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49.変質者三人の受難:奥の手をすべて封じられて涙目になるも、さらなる奥の手の登場だ!

「待っていろ! いますぐとっておきの魔道具を持ってくるぞ!」


「よぉし、持ちこたえてやる!」


「ここはわしらに任せておけ!」


 信じられないことが起きた。

 我々が用意していた、古代モンスター「双眼のゲシュタルト」が倒されたのである。

 一つ目のレッドアイの姿も見えず、おそらくは討伐された可能性が高い。


 このままでは我々の野望が潰される可能性もある。

 そう考えた俺は武器を取りにアジトへと戻ることにした。

 

 あの獣人どもは何かがおかしい。

 嫌な予感がするのだ、特にあの緑髪の猫女を見ていると背筋に嫌な汗が流れる。

 

「くそっ、獣人の癖になんてやつらだ!」


 走りながら俺は歯噛みをする。

 敵の一人は犬人、そして、もう一人は猫人だ。

 猫人の方は私の知っている間抜けな女にそっくりだが、髪の色が違う。

 おそらくは他人の空似という奴だろうが、それにしても忌々しい。


 しかし、それでも俺は諦めてはいなかった。

 まだだ、まだやれる!


 我々のアジトの奥には、俺の集めた珠玉の魔道具が置いてあるのだ。


 それは俺が人生をかけて集めてきた凶悪なアンティークコレクション。

 古代の遺跡から発掘された逸品ぞろい。

 古代魔法の粋を集めた非人道的な効果が付与されており、今では国際条約で禁止されたものもある。


「ふははは、負けるわけがない! 俺たちが! こんなところで!」


 禁忌の魔道具を実戦で使えることに、俺は場違いながらワクワクしていた。

 それを使えば一発逆転どころか、ワイへまで攻め入ることさえ可能なのだ。


「我々を本気にさせたことを後悔するがいい!」


 声をあげて笑いだしたい気持ちを押さえつつ、俺は部屋に駆け込む。

 さぁ、狩りの時間だ!



「……ぱ?」


 しかし、俺は喉の奥から奇妙な音を飛び出させることになる。 


「な、ないぃいいいい!? お、俺の大事なコレクションがぁああああ!?」


 俺の魔道具が消えていたのだ!

 俺の魂の魔道具が!?

 何の痕跡もなく、まるで蒸発するかのようにごっそりと。


「だ、だ、誰がこんなことをぉおおお!?」


 自分の命よりも大切にしていたコレクションを奪った悪党への怒りでどうにかなりそうだ。

 俺は地団太を踏んで、ふぅーふぅーと息を吐く。


 残っているのは足が速くなるという魔法の靴程度である。くそが。


「ぐぎゃああ!?」


「ひぃっ、来るなこの化け犬がぁあああ!?」

 

 カヤックたちの悲鳴が聞こえる。

 

 いかん、今は犯人を捜している場合ではない。

 恐るべき獣人二人を始末しなければならないのだ。

 しかも、俺の魔道具抜きで!


 くそぉ、くそぉ、くそぉおおおおお!


「奥の手だ、奥の手を使ってやる!」


 俺は素早さの靴を履くと、カヤックたちのところに踵を返す。

 そして、うろちょろしていたリス獣人の女をさらって再び走り出す。


 全てに決着をつけるべく、あの部屋へと向かうのだった。

 


「面白かった」


「続きが気になる!」


「奥の手ってまさか……!?」


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