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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十五章 『永遠の世紀末』の国への出発

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第167話 かえでの転属の話

「それよりどうだい。うちへの転属の件。今回の甲武行きで結論は出たんだろ?」


 嵯峨は話題を変えてかえでの今後について質問した。 


「何度も同じこと言うんですね。もうすでに甲武海軍大臣の辞令は出ています。来週には実際に東和海軍視察と言うことで東都に出張が決まりましたよ。それでそのまま司法局実働部隊への転属と言う形になる予定ですよ」 


 呆れたようにかえでは腰に手をやり笑顔を浮かべる。


「ああ、なんとかこれで遼州同盟司法局もスタッフが揃うことになるからな。いろいろと大変になるがまあがんばってくれよ。それこそ第二小隊の方が法術師としての実戦経験を積んでる人材が二人も居るんだ。それの小隊長としての活躍、期待してるぞ……と言っても肝心の05式の納入がかなり先になりそうなんだよな……うちは予算が厳しくって。臨時予算が組まれるまではたぶん機体無しの勤務になるんでその辺はよろしく」


 嵯峨はかえでが隊長を務めることになる第二小隊の事をかえでに任せた。 


「了解しました!特務大佐殿!機体が来るまでは自分自身の法術師としての能力を鍛え上げます!」 


 そう言うとかえでとリンが敬礼した。嵯峨はそれに敬礼で返した。


「と、言う訳だ。『特殊な部隊』はもうすでに問題満載だから。お前さんまで問題起こされると色々面倒なの。東和に来たら多少は自分の行動に責任をとってね。もう立派な大人なんだから。じゃあ、時間だから俺は行くわ」


 それだけ言うと嵯峨はそのまま人ごみの中に消えて行った。


「かえで様、本当によろしいのですか?嵯峨少将には自分が一番の問題児だと言う自覚が無いように見えるのですが」 


 不安げにリンがかえでの右手を握り締める。かえでは覚悟を決めたようにその手を握り返した。


「義父上も子供じゃない。それにこの港の警備システムは先日の狙撃犯の供述でかなり信用できるようになったはずだ。それに行先は遼州で一番治安の良い東和だ。万が一にも問題が起きることは無いだろう。それにあちらにはお姉さまが居る。大丈夫だ」 


 そう言うとかえでは振り向かずに空港のロビーを出口へと向かった。


「楽しみだな、東和。お姉さまはご健勝であらせられるだろうか……お姉さまの縄と鞭……再び私を虐めていただけるだろうか……」 


 かえではそのままガラスで覆われた天井を眺める。そこには甲武らしい赤い雲が漂う空があった。かえではその変態的な欲望に身をよじらせながら遠くの宇宙の下の姉の事を思っていた。


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