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アイムキャット❕❕~猫王様の異世界観光~  作者: ma-no


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14 魔王討伐に出発にゃ~


 サトミ王女から魔王討伐依頼を受けた翌日は、ダラダラして宿屋から一歩も出なかったので、その次の日はダラダラしてから町に出た。

 その足で、べティが注文していた魔法の服屋を訪ねたが、全ては受け取れず。しかし夕方には出来上がるらしいので、夕方にまた顔を出すことにした。

 これでアオイは一安心。明日には魔王討伐に出発できると嬉しそうに走って行った。おそらく、城に報告しに向かったのだろう。


 アオイが居なくなると、わし達は異世界観光。その前に冒険者ギルドに寄って、お金の補充をしておく。

 懐が超温かくなったので、要塞都市の名所を回りながら買い食いと買い物。グロテスクな料理に挑戦してみたり、ペナントや猫の置物なんかも買ってしまった。


「修学旅行? 修学旅行なの? 魚を(くわ)えてる猫の置物なんて、どうするの??」

「王妃達のお土産にゃ~。べティこそ、目玉の干物にゃんか買うにゃよ~」

「これ、珍味でけっこういけるわよ? エミリにお土産にするの」

「べティは秘境巡りみたいにゃ~」


 べティにツッコまれたりわしがツッコミながら観光をしていたら、もう夕方。服屋に寄ってから宿屋の部屋に戻ったら、サトミとアオイが待ち構えていた。


「美味しい料理を食べさせてくれるって本当ですか!?」

「にゃにしに来たんにゃ~」


 てっきり、早く出発しろと圧力を掛けに来たと思っていたサトミがズレたことを言うので、こちらにもツッコミ。ついでにアオイにも報告はちゃんとしろと注意するわしであった。


「てか、今日は疲れを残さない為にルームサービス頼んでたんにゃけど……」

「「ええぇぇ~~~!!」」


 べティは指示を出してるだけで作っているのはわしなので面倒くさい。食材はあるけど昨日いっぱい頑張ったからやりたくないのだ~!


「ぐすんっ……」

「いつになったら帰るにゃ~」


 サトミが恨めしそうに居座り続けるので、猫の国料理を出してお引き取り願うわしであっ……


「これよ! これでよかったの! 前のより美味しい~! もっとないのですか!?」

「お茶漬け出したんだから帰れにゃ~」


 サトミはおかわりの連続で動けなくなるまで食べるものだから、アオイの部屋で眠るのであったとさ。



 翌日……


「うぅ……気持ち悪いです……」

「私もです……」

「食べすぎるからにゃ~」


 朝食のルームサービスを食べているわし達とテーブルを共にするサトミとアオイは仲良くぐで~ん。さすがに朝から料理を催促する元気はないようだ。


「魔王討伐の(あかつき)には、猫の国料理でパーティーを開催しましょう!」

「そっちが労いの料理を振る舞ってくれにゃ~」


 しかし、わし達が帰って来たらしこたま食べたいとのこと。わしのツッコミは無視してパーティーの来客を考えてるよ。

 その横では、無言で出発の準備をするわし達。わしとコリスはいつも通りの服装で、いちおう変身アイテムも装備。コリスはイチゴを模した髪留めを頭の毛に挟み、わしは男なのでネクタイピンにしてもらった物を胸元に差している。

 べティとノルンもいつもの服に着替えてから、変身アイテムを装着。二人ともお揃いのリングにしたようだけど、ノルンは小さいので腰に付けている。嬉しそうに装着してそわそわしてるなら、すぐに使えばいいのに……


 準備が整うと、部屋を出て宿の前に集合。ここでサトミ王女様のお言葉があるらしい。


「大々的に出発式を執り行いたいのですが、べティさんが望んでいないようなので、私からの一言で送り出させていただきます」


 どうやらべティにも羞恥心があったらしく、そんな派手な出発は望んでなかったのでわしはホッとする。


「私が勝手を言って皆様を死地に送り出しているのはわかっているのですが……死なないでください……必ず生きて戻って来てください……」


 サトミは目に涙溜めてわし達の手を一人一人握りながらこんなことを言うので、無理を言っている自覚はあったと受け取り、わしに少しやる気が出た。


「そんな顔する必要ないわ!」


 最後のべティは、サトミの手を強く握り返し、振り払った。


「ノルンちゃん! いくわよ~!!」

「うんだよ!」

「「マジカル~。チェ~ンジ!!」」


 そして、変身アイテムによる服装のチェンジ。どういう作用でそうなっているかわからないが、一瞬で一糸纏(いっしまと)わぬ姿になったけど、二人の体は光り輝いているので大事な物は一切見えない。

 そこから体にレオタードが生え、手首に袖だけ生え、足にブーツが生え、ベストやスカートや短いマントが次々と生えて来て、どこからか「キュピーン!」とか音が鳴ったと同時にティアラが生えて変身が完了したと思われる。


「「マジカルべティ&ノルン。ここに参上よ!」」


 そして、ベティ&ノルンは背中を合わせて胸の前では手でハートを作り、決めポーズ。サトミとアオイは拍手しているので、かっこいいのかな?


「ちょっ! シラタマ君もなんか言いなさいよ!!」


 わしは興味がないのでキョロキョロしていたら、べティ&ノルンが詰め寄って来たので相手してあげる。


「さっき『キュピーン!』とか鳴らにゃかった?」

「効果音だからそんなもんよ~。ちょっとは褒めてよ~」

「効果音ってなんにゃ~」

「ノルンちゃんも褒めてだよ~」


 べティ&ノルンがこの世界に染まりつつあるが、褒めないことにはこの揺さぶりは止まらないので適当に褒めておいた。かなりおざなりだったが、思い付く限りの褒め言葉を言ったから、なんとか許してもらえた。


 これでべティ&ノルンのお披露目会は終わったと思うので、サトミを呼んで締めさせる。


「コホンッ! それではマジカルべティ&ノルンの皆様……魔王討伐、宜しくお願いします!!」

「「はい!」」


 べティとノルンはいい返事をしたが、わしは(いささ)か納得ができない。


「マジカルべティ&ノルンのみにゃ様って……そのマジカルべティ&ノルンの部分に、わしとコリスも入ってるにゃ? にゃあにゃあ??」

「ほら、シラタマ君、行くわよ」

「ヒゲを引っ張るにゃ~」


 こうして新・猫パーティ改め、マジカルキャッツ改め、マジカルべティ&ノルンは、魔王討伐に出発したのであっ……


「にゃんで二人が主役になってるんにゃ~」


 わしは文句タラタラでついて行き、コリスはいつも通りのほほんと続くのであったとさ。



 ノルンを肩に乗せたべティは大通りを風を切って歩き、その後ろにアオイが続き、わしとコリスは少し距離を開けてついて行く。

 だって、道行く人にべティ&ノルンが指差されてるんだもん。魔法少女ルックは現地人に取っても、けっこう派手みたいだ。

 いつもはわしとコリスが指差されることが多いので笑って見ていたが、この機会に写真をパシャパシャ撮って、べティの黒歴史として残してやろう。


 そうこう歩いていたら西門に着いたので、仕事で外に出ようとする冒険者の列にべティが並びに行ったから「そこは真面目に並ぶんだ」と遠巻きに見ていると、急にべティの頭の上に稲光が走ったと思ったら、ダッシュで戻って来た。


「いま、頭の上に雷落ちにゃかった? 髪の毛チリチリだけど大丈夫にゃ?」

「なに言ってるのよ! 地ぃぃ毛っ!!」


 べティは本当に気付いていないみたいなので、それとは違うことで焦っているのだろうと思い、わしは質問を変える。


「にゃにを焦って戻って来たにゃ?」

「そ、そうだ! 買い忘れた物があったの! 戻るわよ!!」

「買い忘れにゃ~? にゃにか言ってくれたら次元倉庫に入ってるかもしれないにゃよ?」

「いいから戻るの!!」

「にゃ~~~??」


 べティが(かたく)なにこんなことを言うのは不思議なので、わしはさっきのべティの行動を思い出してみる。


「列に並んでから、にゃんかおかしくなったよにゃ?」

「な、なんのこと~?」

「えっと……あの立派なトサカのニワトリじゃないにゃ。たしか二組ぐらい前の……」

「ワーワーワーワー!」


 わしが目を凝らして見ると、べティが前に回り込んで手をバタバタして見えなくしようと頑張っている。なので、コリスに高い高いしてもらって先を見る。


「ん、んん~~~??」

「見ちゃダメだって~~~!!」

「にゃ!?」


 先ほどべティの前に並んでいたパーティを発見したわしの頭の上に電球が出現して、ピカッと光った。


「ほら? シラタマ君にも謎現象が起きたわよ~??」


 たしかにそんな現象が起きたなら気になるが、自分の頭の上では気付きようがない。それよりも、わしは確かめないといけないことがあるので、走り出してしまった。



「にゃ!? にゃ! にゃにゃにゃっ!!」


 とあるパーティの前に回り込んだわしは、一人ずつ指差しながら叫んだら、リーダーだと思われる黒髪のモブっぽい顔をした少年が首を傾げた。


「どうかしましたか? 僕達に何かご用ですか??」


 モブっぽい少年はわしが変なことをしているのに丁寧に対応してくれているが、そんな場合ではない。


「少年にゃ! 犬にゃ! 妖精にゃ~~~!」


 そう。この白い大型犬を連れて頭に妖精を乗せた少年は、サトミが探していた人物の可能性大。


「えっと……そうですけど……」

「生まれはどこにゃ!? 東から来たにゃ!?」

「よくわからないですけど……はい。そんな感じです」

「やっぱりにゃ!」


 方角までビンゴならば間違いない。


「勇者にゃ~~~!!」


 突然の勇者発見に、わしは叫んでしまうのであった……


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