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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘  作者: 橋本 直
第二十四章 戦地への出撃の時

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第115話 部隊長らしいところ

「よく借りれたな、こんなの。P23は最新型で……三春基地に去年3機配備だっけか?そして現在も配備待ちの基地がちらほら……東和宇宙軍も人がいいねえ」 


 そう言いながらかなめは低い天井に手を伸ばす。誠は空いている席を見つけて座った。


「隊長が出発前に押さえておいてくれたのよ。そうでなければ借りれるわけなんか無いじゃない、こんな最新型」 


 アメリアの言葉にかなめは納得したように頷く。再び後部格納庫のハッチが開いてカウラが顔を出した。


「本当に大丈夫なのか?この鈍足の輸送機では制空権が取れていない状況ではただの的だぞ」 


 そんなカウラの言葉にアメリアは目の前のモニターのところに来いと言うように手招きした。誠とかなめもカウラと並んでアメリアの前のモニターを覗き見る。そこにはバルキスタンの地図が映し出されていた。


「まあ、進入ルートについてはこちらで随時検討するから良いとして……東和宇宙軍による航空制圧地域を重ねてみるわね」 


 アメリアはそう言うとバルキスタンの北半分を多い尽くす範囲を指定した。


「そんなことは分かってるんだよ。東和政府のベルルカン大陸での飛行禁止措置の解除がされていないことも完全に理解済み。その上で言ってるんだ。相手が紳士ならこの範囲の中にいる限りこの鈍い輸送機でもピクニック気分で行けるかも知れねえ……けどなあ」 


 かなめの表情は相変わらず暗かった。


「まあ護衛は東和最強で知られるパイロットをよこすってちっちゃい姐御も言ってたから大丈夫なんじゃないの?」 


 アメリアのランを指す『ちっちゃい姐御』の言葉がつぼに入って笑い出してしまった誠にかなめとカウラの冷ややかな視線が降り注ぐ。アメリアも咳払いをしながら説明を再開した。 


「こちらの進入空域に関しては技術部の面々がいろいろとダミー情報を流してくれているからそう簡単には政府軍にも反政府軍にもバレないわよ。さらにバルキスタン政府軍のレーダーはあと5時間後にうちの技術部の情報士官共のクラッキングを受けて使用不能になる予定なの。完全復旧には三日はかかるでしょうね」 


「技術部の連中、ボーナスの査定時期だからって気合入れてるなあ」 


 そう言いながらかなめは笑う。誠も伝説になっている実働部隊技術部のクラッキング技術を知っているだけに少しばかり安心して笑みを浮かべていた。


『クラウゼ少佐!発進準備完了しました!』 


「では発進よろし!」 


 アメリアの言葉が響いた後、輸送機のうなる反重力エンジンの駆動音と共に軽い振動が誠達を襲った。


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