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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第五章 発動する『非破壊兵器』

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第25話 結論として言えること

 一方、管理棟で観測機器のデータをスタッフに収集させているひよこの仕事はこれからだった。次々と設置された観測機器からのデータがひよこの端末に流れ込んで来た。


「観測機器のデータは?」 


 画像一杯のピンク色の光線が消えるとランは指揮席に腰を下ろしてオペレータ達に指示を出す。


「各ポイントのセンサーのアストラルダメージ値、すべて想定威力を越えています。この実験は成功です。予想された効果のすべてが反映されています」 


 オペレータの言葉にランは椅子に座りなおす。


「これで威力に関しては十分ってことか……後はどれだけの範囲まで効果範囲を拡大できるかと言うところと使いどころか……難しい兵器だ。こんなもんよく考えたな、同盟司法局の研究者連中は」 


 そう言いながらランはモニターを眺める。ランの法術の指南でここまでのデータを出せて安心しているようにコックピットで首をひねっている誠を見つめていた。


「この結果に見合う予算は出しているんだから……。当然このくらいの成果は無いと困りますよ」 


 高梨はそんなシンを見ながら次射の準備の指示を出しているひよこを眺めていた。


「指揮官としてはこの兵器はどうなんですかね?クバルカ中佐」 


 そんな高梨の言葉に、ランは少しばかり表情を曇らせた。


「運用が難しい兵器だよな。確かに攻撃範囲やその効果を考えると、使い方によっては非常に有効な兵器であることは間違いねーが、チャージの時間が長すぎる上に使えるパイロットが限られてくるとなるとそうそう前線に出せる代物じゃねーし……それに菱川の最新機の07式じゃあ法術対策の鉛合金のシェルをコックピット外周に張り巡らした装置まで積んでるらしいじゃねーか。それなりの軍隊相手に一戦するときに使える兵器じゃねーな」 


 ランは高梨を見つめながらそう言って頭を掻いた。ランの歯に衣着せぬ評価にこの兵器の開発に関する予算の管理を行っていた高梨は苦笑いを浮かべた。


「やはり厳しいですね、中佐は。ただうちはあくまで司法執行機関で戦争をする軍隊じゃないですから。テロリスト相手なら問題は無いでしょう。こなれてくればうちの出動が予想される大概のケースには対応可能だと思いますよ」 


 予想されるのはあくまで白兵戦を挑んでくる歩兵や、旧式の機動兵器で武装しているゲリラに限定される。そう考えると高梨の言葉にランは渋々頷いた。


「まあ、今回は上手く行った。それで良しとしよーや。そうなると、余計あの馬鹿娘達の教育が必要になるわけだが……」 


 そう言うランは手元の端末を操作して05式乙型の隣のテントの下で、まるで子供のように言い争いをしているかなめ達を映した。


「クバルカ中佐の心中、お察しします」


 高梨は管理職経験が長いだけに部下の勝手に手を焼かされているランの苦労を察して、つい口をついてそんな言葉が出てきていた。



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