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ダンジョン村のパン屋さん2〜1年目の物語  作者: 丁 謡
第35章 目指せ至高のパン!
156/175

キリのいいところにしたら、ちょっと短くなってしまいました。

「……無理だ。祓えん」

 村の衆に呼ばれてパン屋にやってきたヴァレーリオ。アマーリエの黒いのをまじまじと見つめて言う。

「呪いじゃないのぉ?」

 ヴァレーリオに祓えななら、呪いではないのかと首を傾げる南の魔女。

「呪い……なんだろうが、本人になんの異常も出とらん。そもそもだな、この黒いのをアマーリエ本人が出しとるんだから、根を断たねば無理だ」

 呪いに似た何かとしかわからず、ヴァレーリオ自身も首をかしげる。

「じゃあ、根を断つ方法はぁ?」

「根深すぎて無理だな」

「大丈夫ですって。明々後日には絶対、消えますから」

 そう言って屈託なく笑うアマーリエ。背後の黒いのは、ますます濃さを増していく。

 本人の屈託の無さに比例して濃くなっていく黒いのに、居合わせた村の衆は、アマーリエからじりじり離れていく。

「「なんで明々後日?」」

「へっ。そりゃ、明々後日に、どう転んでも、面白いことにしかならないからに決まってるじゃありませんか」

 ぐぐっと黒さが増す、アマーリエの黒いの。

「「「「「「……」」」」」」

 たらたら冷や汗がこぼれ始める、居合わせてしまった人々。

「ほんとに!ちょーっと腹黒さが、表に出てるだけ!問題ない、問題ない」

「「「「「「(大問題な気がするんですが。腹黒いとか自分で言っちゃうの?)」」」」」

 言葉に出来ず、お互いに顔を見合わせ、目で語り合う村の衆。

「ヴァリー、あたしぃ、心配だからパン屋に泊まるわぁ」

「そうじゃのぅ。どうせだから、西のも呼んで三人で泊まろうじゃないか。三人いれば大丈夫だろ(何かあってもきっと被害が分散されるはずだ)」

「は?泊まるって、どこで寝る気ですか?三人も」

 ヴァレーリオの発言に、眉をしかめるアマーリエ。

「居間でぇ、雑魚寝するからぁ、大丈夫よぉ。野宿に比べたらぁ、大したことないわよぉ。あんたにぃ何かある方が怖いのぉ!」

 南の魔女がメッとアマーリエを叱る。

「この冬場にぃ?暖炉に火を入れっぱなしで、いくらお三方が頑丈っていっても、風邪ひきますよ?年寄りのひ……」

「「アマーリエ?」」

「何でもありませーん」

「大丈夫だ。一晩ぐらい、なんとでも出来る」

「そうそう。神殿は、ネスキオちゃんに任せとけばいいわねぇ」

「そうだな。わしは、夕の祈りを済ませたら西のと一緒に、パン屋に戻る。また、後でな」

「へーい。じゃあ、夕飯作ってますよ」

 留守番を言いつけられたネスキオは、盛大にごねまくったが、三人からプリンを与えられ(パン屋で買いしめた)ブーブー文句を言いながら、お留守番することになった。

 そんなこんなで、パン屋初の泊り客になった、南と西の魔女、ヴァレーリオの三人。アマーリエは、自分が神殿に行ったほうが良かったんじゃと思いつつ、厨房で夕飯の支度を始めた。



 夕食後に、南の魔女が、お土産のユグの村のチーズケーキを皆で食べようと取り出した。そのタイミングで、土の精霊の分体がパン屋にやってきた。

 ヴァレーリオが、土の精霊にアマーリエの状態を確認するも、特に問題ないよと言われてしまう。

「問題ない……のか?あ、南の、わしは焼いてあるほうが好きだ」

「これくらいでいいかしらぁ?はい、ヴァリー」

「おう」

「私も焼いてあるほうが良い。精霊様がそう言うのなら、問題はないんじゃないか?精霊は、禍々しものに近寄れないんじゃなかったか?」

 西の魔女が、南の魔女からベイクドチーズケーキを受け取りながら言う。

『そうだよ。パン屋さんの黒いのは、まじりっけなしに黒いだけだもの。禍々しくないよ』

 こちらも南の魔女からベイクドチーズケーキを切り分けてもらい、ご機嫌な土の精霊の分体。

「「まじりっ気のない黒?闇属性ってことか?」」

 ヴァレーリオと西の魔女は、頭を抱えて悩み始める。

「お茶いれましたよ。ほら、チーズケーキ食べましょうよ。私、スフレの方のチーズケーキ!問題ないって、付いてる本人がも言ってるんだから、大丈夫ですよ」

「芋っ娘ぉ!おだまりぃ!でもぉ、かなーり、黒いわよぉ?禍々しく無いってなんでよぉ???」

 アマーリエにスフレチーズケーキを切り分けながら、怒ったり心配したりと忙しい南の魔女。

『大丈夫だよ。結界は反応してないから。村に対して悪意があったら、パン屋さん、今頃村の外に出ちゃってるもの。南の魔女!このチーズケーキ美味しい!』

「あらぁ!精霊様のお口にあって、よかったわぁ」

「ん?結界に反応したんでないなら、なぜこちらに?」

 タイミング良くやってきた土の精霊に、ヴァレーリオが確認する。

『シルヴァンちゃんが修行で居ないから、パン屋さんが寂しいかもっていう話を砦で聞いて、来たの』

「土の精霊様、優しいなぁ。ありがとうございます!はい、チーズケーキ追加!」

 スフレタイプのチーズケーキを切り分けて、土の精霊の皿に盛るアマーリエ。

『わぁ!』

「じゃぁあ、その黒いのはぁ、なんなのよぉ?」

「だから、ちょっとお腹の黒さが、にじみでてるだけですって」

 ジト目で見てくる南の魔女に、アマーリエは肩をすくめて答える。

「芋っ娘ぉ!?」

「冗談抜きで本気ですって!」

 南の魔女に揺さぶられながら、真顔で自分の腹黒さを肯定するアマーリエ。

「じゃあ、その腹黒さを誰に対して発揮しようとしてるんだい?」

 西の魔女が、ケーキに舌鼓を打ちながら、真面目な顔でアマーリエに聞く。

「そこは内緒です!全ては明々後日に!」

「村に被害はないんだな?」

 ヴァレーリオの念押しに、アマーリエが首を傾げて言う。

「あー、私の捧げものの残りを口にしなきゃ、巻き添えにはなりませんね、確実に」

「「「捧げものの残り?」」」

「ええ。残りがどうなるかと、それを食べるか否か、味覚と記憶力の程度で被害状況が変わるかも」

「アマーリエの捧げものと言えば……至高のパン?」

「ええ。私が全力で焼いたパンですよ。同じパンはもう焼けないですからね。そもそも今年最高のできの小麦粉も使い切っちゃいましたし。来年の小麦がどうなるかで、味変わりますからね」

「……最高のできのパンで何がどうなるのやら?」

 西の魔女が首をひねる。そこまで食に執着もなく、舌も至って庶民派な西の魔女は、これから起こることがさっぱりわからないのである。

「食べなきゃ、問題ないですよ。それは自信をもって言えます」

 食べなくて問題ないかと言えば、実はそうでもなかったりする。人というのは、やったことよりやらなかったことの方を後悔する生き物だからだ。

「「「……」」」

 顔を見合わせる、三人。

「……ん?もしや、また、北神様が、残さず食べちまうってことか?」

 アマーリエのやらかしたことを思い出して、ヴァレーリオが可能性を口にする。

「その可能性は、ありますね。捧げものをするときに、ちゃんとみんなで食べられるように、残してくださいねって、釘を刺すつもりでいますけど」

「「「北神様に釘を刺すって……」」」

「ふふふ、釘を刺す呪いっていうのが、別の世界にはあってですねぇ……」

 ヴァレーリオには知恵者とバレているので、呪いの藁人形の話をわざとして、話を違う方向に持っていくアマーリエ。

 魔法馬鹿な二人が、本格的に異世界の呪いに興味をもったため、明け方まで呪い談義に終止するアマーリエ達であった。大人のお泊り会が健全ではないのは普通だが、違う方向で健全じゃないお泊り会になったのであった。










そら豆の美味しい季節ですね。実家の父が育てたそら豆が届いたので、出汁醤油であっさりめに炊きました。

鶏と中華風に炒めても美味しいんですけどね。

いかり豆(油であげてる方じゃなく、炒ってある方)も大好きなんですよ。地味で滋味な美味しさが良い。

そら豆って、なんであんなふくふくしたサヤなんですかね?ベルベットみたいなお布団で寝る豆!って感じですよね。

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― 新着の感想 ―
そら豆さんが子供には良い寝床で寝て欲しいという親心に溢れているせいなんじゃないでしょうか(違
[一言] いつも楽しく読ませていただいてます。ありがとうございます。 そら豆のさやのフカフカ、さやごとグリルで焼いてとろとろになったところをスプーンですくって(ほじって?)食べるのが好きです。 なん…
[一言] ソラマメおいしいですよね。 大好きで地元の生産者さん達が出している直売所に行って前にも何回か購入しています。さやから出されたそら豆だけになって袋詰めしている安いの見つけて(他のが同量で200…
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