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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第四十二章 庶民感覚と言う奴

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第192話 かえでによる新メニュー提案

「日野よ。ビールは飲まねーのか?」


 この店にはこういう歓迎会の時にしか来ないランがいつも通り日本酒を飲みながらかえでに尋ねた。


「そうか、ビールもたまには良いものだね。僕はワインが好きでね。この肉はワインにも合いそうだ……女将!ワインはあるかな?」


 かえではそう言うと追加の注文を取りに来たこの店の主である家村春子に声をかけた。


 和服の襟を正すとかえでの凛とした顔に笑顔を送った後、春子は静かに首を横に振った。


「そうか……ワインは無いのか。それは残念だ」


 かえではいかにも残念そうにねぎまを口に運んだ。


「でも、ラム酒がある焼鳥屋の方が珍しいわよね。東都に行けば焼鳥屋でも高級なところはワインくらい出すわよ」


 そのアメリアの言葉にかなめが明らかに嫌な顔をする。


「これはアタシが自分用に取り寄せてるの!アタシは飲むならラムって決めてるんだ。だからここの勘定は他の連中はクバルカ中佐が出してくれるのにアタシの酒だけは自分で出さなきゃなんねえ。しかも、この店はカードが使えねえから……全く困ったもんだぜ」


 そう言いながらかなめは静かにラムを口にした。


「お姉さまも苦労されているのですね。では、僕もこの店に来るときはワインを持って来よう。そうすればきっとこの店を好きになれる」


 かえでの奇妙な提案に春子は困ったような顔をする。


「ラムだワインだ高い酒ばっか飲みやがって。俺みたいに小遣い三万円の暮らしをしてみろ。簡単にはこの店の敷居を跨げなくなるぞ」


 日本酒を飲むことがすでに贅沢になっている嵯峨は、ひがんだようにそう言いながら春子に日本酒のお代わりを頼んだ。


「確かに新さんはあまりこの店では見かけないわね。クバルカさん。新さんにも飲ませてあげればいいのに」


 いつも隊の飲み会の勘定をツケで払ってくれているランに春子はそう言って頼み込んだ。


「いくら女将さんの頼みでもそれは無理だ。茜からきつく止められてる」


「そうです。お父様に足りないのは経済観念です。ちゃんと小遣いの中で暮らしてください」


 ランと茜に責められて嵯峨は肩をすぼめて日本酒を飲んだ。



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