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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第十九章 想定外の未知の敵

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第88話 任務から解放されて

「じゃあ、これできっちり勤務外になったわけだなアタシ等は。今はアタシ等はさっきの法術師の襲撃に対応に失敗して平静を欠いている。ただ茜達の足を引っ張るだけの存在だ……つまり……」 


 そう言ってランはにんまりと笑う。階段を下り、雑居ビルの民間人に職務質問している所轄の警官を避けながらランは階段を下りていった。誠はその後に続いた。パチンコ屋の入り口ではスタジアムジャンパー姿のかなめが暇そうに警棒を持って配置されている警察官を眺めていた。


「じゃあ遊びだな!せっかくここまで来たんだ。何もせずに隊に帰るなんて『特殊な部隊』の名に恥じるだろ」 


 かなめが元気よくそう叫んだ。いかにもかなめらしい強引な発想に誠はただ苦笑いを浮かべることしかできなかった。  


「あのなー……『特殊な部隊』ってのはうちを褒めて言ってる訳じゃねーんだぞ。まーいいや。暇だしカラオケでも行くか?今度こそアタシがおごるぞ。ただ歌うのはまずアタシからだ。持ち歌の昭和演歌を三曲歌うからな。これは定番なんだ。ちゃんと聞き入らなかったら後期の査定の評価を下げるからな」 


 そう言ってランはかなめやアメリアの顔を見回す。


「なんでそこで査定の話が出てくるんだよ、姐御。まあ良いんじゃねえの?今の時間に隊に帰っても終業まで時間があるし、どうせ隊長の叔父貴も留守してるんだ。鬼の居ぬ間のなんとやら……羽を伸ばすのもわるかねえ」


 かなめはすっかり乗り気だった。 


「お仕事も終わったしねえ。今更デートに戻るって気分にもなれないし。ここは賑やかにやりましょう」 


 アメリアもランのおごると言う言葉に釣られてそう言っていた。それを聞いて笑顔になるランはそのまま立ち入り禁止のテープをくぐって歩き出した。


「そんな!茜さん達の捜査が……」 


 そう言った誠の口の前にカウラが手をかざす。


「これから先は彼女達の仕事だ。私達は英気を養う。これも仕事のうちだ」 


 この中では一番生真面目で仕事熱心なカウラにそう言われてしまうと、誠は何も反論することが出来ず、仕方なくランの後について歩き始めた。


「待ってくださいよ!」 


 誠は遊び歩く気満々で足早に彼を取り残して去っていく上司たちをそのまま雑踏の中に見失うまいと必死になってその背中を追った。


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