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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十四章 恒例となった祝杯

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第161話 『ヒーロー』とヒロイン志願者

「そこ!何してんだよ!」 


 かなめが誠に纏わりつくアメリアに向けて怒りに任せてそう叫んだ。


「あら?かなめちゃんはカウラに酒の飲み方を教えるんでしょ?私は我等がヒーローと喜びを分かち合う集いに出るだけよ。何か文句でもあるの?鉄砲馬鹿はご自慢の銃でも磨いていれば?」


 アメリアは明らかにかなめを挑発する気満々でそう言ってのけた。 


「銃の話はどうでも良い!じゃあ、だったら何でそんなに誠にくっついているんだ?何のつもりだ!アタシへの当てつけか?」 


 誠は自分の顔が茹蛸のようになっているのがわかった。明らかにアメリアは胸を誠の体に擦り付けてきている。長身で痩せ型のアメリアだが、決して背中に当たる彼女の胸のふくらみは小さいものではなかった。


「うらやましいねえ、神前曹長殿!」 


「色男!」 


「あやかりたいなあ!」 


 そんな誠への野次が飛ぶ。モテない宇宙人である遼州人にとってこんなおいしいシチュエーションは貴重だった。話し合ってはにやけてみせる技術部の面々に誠はただ恥ずかしさのあまり視線を泳がせるだけだった。


『みんな!楽しんでいるところ悪いけど、島田達のお迎えに言ってたランチが入ってくるので移動してもらえる?』 


 格納庫に不愛想な操舵種のルカ・ヘスの声が響く。技術部の面々はそれぞれに酒瓶を持ちながら床に置いた銃を拾って立ち上がった。


「じゃあオメエ等それ持て」 


 かなめはそう言うとビールと氷の入ったクーラーボックスを足で誠達の前に押し出す。


「私達で?」 


 アメリアは露骨に嫌そうな顔をする。アルコールが回ってニコニコとし始めたカウラが勢いよく首を縦に振る。


「すみませんね、アメリアさん」 


 そう言うと誠はクーラーボックスのふたを閉めようとした。


「もう一本もらうぞ」 


 カウラはそれを見てすばやくクーラーボックスの中の缶ビールを一本取り出した。


「意地汚いねえ。カウラも酔うと人格が変わるのかねえ」 


 そんなカウラを鼻で笑いながらかなめはウォッカの酒瓶を傾けて、半分ほどの量を一気に飲み干した。


「さっさと武器の返還してと!飲むぞ!今日は!実はいつもの伏見の辛口を持ってきてるんだ。それにせっかくカウラもビールを飲んでる。今日は全員吐くまで飲ませるからな!」 


 部下達にそう言うとランは笑顔を誠に向けてきた。


「吐くまで飲むんですか……吐くのはもう勘弁ですよ。ようやく乗り物酔いから解放されたのに酒で吐いてたら意味ないじゃないですか」


 かつて『もんじゃ焼き製造マシン』と呼ばれた青年はこの『特殊な部隊』の乗りについていけずただ苦笑いを浮かべることしかできなかった。



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