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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第二十八章 『鬼姫』の面目

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第129話 娘の転属を気遣う『鬼母』

「そう言えばかえで。転属の件は片付いたのか?」 


 嵯峨は肩をまわして先ほど康子に砕かれた右肩が直ってきているのを確認していた。これ以上康子に付き合って自分のペースを乱されるほど嵯峨はお人好しでは無かった。


「ええ、すべて書類上の手続きは終わりましたから。これで甲武でする事は無くなりました。先ほどの『許婚(いいなずけ)』の件ですが、義父様は知りたくないのでは?」


「見当はついてる。アイツか……年齢的にはちょうど釣り合うのは確かだし、同じ法術師だし、まあ、悪い奴でも無いんだが……また、変なのを選んだもんだ、義姉さんも」


 嵯峨はかえでの許婚の相手の顔を思い描いて苦笑いを浮かべた。 


 かえでの『マリア・テレジア』計画が発覚して以来、かえでは『転属先の下見』の名目で東和共和国の豊川に購入した豪邸に身を潜めていた。今こうして甲武に居るのは嵯峨家の家督相続と甲武海軍での転属手続きの最終的な書類を提出する為だった。


「そうか。まあ、お前さんは気楽でいいよな……これまで孕ませた自分に惚れた女からまんまと逃げおおせることが出来るんだ。うらやましい限りだよ」 


 嵯峨は学生時代の火遊びの結果ひどい目を見たことが何度かあったので、今回の転属により火遊びから逃げることが出来るかえでの事をうらやましがった。


「いえいえ、逃げたつもりは無いですよ。僕がかわいがってあげた24人ともみんな仲良くしてくれていますよ。僕の子供をどう育てるか、誰が一番優秀に育てるか。そんな話題で持ちきりだそうです。今でも連絡は取っていますよ」


 全く懲りていないかえでは自分のハーレムの現状を義父である嵯峨にそう報告した。嵯峨にはもはや言葉にするべきものが見つからなかった。


 嵯峨は湯飲みを置いて立ち上がる。そのまま手にしていた木刀を正眼に構えすり足で獅子脅しのある鑓水の方へと歩み寄っていく。


「ああ、そうね。そう言えばかなめちゃん。元気かしら?この前連絡してもさっぱり音沙汰無し。私ってあの子に嫌われているのかしら」 


 あっけらかんと康子が娘の名を呼んだ瞬間、嵯峨親子は微妙に違う反応を見せた。


「お姉さま……」


 明らかに困ったことを言われたなというように木刀を納めて、照れ笑いを浮かべながら嵯峨は義姉を見つめた。一方かえでは頬を赤らめて遠くを見つめるような浮ついた視線をさまよわせた。


「私もね、さっきの『許婚』の話が破談になるようなら、かえでちゃんとかなめちゃんが結婚するのが一番いいように思えてきたのよ。確かに姉妹同士だけど前例はあるって新ちゃんも言うし……『マリア・テレジア』計画をこれで完結させると言うのもアリなんじゃないかと。東和の『許婚』がどうしてもかえでじゃ嫌だと言ってきたらそちらの方向で話を持っていきましょう」


 屈託のない笑顔を浮かべて康子は嵯峨にそう言ってきた。 


「それはそうなんですがねえ……」 


 口答えをしようとした嵯峨だが、康子に見つめられるとただ口を閉じて押し黙るしかなかった。


「かえでちゃんなら安心よね。新ちゃんとは違ってきっちりしてるし……あの人にもあまり似ていないみたいだし」 


 かえでの後ろに白い幅のある髪留めでまとめられた黒く長い髪を撫でながら康子は再び義弟(おとうと)に視線を送る。ごまかすようにして廊下を小走りに走る人影に嵯峨は目を向けた。そこには西園寺家の被官である別所晋一がいつもの寡黙な表情のままかえでの座っているところまで来ると片膝をついて控えた。



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