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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十四章 恒例となった祝杯

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第159話 気を利かせて酒を配る人達

「おっ、気が利くじゃねえか。ビールか?それちょうどいいところに来た。神前、ビールだぞ。飲むだろ?」 


 かなめの手にはすでに愛飲するラム『レモンハート』の瓶が握られている。アメリアはかなめを見つめながらにやりと笑うと格納庫の床に置いたそのクーラーボックスを開く。中には氷と缶ビールが並んでいる。


「どうぞ、どんどん取ってよ。あちらもかなり気分良くなっているみたいだしね」 


 アメリアが振り向いたので、かなめと誠はそちらに視線を走らせる。そこではほとんど飲み比べという勢いで酒を消費している整備班員の姿があった。


「じゃあ私も飲もうかな。疲れたしな」 


 カウラはそう言うとクーラーボックスから缶ビールを取り出した。


「え!」


 突然のカウラの言葉に誠は声を上げていた。


「そんなに驚かなくても良いじゃないか。『近藤事件』の時も私はビールを飲んだぞ」 


 そう言うと珍しくカウラが自分から缶ビールに手を伸ばす姿に周りにいた整備班員も運航部の女子隊員も動揺している様子が見えた。


「オメエはできれば飲まない方向でいてくれると助かるんだけどな。『近藤事件』の時もそうだったじゃねえか。オメエが飲みだすとろくなことにならねえ。できれば止めてくれ。特に月島屋の帰りとか、オメエの『スカイラインGTR』が無いとあそこから寮までの帰りのバスが無くって不便なんだ。頼むわ」 


 ラムをラッパ飲みしながらかなめがいつも飲み会で月島屋から寮までカウラに送ってもらっているのでそう言った。それに同情している誠とアメリアは同意するように頷いた。


「そんなもの運転代行を頼めばいいだけだろ?ああ、あの車は四人乗りか。なら貴様は走ればいい。サイボーグの身体は便利だな。疲れと言うものを知らない」 


 カウラはそう言うと缶を開ける。先ほどのアメリアとパーラが運んできた時の振動で震えていたのかビールの泡が吹き出し格納庫の床に広がった。


「おいおい、慣れねえことするから、神前!雑巾取って来い!」 


 酔ったかなめの言葉に誠はため息をつきながら立ち上がった。


「いいわよ、神前君。私が持ってくるから。アメリアも一緒に飲んでて」 


 そう言うといつもトラブルが起きた時には後始末を頼まれることばかりに慣れたパーラが居住ブロックに駆け出していく。


「全く、今回は潰れたふりなんてしないわよね?どさくさ紛れに誠ちゃんに近づこうなんて私が許さないから」


 アメリアはそう言ってビールを飲むカウラを威嚇した。


「そんなものはするつもりは無い。あの時はただの気まぐれだ。それより貴様こそ潰れるなよ。あの時本気で潰れたのは貴様の方だからな」


 カウラはそう言ってあの時は島田に追い詰められて一気を強制されて潰れたアメリアの話を蒸し返した。


「あれは島田君達が無理やり酒を勧めたのが悪いのよ。私はちっとも悪くないわ。私は単純に被害者。それだけよ」


 まだこの場に居ない島田にアメリアは責任のすべてを擦り付けた。


「その一気の提案を受けたのは貴様だ。全部貴様の責任だ。大人ならそんな酒断ればいい。雰囲気に流されやすいのが貴様の欠点だ」


 カウラは冷たくそう言うと缶ビールの半分ほどを飲み干した。



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