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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十八章 少年兵の着任

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第174話 けだるい出動後の初出勤

 カウラは菱川重工豊川工場の通用門に『スカイラインGTR』を乗り入れた。車内には運転手のカウラの他に誠、かなめ、アメリアが乗っていた。


「でも本当に神前は大丈夫なのか?あれだけの力を使ったんだ。前回の『光の(つるぎ)』を使った時も帰ってきてから色々あったじゃねえか。今回もちゃんと検査とか受けたほうがいいんじゃねえの?」 


 黙って下を向いている誠の隣からかなめが顔を近づけてくる。誠も彼女に指摘されるまでも無く倦怠感のようなものを感じながら後部座席で丸まっていた。確かにあれからずっと倦怠感に悩まされているのは事実だったが、それは法術の発動よりもランに飲まされた芋焼酎によるアルコール中毒の後遺症なのだとかなめに説明するのが面倒くさかった。


「大丈夫ですって!ひよこさんも自然発生アストラル波に変化が無いって太鼓判を押してくれましたから。それに昨日まで寝てたのはただの三日酔いですから。本当に大丈夫ですって!」 


 車は出勤のピークらしく工場の各現場に向かう車でごった返している。カウラは黙って車を走らせる。


「生協に寄るか?アメリア、おやつとか買うんだろ?今の時間なら結構空いていると思うが……どうだろう?」 


 珍しく気を利かせたカウラの言葉にアメリアは首を振った。


「珍しいな、貴様らしくないじゃないか。おやつの買い出しとか行かないのか?間食は貴様の趣味の一つだろ?貴様から趣味の多さを取ったら何も残らないんだから、おやつを買いに行け」


 いつもなら10時と3時のおやつとそのおまけ目当てに生協に寄りたがるアメリアが座席で大人しく首を横に振る。


「別にいいわ……なんだか眠くて。あの出動があってからずっとなのよ。寄るんなら病院の方が良いかもね。ああ、別に心配なんかしてくれなくても良いわよ。原因は分かってるから……昨日新作のコントの台本を書いてたの。乗りに乗っちゃって結局徹夜になっちゃって……それで疲れてるだけだから。安心してね」


 いかにもだるそうにアメリアはそう答えた。


「全く、自分勝手な奴だ。変な奴だとは思ってたがここまでとは。それにそのコントの台本を書いてたと言うことで徹夜をしたのなら自業自得だからなアタシの責任じゃねえ」


 かなめの上機嫌に対してアメリアはどこかしらブルーだった。そこが気になるのかかなめが顔を突き出していやらしい笑みを浮かべる。


「なんだよ……何か言わないのか?」

 

 そう言うとかなめはアメリアの紺色の髪に手を伸ばす。


「いきなり引っ張って!痛いじゃないの!本当にかなめちゃんは子供なのね」 


 突然髪を引っ張られてアメリアはかなめをにらみつける。


「おう、子供で結構!なあ、神前」 


 その異様にハイテンションなかなめに誠は苦笑いを返す。車は当番の技術部員が待機しているゲートに差し掛かった。


 一同が今一つ乗り切れない中、今度の出動で暴れるだけ暴れられたかなめはすっかりこれまでため込んでいたストレスを発散しきったようで元気そうに周りの乗りきらない誠達を見回していた。



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