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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第二十一章 新たな時代を担う世代

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第95話 素に戻った兄と弟の会話

「ああ、待たせるなよ。つい地がでるところだったじゃねえか!」 


 そう言いつつ義基は手にした扇子を右手にばたばたと仰ぐ。嵯峨も兄の間延びした顔を見て足を投げ出す。


「これで新三郎はめでたく甲武の枷から外れたわけだ。しかし、その仕事に対する頑固さ。なんとかならんのか?もうちょっと仕事はいい加減にやってくれた方が俺としては助かるんだが……」 


 義基の顔が緩んでいたのは一瞬のことだった。すぐに生臭い政治の世界の話が始まるだろうと嵯峨は覚悟を決めた。


「醍醐のとっつぁんの話なら無駄ですよ。これは俺一人じゃどうしようもありませんから」 


 まだ緊張から固まったように座っているかえでの肩を叩く嵯峨はそう言い切った。家督相続の儀式を半分終えた安心感から、大きくため息をついた彼女を見て嵯峨は少し自分を取り戻して兄の顔を見つめた。


「そうは言うがな。少しばかり話を聞いてくれないかね」 


 そう言いながら笑みを浮かべる兄を前にして仕方が無いと言うように嵯峨はタバコを取り出した。


「この部屋は禁煙だ」 


 そう言う西園寺義基に嵯峨は悲しげな目を向ける。


「こいつは俺の代に作った法律なんだがな。まあ新三郎対策とでも言うべきかな?ヤニで汚れたら甲武の伝統が汚れるだろ?」 


 そう言いながら西園寺義基はにやけた顔で嵯峨を見つめる。仕方なく嵯峨はタバコを仕舞う。


「僕は席をはずした方がいいですか?」 


 重い政治向きの話がなされるのを察したかえでが席を立とうとするが嵯峨は首を横に振った。


「お前も今から、嵯峨家の当主だ。それなりの責任は果たす必要があるんじゃないか?これは甲武国の命運を左右する問題だ。まあ新三から言わせればそれよりも遼州同盟の面子の方が大事だと言う話なんだがな」


 皮肉めいた笑みを浮かべて西園寺義基は嵯峨を見つめる。


「甲武国の命運ねえ……それは自力で何とかしてくださいよ。あなた、宰相でしょ?米帝のおこぼれにあずかろうなんて貴族のすることじゃないですよ」


「俺はもう平民だ。貴族じゃない」


 いつもの兄弟の会話がそこで繰り広げられる。


「まあ冗談はこれくらいにしてだ……」 


 そう言いながら西園寺義基は弟に向かい合って座りなおした。



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