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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十四章 恒例となった祝杯

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第160話 天性の『お人好し』

 そんな会話が続いている間も、パーラはカウラがこぼしたビールを雑巾で拭いたり、雑談する整備班員が欲しがる乾き物を取りに行ったりと一生懸命働いていた。


「いい奴だよな、あいつ。パーラの奴が真面目にやってないところ見た事ねえぞ」 


 そんなパーラを見ながらかなめはそう言った。ただ、かなめはこういう時言うだけで決して手は貸さないのはいつものお約束だった。


「そうね。本当にいい娘よ。運航部長としてはパーラに居てもらわないとこの艦は動かないのよ。貴重な戦力だわ」


 そのパーラに一番迷惑をかけている張本人であるアメリアはそう言いながらこまごまとした雑用を片付けていくパーラを遠くから眺めていた。 


「それにしちゃあお前さんは色々押し付けるんだな、面倒ごとを。アイツそのうちストレスで倒れるぞ。そうなったらオメエのせいだかんな」


 ラムを飲みながらかなめはアメリアを冷やかした。


「世話好きなパーラだもの……生きがいを与えてあげてるのよ。これも上司の務めって奴よ。あの子が倒れることなんて無いから安心して良いわよ。ちゃんと考えて面倒ごとは押し付けているんだから。そこは出来た部長としてしっかり管理してるの。立派な管理職でしょ」 


 かなめとアメリアのやりあいを聞きながら不幸なパーラに同情しながら誠は味わうようにして瓶ビールを飲み干した。


「そこの三人!来い!」 


 叫び声に振り向いたかなめと誠にランが手を振る。


「そうだな、ヒーロー!」 


 かなめは誠の肩に手を回そうとするが、その手をアメリアが払いのける。


「何をしようとしていたのかしら?もしかしたら誠ちゃんと肩を組んで……」 


「な、な、何言ってんだ!誰がこんなへたれと肩を組んでキスをしたりするもんか!」 


 そこまで言ったところでかなめに視線が集まる。技術部の酒盛りを目の前に仕事を続けている隊員達の視線がかなめに集中する。


「……誰もキスするなんて言ってないわよ」 


 アメリアの言葉が止めを刺してかなめが頬を赤らめて黙り込む。


「ビールがうまいな」 


 突然、場を読まずにカウラがそう言った。かなめは誠から離れてカウラの肩に手をやる。


「うまいだろ?仕事のあとの酒は。オメエは飲まないだけで飲もうと思えばパーラぐらいは飲めるはずなんだから。さあぐっとやれ!」 


 かなめは明らかに焦った表情を浮かべてカウラに向ってそう言った。


「あからさまに話をそらそうとしているわけね……じゃあ」 


 そう言うとアメリアが誠の肩にしなだれかかる。その光景に口笛を吹いたり手を叩いたりして技術部の酔っ払い達は盛り上がった。振り向いたかなめが明らかに怒っている時の表情になるのを誠は見ていた。しかし、タレ目の彼女が怒った顔はどこか愛嬌があると誠はいつも思ってしまい、顔がにやけてしまうのを止めることが出来なかった。



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