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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十九章 怪しい魅力の『男装の麗人』

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第181話 誠のあずかり知らないところで決まったこと

「すまないが案内をしてもらえないだろうか?僕も第二小隊小隊長の任務に早くなじみたい。それと君を理解したい……良いかな?」 


 車から降りるとかえではそう言いながら自分で荷物を下ろし始めた。そしてそれが終わると誠も動揺するような美の化身と言う感じの流し目を誠に向けてきた。


「僕はこの車を戻さないといけないんで」


 誠はかえでに関わるとろくなことにならないと自分の本能が告げているのが分かり、そう言ってその場を離れようとした。 


「あと、君には先ほど言い忘れた事が有ってね。実は僕は君の『許婚(いいなずけ)』なんだ」


 今日は驚くことばかりだった。誠はここまでくるとすべてがどうでもよく思えてきていた。


「あの……それって先ほどのうちの母さんとかえでさんのお母さんで決めたことですか?」


 念を押すように誠はそう言った。


「そうだよ。君のお母さんにとって、君は自慢の息子なんだそうじゃないか。ただ全くモテないのが問題だって君の母さんは思っているらしい。そのことを母の康子も聞いて詳しく君の事を聞いたら君の事を大変気に入っていてね。君にならかえでを預けられると喜んで君の母さんの提案を受け入れたらしい」


「僕の母さんが言い出したんですか!聞いてないですよ!そんなこと!」


 誠はすでに何度目かの心の死に直面していた。母からはかえでとの『許婚』関係の事は愚か、かえでの存在すら知らされていない。


「そんな僕の知らないところで決められたことなんて無効です!僕は……」


 反抗しようとする誠のそばにかえでがたおやかな手を差し伸べて近づいてくる。


「そんなに僕が嫌いかい?今回の『許婚』の件は無かったことにしたいと君は言いたいのかい?少なくとも僕はそれは嫌だな」


 誠の耳元まで顔を近づけてきたかえでは誠の耳元でそうささやいた。


「しかも、アンが海のホテルの風呂場で君のモノを見たそうだが、とても立派なモノを持っているそうじゃないか……モノじゃ君には分からないか。君の男性器のことだよ……女性がそんなことを言うなって顔をしているね。でも、僕は男性にその点も求めてしまうんだ」


 ここまでかえでが言うと反射的に誠は直立不動の姿勢を取ってかえでに向って敬礼した。この人は危険だ性的な意味で。誠の本能は彼にそう告げていた。


「君が純情なのはお母様からも聞いている。今の話題はちょっと君には刺激が強すぎたようだ。僕達はここで待っているから」 


 そう言うとかえで達は正面玄関に降り立った。誠はそのまま車を公用車の車庫に乗り付けた。


「なんだかなあ……でもあんなこと言われたの僕の人生初だな。というかなんで僕の男性器の話になるんだよ。確かに中学生のころよく『でかちん』とか『馬』とか言われていじめられた思い出があるけど……女の人って大きい方が好きなのかな。これが『モテ期』って奴?ただ……なんだかあの人からは危ない雰囲気がするんだよな……ふつう女性がいきなり男性器の話をするか?まあ西園寺さんならしそうか。でも西園寺さんと同じで関わるとろくなことにならない雰囲気があるな。深入りはしないようにしよう」 


 そう言いながら誠は公用車のキーを箱に戻した。誠は苦笑いを浮かべながらかえで達のところへと走り出した。



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