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ダンジョン村のパン屋さん2〜1年目の物語  作者: 丁 謡
第31章 去る者、訪れる者
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お久しぶりです。生きてます〜。ノートPCのキーが死にかけてるけど。ハハハ。AとTが反応鈍くって。その辺りで変換が怪しくなってます。気がつけた分は直せてますが、皆様からの報告がすごく助かっております。いつも本当にありがとうございます。

 アルギス達は干した米と干さなかった米をそれぞれ一口づつ食べてる。

「うん。干したほうが甘みが強いかな。あ、リジェネがつかない」

 ポツリとアマーリエが漏らす。

 その言葉に、みんな目をつむって噛むことに集中する。

「「「「……ホントだね」」」」

『魔力が無くなっておるの』

「もとが微弱だったからね」

 黒紅の言葉にアマーリエが返す。

「ダンジョンのコメも外で栽培したら、普通のコメということだね」

「美味しいですし、水の多い地方なら新しい食料穀物として定着しますよ」

 アルギスが今回の実験の結果を出し、ファルがその結果の行く先を口にする。

「そうですね。食べるものが増えれば、皆困りませんし」

「食べるものが少ないと、奪い合いになるんだもの」

 二人の言葉にブリギッテの父(チャールズ)も同意し、ブリギッテも、弟妹とのおやつやおかず闘争を思い出して真面目な顔で頷く。そう、家庭で起こることは、世界でも起こることなのだ。

「そうだね。帰ったら、帝国でもコメの作り方を広めてくるよ」

 アルギスがそんな二人に力強くコメの栽培を増やすことを誓う。ファルも頷きながら、神殿に報告しなければと考える。

「結論も出たし!ほら!しっかり味わおうよ」

 ネスキオがニコニコと食べることを皆にすすめる。

「さめちゃうよー、たべよー」

 シルヴァンもそれを援護する。皆それにうなずき、食べはじめる。

 今回は、米を味わうための薄味のおかずだったため、皆はしゃべることもなく、味わうことに集中していたのだ。

 そして、アマーリエが淹れた緑茶を一口飲んで、満ち足りた顔でしみじみと吐息こぼしていた。その様子を見て、アマーリエは薄味でも大丈夫そうだと心のなかで頷く。

「なんていうかホッとする料理だったね」

 ブリギッテがしみじみという。

「尖った味のものは今回なかったからね。味噌汁は味噌と出汁に心が落ち着く成分があるし、美肌効果も高いんだよ」

「美肌?」

「毎日お味噌汁飲むと、肌の水分量が増えて、肌理(キメ)が整って透明感が増すんだよ」

「毎日味噌汁作る!」

 アマーリエの言葉に意気込むブリギッテ。

「マリエッタさんと南の魔女様が聞いたら、大騒ぎしそう」

 そう漏らすのはファル。マリエッタは依頼を引き受けてよその村に出張中で、南の魔女はネスキオに護衛の下請けを出し、今日は西の魔女と一緒にエルフの里に出かけてしまっている。アルギスの護衛は、かなり融通のきくお仕事のようである。

「ふっ、今度、いろんな美肌効能研究の会でも開こうかな?」

 アマーリエがカモネギを期待して、ニヤリとほくそ笑む。

「パン屋さん、すんげー悪い顔してる」

「あくとくどんや?」

 ネスキオの言葉を受けて、シルヴァンが首を傾げる。

「シルヴァン、お代官様ごっこは家に帰ってからね。小判な最中を作ってあげるよ」

 アイスクリームの最中の金型を作ってもらったときに、小判型をあえてデザインして別注文したアマーリエだった。注文されたフェラーリ親方はそのデザインに首を傾げ、アマーリエは異国の金貨ですと逃げを打ったのだが。

「わーい」

 喜ぶシルヴァンに、黒紅がなんのことかと問い、シルヴァンがその説明を始める。

「それで、その美容研究会はいつ開くんです?」

「南の魔女様とマリエッタさんが帰ってきたらかな?」

 ファルの質問に、アマーリエが美容に関してはうるさ方の顔を思い浮かべていう。

「リエ。魔女様が帰ってきたら、私は帝国に戻るつもりなんだけど。帰れなくなるのは困る」

「ああ、そっか」

 渋い顔をするアルギスに、それもそうかと頷くアマーリエ。ファルも苦笑いしながら自分たちの予定をアマーリエに話す。

「リエさん、うちもマリエッタさんが戻ってきたら、王都に拠点を作りに行く予定なんですよ」

「はいはい、言ってましたもんね。居心地のいい家が見つかるといいですね」

 拠点の扉に転移陣をとか言っていたが、それはどうなったんだろうかと首を傾げるアマーリエ。だがここで口に出すとろくなことにならなさそうなので、後でこっそりベルンに確認しようと心のメモに書き留める。

「色々みんなで悩んでますよ。買うか借りるかとかね」

「ファルさん!王都ってやっぱり持ち家でも借家でも相場は高いんですかね?」

 ブリギッテがワクワクしながらファルに聞く。

「相場もそうだけど、うちも一応高レベルの冒険者ってことで、相応の家に住む必要もあるし、そろそろクランにして新人育てるかって話も出てるんですよね」

「「「「「へ〜」」」」」

「じゃあ、来春は人がまた増えるかもしれないですね!」

「そんじゃ、美容研究会も春に開く?」

「そこは村の女性陣で先にいろいろ試したい!」

「マリエッタさんには内緒にしといてくださいよ。王都に行かないっていいそうですから」

「「はーい」」

「南の魔女様にも内緒ね」

「「わっかりました!」」

 ファルとアルギスに、美容研究会の話は内緒にすると約束するアマーリエとブリギッテ。さて、内緒が守られるかどうかはわからない。

「あ!リエさん!アルギスさんと簡易転送陣づきあいするんですよね?」

 ファルはアルギスに、帝国に帰ってもアマーリエのお菓子が直接手に入るんだと自慢されたのである。

「あー。なんかそういう事になっちゃいましたねー」

「そうなの?」

「そうみたいよ」

 ブリギッテに聞かれ、ジト目をアルギスに向けるアマーリエ。

「リエ、忘れないでお菓子や料理送ってよね!ブリギッテさんも、アマーリエがなんか新しいお菓子や料理作ったら、忘れず送れって言ってね!」

 ブリギッテはアマーリエの身近にいる頼りになる人物として、アルギスは認識している。シルヴァンに頼んでも、シルヴァンはうっかり忘れそうだからという理由による人選である。

「ちょっと!ブリギッテさん巻き込まないでくださいよ!あんちゃんに送ってるのでいいじゃん!面倒くさい」

「あれは兄上のものであって私のものじゃないもの!私もいろんな帝国の食材や食器、調理器具をリエに送るんだからね!交換!」

「うふふ。私で良かったら!ちゃんとうちのハーブも送りますよ」

「チョッ、ブリギッテさーん」

「ほんと!?助かる!ブリギッテさんのところにも帝国のハーブの苗や種を送るね!他に珍しい薬草とか」

「ほう、それはうちもありがたい」

 ブリギッテの父もニコニコと新しい植物が手に入る機会を喜び、がっちりアルギスと握手を交わしている。

「アマーリエさん、発送手伝うからね!」

「もういっそ、うちの発送担当ブリギッテさんにしちゃおうかな」

『妾も手伝おうか?なんならダンジョンのアイテムも送るぞ?通販というのであろ?』

 シルヴァンと話を終えた黒紅も、会話に参加する。

「それはすごく嬉しいです」

「ぼくもー!」

「シルヴァンもありがとう」

 シルヴァンにデレるアルギス。それをみやり、簡易転送陣で送れるような量にまとまるんだろうかと首を傾げるアマーリエであった。

「素敵ですね!リエさん!うちとも簡易転送陣づきあいしましょうよ!」

「はい?銀の鷹って簡易転送陣ありましたっけ?」

「ついこの間ご領主様から、報酬で頂いたんですよ。この夏の魔力溜まりの件で助かったからと」

「あれま」

「なんで、ぜひ!」

「もう、転送先が2つも3つもかわんないんでいいですよ。ブリギッテさん、黒紅ちゃん、シルヴァン、発送の手伝い頼んだよ」

 早々に諦めたアマーリエは、周りを巻き込む方向に方向転換した。

「任しといて!」

『任せるのじゃ』

「やるー」

 やる気満々の3人に、ファルとアルギスが拍手する。

 そんなこんなでアマーリエまで、物々交換という名の通販もどきをはじめることになるのであった。

 こうして新米を食べる会も無事に終わり、来春には今回採れた籾を使って、アッカーマン親子と村に戻ってくる予定のネスキオが苗を作る手はずとなった。

 夜も更けて、解散となり、皆それぞれの家に戻ったのであった。


 その日の真夜中近く。

「着いたぞー!」

 アルバン村の門の前で叫ぶ男が一人と、座り込む三人の男女の影が。

「……こんな夜更けに誰さね?」

「あ、門番さん?こんばんは!」

「こんばんはぁ」

 クワーッとあくびする門番のモリス。

「あの!村に入りたいんですけど!」

「だで、どちらさん?」

 首をかしげるモリスに、慌ててアイテムバッグから領主と国王からの紹介状を取り出す一人元気な男。

「どれ?あー!あんたが噂の!」

「「「……噂って何?」」」

 大声を上げ、マジマジと元気な男を観るモリスに、首をかしげる力尽きつつある三人。

「村のパン屋さんが、勝負を挑む予定の男だって話さぁ!」

「「「「は?」」」」

 何故か噂話がどこかでこじれたようです。







師走ですねえ。なんか強制的に走り回ることが決定しました。ふ、夢の引きこもり生活、儚かったなぁ……。

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