道々、二匹から今日どんな事があったかを聞かされながら、明日からのことを考える。

「オン!」

「ほぼ鬼ごっことかくれんぼで終わってる気がするが?一応スキルを使った高度な訓練なのか?わかんないからそういうことにしとくか……」

『調薬の手伝いもした!』

 黒紅の自信満々の言葉と、シルヴァンからの画像念話を見て首を傾げるアマーリエ。

「ん?カレー粉を調合してたの?ヴァレーリオ様?」

「オンオン!」

「カレーの会の次のお題は、独自のカレー自慢とな?いつの間にそこまでレベルアップしたんだ?」

 カレーの会に自分からは入会していない、特別名誉会員(無理やり)のアマーリエ。カレーの会の会員達の進歩に呆れるやら感心するやら。

「オンオン!」

『妾もかれーを作りたいのだが?』

「そりゃ別に構わないけど」

『やった!』

「ただなぁ、精霊ちゃんみたいに美味しいのに変な物質になるのだけは避けたい。あれって有り余る魔力のせいなんだろうか?南の魔女様に聞いたほうがいのかなぁ?」

 一緒に作るつもりなので、カレーがまずくなるという方向には考えが向かないアマーリエ。むしろ魔力の多さで想定外が起こることの方を懸念する。

「キュウ」

 昨日の冒険者達の失神状況を思い出して震えるシルヴァン。

『どうであろうな?あれはよう妾にもわからぬ。じゃが、妾には基本からしっかり教えてたも!』

「うん。そうしよう。様子見ながら一緒につくろうね(南の魔女様も呼んじゃえ)

 字面のままの意味で魔改造カレーにならないよう心に誓うアマーリエであった。

『ウム!』

「オン!」

 のんびり初夏の風になりつつある外の空気を楽しみながら家路をたどる、二匹と一人。

「ま、訓練も楽しそうでよかったよ。シルヴァン、冒険者ギルドに依頼出してるから、子ども達と一緒にベリーを摘んできてくれる?」

「オン!」

『妾は?』

「黒紅ちゃんも、冒険者登録してシルヴァンとパーティー組む?」

『やるぞ!』

「うんうん。黒紅ちゃんとシルヴァンならダンジョンも行けるだろうし、村の子達と簡単な依頼もこなせると思うんだ」

「オン!」

「一年内に昇級試験受けないといけないしね」

「オウ……」

 あっという顔をしてアマーリエを見るシルヴァン。

「やっぱり忘れてたな。そんなわけで、これからは冒険者ギルドにも顔を出して、どんな風に依頼を受けて達成したらいいのか、ミルフィリアさんとも相談するようにね」

「ワウ」

『妾も頑張るぞ!』

「黒紅ちゃんは、力入れすぎないこと」

『うっ、わかったのだ、主』

「さて、今日は明日に備えて早めに寝るぞ!」

「ワウー」

『おう!』

 そんなこんなで、黒紅を隣家に届けに行くアマーリエとシルヴァン。

「こんばんは~」

『ただいまなのじゃ』

 辰砂が玄関へ出てきて黒紅を抱っこする。

「あらパン屋さん!お帰りなさい、紅ちゃん」

『あ!父上!ただいまなのじゃ!』

「お帰り、黒紅。パン屋さん、朝食ありがとう。お礼に魔の山で採ってきたベリーを一籠どうぞ」

 漆黒から、大人の拳ぐらいあるラズベリーの入ったかごを手渡されるマーリエ。

「おお!?すごいベリーがでかい!そしてなんかもやってしてる!?」

「魔力をいっぱい溜め込んでるからね。パン屋さんには、ちょうどいい魔力の補給源になるよ。我々にはちょっとしたおやつ程度だが」

「へー、ありがたくいただきます。じゃあ、また明日、黒紅ちゃんをシルヴァン達が迎えにくと思いますので」

「よろしく頼むよ」

『主!シルヴァンもおやすみなのじゃ!』

「おやすみ黒紅ちゃん。漆黒さんも辰砂さんもおやすみなさい」

「オンオン!」

「「おやすみ」」

 古代竜達と別れて、パン屋に戻るアマーリエとシルヴァン。アマーリエは、しげしげと籠のラズベリーを見て、何にしようか考える。

「オン!」

「ああ、ジャムね。パンに塗って食べたり、ヨーグルトと食べても美味しいもんね」

「ワウワウ」

 しっぽをふりふり、アマーリエの周りを飛び跳ねるシルヴァンに落ち着くようにいう。

「はぁ、今日は平和な一日だった!毎日こうだといいなぁ」

「オン!」

 こうしてアルバン村の夜は更けていくのでありました。


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