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スミマセン都合上短くなっちゃいました。
作業台のサンドイッチの山に万歳するアマーリエ。
「やったよ。やったよ!シルヴァン!なんとか出来たよ!お前のおかげだよ〜」
「オンオン!」
シルヴァンもやりきった感漂う顔でアマーリエに応える。
「あー、シルヴァンがダンジョン行ってる間は一人かぁ。大丈夫かなぁ?」
リュックにサンドイッチの包みを仕舞いながらため息をつくアマーリエ。
「キュゥ〜」
「ま、最初を乗り切ればなんとかなるでしょ」
心配そうに鳴くシルヴァンに笑って返すアマーリエ。
「さて!一旦片付けてご飯にしますか」
「オン!」
アマーリエはパンの耳が入ったボールをリュックに仕舞い、作業台を片付ける。そして今日朝市で買ってきた豚の肩ロースを取り出し作業台に置くとシルヴァンに食べたい分だけ好みの厚さにスライスするように頼む。シルヴァンはよだれを垂らしながら、せっせと風魔法で肉の山を築く。その間に、アマーリエは居間のアイテムボックスから米を持ってくる。
「オン!」
大量の薄切り肉の山をこしらえたシルヴァン。
「はい、ありがとう。こんなに食べられるのかな?」
「キュウ」
思わず視線をそらすシルヴァンだった。
「……切るのが面白くていっぱい切ったりした?」
「クゥ」
「まあ、いいわ。そのかわり晩もニラ豚ね!」
「オン!」
「んじゃ、お米炊くよ。夜の分も炊いちゃうか。三合ぐらいかな。お米を洗って、水を吸わせるんだけどここは時間経過を使ってっと」
アマーリエは錬金術を使って吸水時間短縮し、鍋をコンロに置いた。
「オンオン」
「あー、シルヴァンも生活魔法で水出せるなら御飯炊けるかもね。魔導焜炉はここに触って自分の魔力を流すと起動するんだよ。火力をいじるときはこっちから強火、中火、弱火、とろ火だから使いたいのを起動させるといいよ。切るときは、ここに魔力流すの」
「クゥ」
「始めチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、赤子泣くとも蓋とるな、最後にワラを一握りパッと燃え立ちゃ出来上がり。鍋の音と蒸気を見ながら判断するんだよ」
そう言うとアマーリエは焜炉に鍋をおいて中火の魔法陣を起動する。
「はじめのチョロチョロは中火で鍋全体を温めるの。コレで底だけ先に熱くなって炊きムラができたり底が焦げ過ぎたりするのを防ぐんだよ。鍋が温まってきたら、強火にして一気に沸騰させるの」
アマーリエは一度中火の魔法陣を切って強火の魔法陣を起動させる。
「で、鍋の蓋から蒸気がたくさん上がって、吹きこぼれそうになったら中火に落とす」
鍋から上がる蒸気と蓋が浮く様子をシルヴァンはじっと見て覚える。
「あとは鍋の音をよく聞いてプスプスいい出したら、再度強火にして鍋の中の水分を飛ばすの。コレはちょっとでいいからね」
シルヴァンは一生懸命鍋の音に耳を傾ける。
「この音よ。強火にして五秒ぐらいかな」
アマーリエは強火にした後五つ数えて火を消した。
「オンオン!」
「おひつ作ってもらわないとね。木工職人さん紹介してもらおうね」
「オン!」
「さて、ひと混ぜして、ご飯の鍋は作業台に置いといて。ニラ豚作るよ」
「クゥ」
「あ、お肉大量にあるから先にボールの中で塩胡椒しとくか。シルヴァン混ぜといてくれる?」
「オン!」
いい返事をしてアマーリエが用意したボールの中の肉に塩胡椒がまんべんなく混ざるように風魔法で混ぜるシルヴァンだった。
アマーリエは大量にニラを切り、大蒜をみじん切りにし、生姜をすりおろしていく。
揃えた材料をコンロ脇に持っていき、アマーリエは中華鍋に近いフライパンを火にかける。フチから煙が上がってきたら油を入れ、火から離して鍋肌に油をなじませる。
「半分ずつじゃないと流石に無理かな……。みじん切りの大蒜を焦げないように炒めて油に香りを移します」
「オン」
「大蒜の香りが強くなったら、豚肉を投入。豚肉にほんのり赤みが残ってる段階でニラを入れ、さっと炒めます」
「キュウゥ」
にんにくの臭いにシルヴァンの口からよだれが落ちだす。
「シルヴァン、よだれよだれ」
「アゥ」
「で、おろし生姜を絞って絞り汁をさっとかけまわして、水分を飛ばして出来上がり。おろし生姜の繊維が気にならないならそのまま入れてもいいし、もっと生姜の食感を残したいならみじん切りしたり針生姜にして入れてもいいね」
「キュウ」
「ホイ味見」
アマーリエはニラと豚肉を摘んで、シルヴァンの口に放り込む。
「どう?」
「オン!」
問題がないようなので、大皿にフライパンの中身を移して、アマーリエは残りの半分のニラ豚を作り始める。
村に鐘四つの鐘が鳴り響く。
「オオ〜ン」
「はいはい。シルヴァン、ご飯どれぐらい?ニラ豚乗っけちゃっていい?」
「オン!」
アマーリエが木鉢をさっと湿らせて、ご飯をよそいシルヴァンに量を確認してニラ豚をたっぷり乗せる。
「さて、私もニラ豚丼にしちゃお」
アマーリエは自分の分を用意し、お茶を入れる。ご飯の鍋とニラ豚の大皿は、シルヴァンが風魔法で浮かせて、一人と一匹は居間に上がった。
「では、いただきます!」
「オンオン!」
アマーリエは豚とニラを口に入れ肉汁とニラの香りを楽しむ。
「はぁ、美味しい」
シルヴァンはキュウキュウ言いながら貪るように食べている。
「ご飯もいい具合に炊けてるし。ああ、幸せ〜」
「リエ〜!」
「ウグッ。あの声はダフネさんか?は〜い」
大声で返事をして階下に降りるアマーリエ。シルヴァンは自分の分をせっせと食べている。リエが鍵を開けて店のドアを開けると、ダフネが手に袋を持って立っていた。
「ダフネさん。どうされたんですか?」
「いい匂いがした!コレと昼食を交換しないか?」
そう言ってダフネは袋をアマーリエに見せる。
「なんですか?」
「りんご!市場で今季最後のやつを手に入れたんだ。ちょっと酸っぱいらしい」
「ほうほう。りんごのお菓子でも作りますか」
「で、昼食いい?」
「はぁ、いいですよ、物々交換。お米ですけどいいですか?」
「豚の匂いもするぞ?」
「ええ、ご飯の上に乗っけ盛りです」
「やった!」
アマーリエは、居間にダフネをあげる。
「シルヴァン、ダフネさんも一緒に食べるから」
「オン!」
アマーリエはダフネに食べる量を聞いて木の鉢に盛り付けていく。
「はいどうぞ、ダフネさん」
「ありがとう、リエ。いただきます〜」
早速スプーンにたっぷりとすくい取り、食べ始めるダフネ。
「ング!美味いぞこれ!何杯でもいけそうだ!」
その声にビクッとして慌ててアマーリエの顔をみるシルヴァン。
「シルヴァンはおかわりする?」
「おん!」
風魔法で空になった木の鉢を持ち上げて、アマーリエに渡すシルヴァン。
「凄いな、シルヴァン!風の魔法でそんなことができるのか!」
「オン!」
「上手ですよ〜。お肉切るの手伝ってくれたりとか、パン生地混ぜるの手伝ってくれたりとかすごく助かってます」
「おお!偉いな、シルヴァン!」
ダフネはしっかり三度おかわりをして大皿を空にすると、お茶を飲みながら居間のラグの上でシルヴァンとともにくつろぎ始めた。




