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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第九章 日常の通常業務

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第39話 シミュレーターでの訓練

「オメー等!邪魔すんじゃねーよ!今日も神前を鍛えるんだ!奴には素質がある。とりあえず機体のメンテに付き合えだ?そんな時間はねー!」 


 ランの叫び声が聞こえて、誠はシュツルム・パンツァーを支えているアーム前の手すりから身を乗り出した。そこでは射爆場から帰って来た機体の整備をコックピットで手伝っていた誠に指示を出していた整備班員を怒鳴りつけるちっちゃなランの姿があった。三号機、誠の05式乙型はすでに定位置に固定されていた。


「それじゃあ早速シミュレーションでオメーの腕前見せてもらうぞ。昨日はあんだけの実験を成功させて見せたんだ。普通の戦闘訓練くれーなら楽勝だろ?」 


 作業服の襟を掴まれて誠が振り向く。ランははるかに大きい誠を掴んでずるずると引きずり始める。その常に働く『身体強化』の法術の生み出すランの腕力は無限だった。


「大丈夫ですよ!逃げたりしませんから!」 


 そう叫ぶ誠を鋭い目つきでにらみながらランはようやく手を離した。


「そうだ、クラウゼ!」 


 廊下で運航部の女子達とはしゃいでいたアメリアにランはそう呼び掛けた。アメリアはそのまま跳ね上がるように立ち上がるとそのまま駆け足でランのところまでやって来た。


「お前も付き合えよ。シミュレータなら使えるんだろ?オメーも一応、予備のパイロットだ。久しぶりのシミュレータの訓練くらいできなくてどうする」 


 そう言ってつかつかとグラウンドを横切ってランはハンガーに戻っていく。誠とアメリアはお互い顔を見合わせるとその後に続いた。


「地球圏から帰って以来だからな……どこまで伸びてることか。期待してるかんな!」 


 ハンガーに入って口を開いたランはそこまで言うとまた誠をにらみつけた。かわいらしい少女とも見えたが、その目つきの悪さは誠の背筋を冷やすのには十分だった。


「なんだ?その面は?アタシの顔になんかついてんのか?」 


 そう言うとランは誠に近づいてくる。


「いえ!何でもないであります!」


 ランの久しぶりのスパルタ訓練に付き合わされて誠は少し動揺していた。 


「声が裏返ってるぞ。まあいいや、さっさと乗れよ。パイロットスーツなんかいらねーからな」 


 そう言うとランは敬礼している整備兵達を押しのけシミュレーションルームへと歩いていった。


「大変ですねえ、神前さん。でもクバルカ中佐はああいう人ですから」 


 西が苦笑いを浮かべながら耳打ちをする。


「分かってはいるんだけどねえ……付き合うこちらは大変だよ」


 誠にはそう言って愚痴ることしかできなかった。



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