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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第三十章 掌の上で転がされて

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第139話 突き放すように放たれたアメリアの言葉

『そうね、今回の作戦。隊長も誠ちゃんの心の弱さまでは読み切れなかったみたいね。そんなに心が弱いようじゃこれから生きていくのも難しいかも知れないわよ。さっきは言ってたじゃないの『逃げ切って見せる』って!もう大人なんだから自分で言った言葉の責任は自分で取りなさい!ちゃんと最後まで逃げ切って見せなさい!』 


 いつもと違う冷たいアメリアの言葉に誠の頭の中で言葉がはじけた。それは通信システムを通して発せられたものではなかった。


「アメリアさん!」 


 誠は叫んでいた。


『言いすぎだぞ!アメリア。神前!アタシは信じてるからな!お前の根性見せてみろよ!』 


 次に響いたのはかなめの声だった。かなめが先ほどの大軍と戦闘を続けていることに気付いて誠は我に返り、モニターでも捉えられるようになった二両のM5の姿に視線を移した。


『やれるはずだ。お前は私達の希望だからな。貴様無しでは今回の作戦はすべて駄目になるんだ』 


 カウラの声に誠は口元をぎゅっと引き締めた。


「カウラさんも言ってる!それに格下のM5相手ならこれで十分!」 


 三人の言葉に誠の心に火がつけられた。現れた二両は幸いにも誠が予想していたM7ではなく、なんとか対応が可能な格下のM5だった。むやみにレールガンを乱射するM5の弾道はすべて誠が無意識に形成していた干渉空間にはじかれた。


「舐めやがって!見てろよ!こっちも丸腰じゃないんだ!」 


 雄たけびと同時に誠は05式の固定武装の全ミサイルを先頭に立つM5に向けて発射した。


 非誘導型ミサイルは一斉にM5を捉えてまっすぐ突き進んでいく。ミサイルの雨を避けようと方向を変えようとしたM5の砲身に降り注いだミサイルの雨に形も残さないほどに砕け散った。僚車を失って残りのM5は怯んでいるのが誠の目にもわかった。レーダーに映る少し離れた敵影はかなめ、カウラ、ランの活躍により次第に数を減らしていくのが見える。


『誠ちゃん!早くして。予定時刻より1分以上遅れているわよ!そして目を見上げてみて!』 


 誠が爆炎の中から視線を持ち上げると漆黒の荒涼とした山並みの中に光のサインが見える。


「目標地点はあそこですね!ここから一気に行きますよ!」 


 そう言うと誠は05式広域鎮圧砲のバレルを展開させながら一気に山を一つ飛び越え、ビーコンを出して着陸地点を確保している部隊に合流を果たした。


 誠は山並みに機体を無事に着陸させる。いつもの危なっかしい着陸ばかりの誠の見せた見事な着地に東和陸軍の面々は賞賛の拍手を送った。タクティカルベストに小銃のマガジンを巻きつけた兵士達の笑顔も誠の機体のコックピットの中のモニターに映っている。すぐさま誠はコックピット座席の後部からキーボードを引き出し、模擬戦で何度と無く叩いたコードを入力していく。


「効果範囲ビーコン接続作業開始!法術系システムを主砲に充填開始!必要時間……2分!」 


 同じく東和陸軍特殊部隊の誘導でカウラの機体が着陸した。


『やったな、神前。我々の勝利だ』


 モニターの中でヘルメット越しに笑顔のカウラの姿が誠の目に飛び込んできた。



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