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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十二章 とりあえずの終戦

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第149話 とりあえず無事と言うことで

「あとの詳しい調査は技術部とひよこちゃんの仕事になりそうね……見て」 


 隣で狙撃銃を肩から提げて振り返るアメリアの視線の先にはゆっくりと降下してきている『ふさ』の姿があった。


「おい、ルカ。みんな無事だろうな」 


 顔を上げたランは通信端末に降下してきた『ふさ』の操舵手であり、アメリアがいない時に代行を務める操舵手のルカ・ヘス中尉に通信をつないだ。


『ええ、大丈夫です。うちは出動の際に転んで足首を捻挫した隊員が一名出ただけ。それだけ』 


 無口なルカはそれだけ言うとランとの通信を切った。


「アイツの無口も考えもんだな。それとアメリア、こっちはどうだ?」


 ランが背後を歩くアメリアに声をかけた。アメリアががけの下をのぞき見ると駆け足で駆け寄ってくるカウラの姿があった。


「第一小隊は全員無事です」 


 カウラの言葉にコックピットの上に乗っかっているランも頷いた。


 『ふさ』を見上げる誠達に向かって、『ふさ』から発艦した小型の揚陸艇が進んでくるのが見えた。


『あんまり動かさないでくださいよ。そいつは重要な資料なんですから』 


 珍しく仕事熱心なひよこのかわいらしい顔が通信端末に拡大された。


「おい!ひよこ。一言言っていいか?」 


 ニヤニヤ笑いながらかなめが怒鳴る。


『そんなにでかい声で……なんですか?』 


「もう少し自信持てや。オメエに悩まれるとアタシ等まで法術を信頼できなくなる。法術を信頼できなくなるってことは神前を信用できなくなるってことだ。第一小隊壊滅の危機だぞ」 


 かなめがそう言うと同意するとでも言うように倒れている07式を取り巻いているフル装備の誠達に同乗してきたのアメリアの部下達が笑う。


『西園寺大尉。良いじゃないですか……実際自信が無いんですから……』 


 消え入りそうな声でそう言ったひよこにかなめはタバコをくゆらせながら笑いかけた。


「やっぱり天然ポエム娘はだめだな。それより島田の馬鹿とは連絡がついたのか?あの馬鹿の事だもう目覚めてると思うぞ、アイツの生命力はゴキブリ並みだからな」 


 そう言ってかなめは通信機の画面を切り替えた。


「島田先輩ですか。もうあの人が出かけて行って一週間になるんですね。久しぶりだな……元気……じゃないですよね。僕の新兵器の一撃を生身で食らったんですから」


 誠はヒキガエルのようにひっくり返っていた島田を思い出して吹き出しそうになるのを堪えていた。


「それより、この遺体。たぶん調べても何も分からねえぞ。結局すべては闇の中だ」


 かなめは相変わらず07式のパイロットの遺体を見つめながらそうつぶやいていた。そしてそのまま通信端末のチャンネルを『ふさ』のブリッジに切り替えた。


 誠もなんとなく彼女に従ってチャンネルを変える。『ふさ』のブリッジが映し出されるがそこには運航部の女子隊員の姿が無かった。


「あれ何も映らないや」


 ただすでに仏様になった07式のパイロットの隣で誰も居ない『ふさ』のブリッジの画面を誠はむなしい表情で眺めていた。



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