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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第十九章 想定外の未知の敵

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第85話 法術特捜の出番

「これは少し遅いのではなくて?」 


 そう言いながら手にしたサーベルを鞘に収めていたのは、いつも誠に法術系戦闘術を伝授している嵯峨惟基の娘の茜だった。


「逃げたってことか?いや、逃げたんじゃねーな。あれだけの力を持っているんだ。逃げる必要なんかねーよ。ここに居るのに飽きて立ち去った。そんなところか」 


 そう言いながら子供向けのポーチにランは拳銃を仕舞った。。


「だとしたらいいですわね。こんな繁華街で破壊活動に出られたら私達は手も足も出ませんもの」 


 そう言いながら茜はぼんやりと手すりのない屋上から階下の道を眺めた。


『アメリアさん、解決しましたよ。例の法術師は転移して別の場所に移動したようです』


 誠は常時右耳に付けている補聴器に似た通信装置、感覚通信機で法術を増幅してアメリアにそう連絡した。 


『わかったわ。とりあえず所轄が来るまで現状の保全体勢に入るわね。それにしても逃げてくれて良かったわね。あの店が無くなると私としても困るもの』


 冗談とも本気とも取れない調子のアメリアの通信が誠の脳内に響いた。 


『ったく、つまんねえなあ。この前みたいに暴れてくれたらよかったのによう』


 アメリアとの感覚交信にかなめが割り込んでくる。


『あの海に行った時みたいなことはもうごめんですよ。それに今回の敵はあの時の自称『革命家』とは桁が違います。クバルカ中佐でも勝てるかどうか……』 


 そう言って苦笑いを浮かべる誠を監視するように茜は見つめた。


「通信、終わったかしら。とりあえず初期捜査の基礎は『特殊な部隊』の方々も分かってらっしゃるのね。これで安心して捜査を続けられるわ」


 相変わらず穏やかな口調で茜はそう言うと、先ほど誠が感じた法術師がたっていたらしい屋上の手すり沿いの床にしゃがんで手を伸ばしていた。


 その床の様子を見た茜の不審そうな表情を見て誠はそこにとてつもない異変が隠されていることを察した。



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