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男爵家の六人目の末娘は、○○を得るために努力します  作者: りな
第1章

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王女、王に進言する

謁見の間。

黄金の装飾に囲まれた広間で、王女クラウディアは優雅に膝を折り、声を響かせた。


「父上――。報告がございます。学院におきまして、とある生徒が注目を集めております」


王は重々しく頷いた。

「ほう。例の、歌を披露した優待生か」


クラウディアは待っていた、とばかりに微笑んだ。

「はい。リリアーナと申します。彼女は剣術にも秀で、調剤の才もございます。さらに、あの歌声は人の心を打つ。外交の場に連れていけば、きっと良い結果をもたらすでしょう」


彼女はわざと声に熱を込め、言葉を飾った。

「彼女にとっても大きな経験となりましょう。学び、成長し……必ずや父上に感謝いたしますわ」


にこやかに、しかし瞳の奥に冷たい光を潜ませて。


玉座に腰かける王は、しばし沈黙した。

広間の空気が張り詰める。


やがて王は側近を振り返った。

「……まずは調査だ」


「はっ」側近が即座に答える。


王は再び娘を見た。

「確かに才ある者を国に活かすは良いこと。だが、外交に連れて行くとなれば、相応の覚悟と実績が必要だ」


クラウディアは一礼し、笑みを深めた。

「……勿論です」


(ふふ……調査で彼女の力が認められれば、舞台は整う)


王女の胸には、黒い炎がさらに燃え広がっていった。



王城・執務室。

机に積まれた羊皮紙を、王はゆっくりと繰っていた。


「剣術……力量は確か。薬学……知識は豊富。常に一人……。王女が言うほど功績が抜きん出ているとは思えぬな」


王は報告書を指で叩いた。


側近が口を開く。

「陛下。王女殿下は――リリアーナ嬢と親しいユリウスを思慕しておられます。あのお方の目には、彼女がどうしても“邪魔”に映るのでしょう」


王は小さく鼻を鳴らす。

「浅はかな……。それでこの嫌がらせか」


重々しい沈黙が落ちる。

だが次の瞬間、王は視線を側近から外し、窓の外を見やった。


「……だが、歌声の報告は気になる」


側近が片眉を上げる。

「魔力を帯び、人心を揺さぶる歌。確かに」

「陛下……また“自分は影”でお試しになるおつもりですか」


王は口の端をわずかに上げた。

「はは……余は、己の耳で確かめねば納得せぬ性分よ」


「よろしいでしょう。登城の理由など適当に作れます。学業優秀者として将来の話を聞く、あるいは薬学の才を買って王室御用達の薬師の手伝いの打診、課外学習における活躍の確認…」


王は頷いた。

「うむ……よし。然るべき時に城へ呼べ。その時、歌を試す」


「畏まりました」

側近は答える。


王の眼差しには、権謀術数もあるが――真実を知りたい、という好奇心の光も宿っていた。




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― 新着の感想 ―
王女だけがクズなのかと思ったが王もまたクズとは… 貧乏男爵家の12歳の少女を弄ぶとは異常者だなぁ
 せめて陛下はまともでありますように…。
側近さん 男爵令嬢が嬢で 公爵子息は呼び捨てなの何故… レディファースト的な何か??
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