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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十八章 少年兵の着任

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第175話 誠、『ヒーロー』になる

「ヒーローの到着だぜ!」

 

 後部座席の窓に張り付いてかなめはVサインをする。それを見つめる技術部の面々はいつも通りのけだるい雰囲気を纏っていた。あのバルキスタンでの勇姿が別人のことのように見えるだらしない姿の彼等に誠はなぜか安心感を感じていた。


「おう、写真はアタシの許可を取ってから撮れよ!それとサインは一人一枚だからな!」 


 かなめは群がる留守を守っていた整備班員達に声をかけていた。派手な出動で疲れ切っている出動した隊員達とは対照的に留守を守っていた技術部員達は今回の出動でも活躍した誠を一目見ようと元気にカウラの『スカイラインGTR』に駆け寄ってきた。


「西園寺さんはいつ神前のマネージャーになったんですか?それにサインなんてできませんよ、僕」 


 車の中を覗き込んで笑顔を浮かべる彼等にかなめが手を振るとカウラが車を発進させた。


「ずいぶんと機嫌がいいわね。何か良いことでもあったの?」 


 沈んだ声でアメリアが振り向く。かなめは舌を出すとそのままハンガーを遠くに眺めていた。


「まあ西園寺は今回の出動では散々暴れられたからそれでいいんだろ。貴重な出撃機会だ。私としては電子戦以外の戦闘に関する私の05式の運用データが取れれば良かったんだがな。今回のような単調な戦闘任務は私にはどうも性に合わない。やはり電子戦が私には適している」


 カウラはわけもなく浮かれているかなめを一瞥する。 


「そんなの必要ねえ!アタシが居れば戦場はオールオッケーだ!05式は最高だぜ。特に不足するスペックが出なかったんだから良いじゃねえか……機動力は除くけどな。今回も機動性がもっと高ければあんな任務、楽勝だったのに」 


 カウラの言葉にもかなめは陽気に返事をする。誠は逆にこの機嫌の良いかなめを不審に思いながら、落ち込んでいるとしか見えないアメリアを眺めていた。


「おら降りろ!ヒーローの邪魔だろ!」


 かなめは車が止まるとそう言って落ち込んでいるアメリアを後ろから殴りつけた。


「何よ!殴ることないでしょ!それとヒーローなのは誠ちゃんであって、かなめちゃんは関係ないじゃないの」


 後部座席のかなめに小突かれてアメリアが助手席から降りた。それに続いて降りてきたかなめを見ながら誠は狭苦しさから解放されて伸びをした。


 そこに息を切らせて島田と共に出張に行っていたはずのサラが血相を変えて駆け寄ってきた。


「誠ちゃん!隊長が呼んでるよ!急げって」 


 そう言い残すとサラはそのままハンガーへと消えた。その様子は良い知らせとも悪い知らせとも判断できないほど素早いものだった。


「なんだ、神前、また降格か?」 


 相変わらずの上機嫌でかなめは誠の肩を叩く。


「じゃあ先に着替えますから。それから隊長室に行きますんで」 


 誠はそのまま珍しく正門から司法局実働部隊の隊舎に入った。



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