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第41話:こずえの怒り

「何が三大美少女だ。三大馬鹿の間違いだろ?」


「どうしたんだ、急に…。吉田さんたちのどこが悪いんだ?」


 普段穏やかなこずえの眼には怒りも見える。これはただ事ではないと…あかねは真剣にこずえの話を聞いた。


「吉田が一番バカなのはいうまでもないとして、田中っていう女も彼氏持ちの女子の前で『男と付き合うとかありえない』とか『二瀬先輩って大丈夫なの?』とか平気で発言しちまうやつだぞ」


 こずえのいう彼氏持ちの女子…である河合さんは…こずえが尊敬する二瀬先輩の恋人だ。こずえが怒るのも納得の理由だった。


「その話はぼくも聞いたことある。河合さんが怒ってないから…外野がとやかくいう必要はないって思うけど…田中さんってぼくたち男子のことを目の敵にしてて、多くの彼氏持ちの女子を敵にまわしてるっていう噂だよね…それに田中さんって男子相手だと無口だし、告白は基本無視のノーリアクションらしいし、顔はともかくちょっと性格に問題があるかもって誰かが言ってたような…」


「そりゃひでぇな…田中さんって実は性格悪いのか?」


 そういえば、田中良太さんのことはあまりよく知らない。吉田さんのおまけ程度にしか考えていなかった。


「あかねは知らねぇのか?あいつら『三大美少女』とかふざけたネーミングつけられてるけど…性格悪すぎてあいつらほかの女子から死ぬほど嫌われてるんだぞ。中川とかいう女はウソ泣きの天才で、いつもわざとらしく『ほんとにー!?』とか『いうしねー』とか馬鹿みてぇにぶりっ子ぶってるやがるけど、ところどころでキャラブレしてるし、マジわざとらしすぎるんだよ」


「でも可愛いからいいんじゃね?」


「お前な。キュアキュアみてたんだろ?一応元女子だったらそういう女がどういうやつかぐらいわかるだろうが!キュアキュアの『悪役女』そのものじゃねぇか!」


 キュアキュアを見ていたのはもう8年前だが…女児向けアニメにしては恋だの愛だの友情だの裏切りだのと結構ドロドロしていたのを覚えていた。そういえばヒロインはクラスメイトの裏表激しい女の子たちからいじめられていたようにも思う。


「それをいうなら吉田さんたちに面と向かっていわねぇで陰口叩いてる女子のほうだろ?」


 中川とか田中とかいう女がボロカス言われてもいいが、吉田さんに対する暴言だけはやはり許せなかった。


「キュアキュアのように吉田さんたちはめげねぇでいつも笑ってるし、可憐でいいんじゃねぇか!そもそもこずえはどうしてそこまであんなに優しい吉田さんのこと嫌いなんだよ」


「優しい?どこかだよ!ありゃただの猫かぶりだぞ」


「猫かぶりだと!」


 ふざけるのもいい加減にしろ。


「どこをどうみれば吉田さんが猫かぶりなんだよ?虫も殺せなさそうなほどの可憐さじゃなぇか」


 あかねはヒートアップした。


「中学の時…俺を覗き扱いしてきやがったやつだぞ…」


 あかねが怒りだしそうなことに気づいたのだろうか?


 こずえが明らかにトーンを落とした。


「覗き?そんな大胆なことを森宮君が?」


 芽衣が驚いている。吉田さんに対する暴言は許せないが…こずえは覗きなどするような男ではないことはあかねもよく知っていた。


「そうだ。それが、ふつうその反応だろ?しかしあの吉田って男女だけは…おれを覗きだっていってずっと疑いやがったんだ」


 信じられない。


 中学は諸事情あって別々の学校に通っていたので…その話は初耳だった。


「女子の前で土下座しろなんってふざけたことぬかすから、無視してたら勝手にぶち切れて俺に殴りかかってきたんだぞ」


「吉田さんが?それで、森宮君は殴られたの?」


「まだ男女の体力差がなかった時の話とかか?」


「まさか!?中学生だぞ。T-VID直後ならともかく自分たちの体力差も理解してねぇような女のパンチなんて余裕でよけれる」


 こずえがいうように中学といえば…あかねが精通した時…すなわち声変わりがはじまり、身体が男らしく育っていく時期だ。女子は色っぽくなり…自分たちとは別の生き物なのだと理解する時だ。


「ぼくたち性別適応特別講習で鍛えられてるしね」


 男子が女子に暴力をふるうことはあっても、女子が男子に暴力をふるうなど信じられないことだった。


「だけど吉田さんがこずえに殴りかかったって本当なのか?それでそのあとどうなったんだ?」


「胸だけ大きくて筋肉も体力もねぇくせに殴りかかってきたかと思えば…止めに入った女子に技かけられて勝手に自滅しやがった」


「技?自滅?」


 芽衣も開いた口が塞がらないようだ。


「女子同士でケンカ…いやあれはケンカじゃねぇな。あの胸でかバカ女がほかの女子に技かけられて一方的に取り押さえられたってのが正しい。性別適応特別講習で遊んでただけのくせに俺たちに挑もうなんて無謀にもほどがあるだろ?」


「ぼく、信じられない」


「ケンカするなら鏡見てからしろって思うよな」


 中学校の頃の吉田さんは本当にどんな感じだったのだろうか?


「それでようやく先生に怒られて終わったかと思えば、今度は自分で暴れて下着見せつけたくせに下着みただろとかこそこそ悪口ばっかりいいやがるんだぞ。とにかく!そんな自意識過剰の性格最悪で、どこからどうみても女子のくせに自分を男子だと思って、おれたちと体力的に互角だと思ってる節があるバカが吉田だ。それに小学校のころは暴力沙汰起こしまくりで何人も女子を泣かせたって噂だぞ」


「女子が性転換を理解できなくて男子にひどい目にあわされるって話を聞いたことがあるけど…8歳の時に性転換したはずの吉田さんがそうだったなんてなんかぼくショックかも…」


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