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ダンジョン村のパン屋さん2〜1年目の物語  作者: 丁 謡
第19章 いつもいつも(怒)
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おばんでや〜んす。お久しぶりなあの方たち登場です。

 結界が完全に破られ、村役場は緊急避難の狼煙を上げ、役場前の広場を迂回しながら神殿に避難するよう村民を誘導し始める。

 パン屋の前に居た元凶の二人も、村民によって神殿へ避難することとなる。

「ごめんくださーい!」

「頼もう!」

 パン屋のドアの前で声を上げる夫婦者に気づいた村人の一人が声をかける。

「おーい、パン屋は開店前だ!それより早く、神殿に避難するだよ!」

 こっちこっちと呼ぶ村人に、首を傾げつつ後をついていく元凶達であった。

 一方、神殿に居たベルン達冒険者や魔女達は戦闘準備を済ませ、役場前の広場へと走っていった。シルヴァンも戦闘要員として、一緒に向かっている。

 当然、パン屋の前の道で元凶達とすれ違っているのだが、元凶達が人化しているのと、巨大すぎる魔力のせいで魔力探査で的確に位置が把握できない状況になっていたのだ。


 神殿長のヴァレーリオは、避難民の陣頭指揮を取り、アマーリエを筆頭に炊き出しするように命じる。

「いや、あの、神殿長?実はですね……」

「緊急だ、嬢ちゃんは今までの経験を活かして炊き出しを急げ」

「や、それも大事なんですけど、そうじゃなくてですね」

「なんだ?」

「……あのですね、誠にもっていいにくいんですが」

「アマーリエ?」

 最近、問題が起こる度に見る、アマーリエのなんともいい難い表情に、嫌な予感を覚えるヴァレリーオであった。

「えっと、黒紅ちゃんの」

 そう言いながら抱っこしていた黒紅を神殿長の前にずいっと押し出すアマーリエ。

「言うな。聞きたくない」

「そういうわけにもいかなくてですね。攻撃しちゃうと不味いですし」

 アマーリエの言葉に、涙が出そうになるヴァレーリオ。ど田舎左遷よりもピンチであった。

「……」

『父と母が来たんだ!』

 その言葉に膝から床に崩れ落ちる、ヴァレーリオであった。

「え、黒紅様のご両親?」

 ヴァレーリオに、次の指示を聞こうとやってきたアルギスが目を丸くする。ちなみに、王弟殿下に何かあったら、やんごとなきお方が発狂するから、神殿で村人お願いします、と言われて神殿に待機することになったアルギスであった。

『そうじゃ。山に引きこもっているのに、珍しい。何かあったんだろうか?』

「あったと言えば、あったんじゃ?」

 黒紅に視線を向けて苦笑するアルギス。

「ある意味ダンジョンから誘拐しちゃってますしね」

 アマーリエの言葉に最悪を想像して、気を失いたくなるヴァレーリオであった。

『ダンジョンの主には、緑青がもう伝えたと言っておったぞ』

 一応ダンジョンに黒紅を放り込んだ責任者として、緑青がダンジョンの主に現在の黒紅の所在を告げて、状況説明を済ませている。

「そういうことは先に言ってくれ!」

『すまない。そなたらは昨日はもう寝ておったからなぁ。起こしては悪いと思うたんだ』

「うっ、そうか。それはすまない」

 未だ黒紅の地雷がわからず、素直に謝るヴァレーリオであった。

 黒紅の言葉から、色々察したアマーリエ。

「つまり、ダンジョンの主経由か緑青さん経由か知らないけど、黒紅ちゃんのことを聞いたご両親が、アルバン村に来たってことですかね?」

「何しに?」

「娘の顔を見に来たんじゃないの?(それだけだと思いたいけど、緑青さん経由だとなぁ、それだけに留まらなさそうな悪寒(、、))」

 緑青の顔を思い浮かべて、悪い予感に身震いするアマーリエ。

『しばらく会うてなかったからな』

「どのくらいですか?」

『ダンジョンに修行に出されてかれこれ五百年か?』

「「へ〜」」

 首を傾げる黒紅の言葉にアルギスとアマーリエがその長さに驚く。

「へーじゃないだろ」

「まあ、そうですね。とりあえず役場の広場近くに居た方たちから情報収集しましょうよ。ご両親見たかどうか。それにしても濃い魔力ですね。魔力感知で見てるんですけど、靄がかかったみたいに見えます」

「は?霞がかってる?」

「え、わたしもやってみる。わ~、これ魔力探査使えないんじゃないか?」

 古代竜三匹の魔力が辺り一面を覆っていて、魔力感知で見ると霞がかったように見え、魔力探査では巨大な魔力の中に村人や冒険者達の個々の魔力が点在しているような状態が、視覚化されているのだ。

 それ故、今、冒険者達は目視で結界を破ったという竜を探し回る羽目に陥っている。

「お嬢!説明!」

「え、あー神殿長には言ってなかったっけ。私の魔力感知って、視覚感知なんですよ。目に魔力まとわせると濃い魔力だけもやっと見えるんですけど、竜の魔力ってすごいですね、空気が霞がかって見えるんですよ」

「あ、これ別にリエだけじゃなく、魔力操作ができる人なら、視覚で魔力感知できますよ、ヴァレーリオ様」

「目に魔力だな?」

 そう言ってヴァレーリオは目に魔力を集中させ始める。黒紅も一緒にやり始めた。

『お〜、父と母の魔力が混在して、さらに妾の魔力も混じっておる!空気が黒と赤の斑に渦巻いておるぞ!』

「へ〜、黒紅ちゃんはそこまでわかるんだね」

『はじめて魔力を目で見た!主と居たら色々覚えられるのだな!』

 昨日寝る前に、生活魔法の一つ、浄化魔法も覚えた黒紅だった。

「……初めて見た。これが魔力を見るということか。これでは魔力探査では見つからぬな」

 深々とため息をつくヴァレーリオであった。

「何ていうか、どうしようもない事態になっちゃった気はするんですけど」

「「確かに」」

『そのうち妾の魔力を辿って、やってくると思う』

「なら、もう成り行き任せで。後は外に出たベルンさん達に戻ってきてもらったほうがいいか」

「避難も解除でいいのかな?」

「いいんじゃないですか。何ならこのまま避難炊き出し訓練でもいいですけど」

「皆さん集まってるから、黒紅様のお披露目したらどうかな?」

「そうですね。皆さんにも是非、スキル解析書を読んでいただきましょう」

 あくどい笑みを浮かべるアマーリエに、そっと目をそらしたアルギスとヴァレーリオだった。

 とりあえずの方針が決まり、アルギスが念話でベルン達を呼び戻し、アマーリエは村の有志とともに炊き出しを始めたのであった。


 時は少し戻って、結界が破られた同時刻、アルバン砦の方では緊急警戒警報が鳴り渡り、厨房付近で爆発が起こっていた。

「何が起こった!?」

「アルバン村の結界が突破されたようです!」

「砦の方は!?」

「厨房付近の壁が崩れ、竈や石窯が使えなくなっています!朝ご飯どうしましょ!」

「阿呆か!朝飯どころじゃないだろうが!村のほうが心配だ!」

 報告に来た年若い准騎士に、ノールが雷を落とす。

「腹が減っては戦はできません!」

「なんでリエに感化されてんだよ!」

 何処かで聞いたことのある科白にノールがすぐさま反応する。

「リエと幼馴染っすから!」

 どうやらこの准騎士もアマーリエの口撃と胃袋鷲掴みの被害者であるようだ。

「ぐわー!こんなところにアマーリエ教が!」

「美味しいは正義っす!」

「ノール!漫才はいいから、そいつと一緒に厨房を見てこい!スケルヴァン殿から連絡は来ているか?」

「いえ!まだ何も連絡ありません」

「グゥエン!すぐさまアルバン村へ偵察部隊を!ゲオルグ様の無事と村の状況を確認してこい!他はすぐにアルバン村に向かえるよう準備を!」

 砦を預かる部隊長に返事をし、それぞれの役目に向かう騎士達。

 グウェンはアーノルドとミカエラを連れて、馬で一路、アルバン村を目指す。

 そして、三人の騎士が村の外から見たのは三頭の古代竜が空に向かってブレスを吹く様であった。

シルヴァン:わ~!ガズィラ(メリケン英語でよろ)だ!

アマーリエ:生で見られるとは思わなかったねー

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