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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十六章 二日酔いと日常

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第169話 飲み方と言うものを知らない女

 誠が気になっていたのは隣に誰が寝ているかと言うことだった。アルコール中毒の状態は誠よりかなりひどいと言う話である。


 かなめはここに居る。アメリアもここに居る。そうなると導き出される結論は一つしか無かった。


「それと隣の。あいつはそれほど飲める体質じゃないって言ってなかったか?ラスト・バタリオンは飲めないと言うほど弱くはないが、酒豪と言うレベルには製造されていないはずだぞ」


 軍医はそう言って隣のカーテンに目を向けた。相変わらず誠の耳に隣の女性のうなり声が聞こえてくる。 


「いやあ、ビールでああなるとは思ってなかったから……神前は蒸留酒を飲んだから潰れて当然かもしれないけど、ビールだけでああなるとは……」 


 かなめがうつむいて何度も言い訳を口にするが、すぐに軍医ににらまれて黙り込んだ。


「隣ってもしかしてカウラさんですか?」 


 飲んだ液体のおかげで次第に意識がはっきりとしていく中で誠がそう切り出した。頭を掻きながらアメリアが頷いた。


「あの娘も意地っ張りだからね。誠ちゃんやランちゃんが飲むのに合わせてビールを飲み続けたらあんなになっちゃったの。本当に真面目で付き合いが良いのも考えものよ」 


 アメリアの状況説明で誠の消えた意識の中にカウラの姿がうっすらと浮かんでくるのを感じた。


「うるさい……静かにしろ……こっちは苦しいんだ」 


 カーテンを開けてカウラが這い出してきた。自分が下着姿であることにまで気が回らないようで、しばらくぼんやりと青ざめた顔を外気にさらしている。


「おい、カウラ。その格好。なんとかならねえのか?一応、神前も男だぞ」 


 かなめの言葉に少し理性を取り戻したカウラがそのままカーテンの中に引っ込んだ。


「まあ飲むなとは言わないですけど……。大人ですよね?みなさん。少しは考えて飲んでくれないと。それと今回のことで酒の持込を隊長に止めてもらうことが必要かもしれませんね」 


 これまで黙って会話を聞いていたひよこがそう言ってかなめ達に絶望を与えた。


「おい!まじか?アタシは嫌だね、そんなだったら出動しねえ、仕事もサボる。ああ、そんなことしたらちっちゃい姐御が隠れて持ち込むだろ、酒を。それを盗む……ってそんなことしたら確実に殺されるか」 


 ひよこの目に見えて強気な言葉に今度はかなめの顔が青ざめた。


「西園寺大尉の持ち込みは量が多すぎるんだよ。今回だって差し入れってことでウォッカ3ケースに焼酎が……何考えているんだか……これからは自分が飲むラムだけの持ち込みで結構です。戦勝祝いの酒は我々艦船管理部が引き受けます」 


 軍医の言葉に室内の空気はどんよりとよどんだ。



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