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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第四十一章 すべての後片付けに関して

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第188話 戦場の『異能者』に関して

「皆さんに集まってもらったのは例の遼から寝返った反乱軍の07式のパイロットを焼き殺した法術師ですが」 


 会議が始まると同時に茜は開口一番議題を口にした。


 第二小隊の設立に伴い、茜の召集で臨時会議が行われることになった。


 その場には誠、かなめ、カウラの第一小隊の三人と法術特捜から指名を受けて事件が発生した場合には指揮を執るアメリアが居た。さらに第二小隊の小隊長であるかえでと副官のリン、それに訳も分からずここに居るアンの姿があった。そして機動部隊を束ねるランの姿も当然あった。


 そして書記を務める法術特捜で茜の唯一の部下であるカルビナ・ラーナ巡査となぜか嵯峨の姿まであった。


「ではお父様。モニターの準備を」


 娘には逆らえない嵯峨は手にした端末を操作して全員に見えるように机の上のモニターを調整した。


 そこには誠の機体からの映像が映し出されていた。法術範囲を引き裂いて進んでくる07式が急に立ち止まり、コックピット周辺を赤く染めた。そして内部からの爆発で焼け焦げる胴体が映し出される。つんのめるようにして機体はそのまま倒れこんだ。その間十秒にも満たない映像が展開される。


「クバルカ中佐はこの芸当を見せた人物が先日、豊川市内で神前達を前に法術の力のデモンストレーションをした人物と同一人物と言ってるけど……お父様はどう思われますか?」 


 茜の言葉に嵯峨はただ首をひねるばかりだった。そして静かにタバコの箱に手を伸ばす。そして視線を娘の茜へと向けた。


「俺の推論はどうでも良い。俺の中では結論はもう出てるんだ。とりあえず小隊長を鍛えるってことで、ベルガー。お前さんはどう思う?」


 嵯峨はその人物を知っている。誠にもこのことは分かった。そして、その事実を知った上で自分達を試していると言うことも理解できた。


「警部のおっしゃる可能性は高いとは思いますけれど確定条件ではないですね。確かに私もいろいろとデータをいただきましたが、炎熱系の法術と空間制御系の法術の相性が悪いのは確かなのですが……」 


 カウラはそう言いながら嵯峨に目を向ける。


「確かに両方をこれだけの短い時間で的確に展開すると言うのは普通は無理だな。でも素質と訓練次第でなんとかならないかと言うとできそうだと言うのが俺の結論なんだ。そしてそれをやる男を俺は知っている。まあ、答えが分かり切ったクイズだと思って付き合ってくれや」 


 すでに嵯峨の中では答えが出ている以上、他の参加者は嵯峨に遊ばれているようなものだった。嵯峨はモニターに表を展開させた。


「誰だ!教えろよ!もったいつけやがって!叔父貴の秘密主義も大概にしろよ!」


 気の短いかなめが叫ぶのをかえでが視線で制した。


「こいつがなんで俺達の行動を予測できたのか。そっちの方が俺には気になってね。そいつが関心を持ちそうな資料を俺なりに色々探してみたんだ」


 そう言うと画面は表計算のデータに切り替わった。


「カント将軍の裏帳簿ですか。それなら多分もう公安機動隊の安城少佐が極秘裏に潜入して現物を押収しているはずですわよ」


 茜は司法局の本当の『特殊部隊』と呼べる、サイボーグばかりで構成された攻勢の襲撃・情報収集部隊である公安機動隊の安城秀美(あんじょうひでみ)少佐の手にその資料があると指摘した。 


「秀美さんにもお願いしてね、教えてもらったの。結局、同盟にくさびを打とうという魂胆だったアメリカさんにはこいつで手を打ってもらったんだ。生きたままカント将軍を引き渡せばどんないちゃもんをつけられて同盟解体の布石を打たれるかわかったもんじゃないからねえ。そのために秀美さんに頼んでご当人にはお亡くなりになっていただいた」


 嵯峨は物騒なことを平気で言った。カント将軍の死。それがバルキスタンの混乱を止める一助になることは明らかだったので、この場にいる一同はほっと胸をなでおろした。


「まあ、ご当人が死んだことでアメリカさんも遼州星系内での活動を規制する条約に調印している以上、これ以上変な動きをすれば自分の首を絞めることはわかっているだろうからね。ここはお互い痛み分けで平和に行きましょうって話になったわけ」 


 そう言うと嵯峨は取り出したタバコに火をつけて話を続けた。


「地球圏の連中も甲武が協力してくれる見込みが無くなったからにはそう突っ込んでこの件を騒ぎ立てるのは一文にもならないくらいの分別はあるだろ。それにベルルカン大陸の他の失敗国家の独裁者達も自分がカント将軍の二の舞になるんじゃないかと心配しているだろうからしばらくは自重してくれるだろうからな。まったく俺も人が良いねえ、こんなに俺のことが大嫌いな人達の弱みを消し去ってあげたんだから」 


 名前は消されてはいるが、誠にもわかるそのすさまじい金額の並んでいる帳簿に一同は目を丸くしていた。


「まあ隊長を嫌っているVIPには別のところで隊長に煮え湯を飲ませるつもりなんじゃないですか?例えば予算とか、人事とか」 


 カウラの言葉に一同は笑い声を漏らした。だが、その中で伏せるまでもなく名前が空欄になっている部分がスクロールされてきた。


「良い指摘だなカウラ。俺の性格からしてそうするのが当然だとあちらさんも思ってるだろうよ。だから、今のところ特に動くつもりは無い。それより例の法術師が俺達の動きをどこで察知したかに俺は興味があるんだ」


 いつものように何を考えているのかよく分からない笑顔を絶やさずに嵯峨はそう言った。



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