ホムラの夢
最近僕は、夢を見る。
僕、ジル、ロート、ネロで笑いながら歩いている。
だけど、次第にロートが霞がかかったように消えて、次にネロも霞がかかったように消えて、今まで一緒に歩いていたジルが霞の中に溶け込んで行くのですけど、しかも何か言っているのですが何も聞こえなくて次第にジルも消えてしまう。
皆が消えると空は曇天に変わり次第に真っ暗闇に取り残されて蹲っているのです。
武器もなく手頃な野犬を追い払う棒もない。蹲ると何処から小さな手が伸びて来て僕の頭をなぜてくれるのです。
見るとそこには1人の児童。
スカートを履いてるから女の子かな?
でもそんな座り方しているとパンツ丸見えだよ。
ああ、スパッツを履いてるんですか、でも安心してはいけないよ?
怖いおじさんが君を狙うかも知れないよ。
児童は、微笑む。優しげに。
誰かと勘違いしてるのかな?
そうだ。ジル達をさがないと!
動こうとしても身体が動きません。身体が、縫い止められた様に動かない。
児童が何かを言っている。でも分からない。何を言っているのか聞き取れない。
「ジルは何処?」
聞いても児童は微笑むだけ。
口だけが動く。
何?。何を言ってる?分からない。分からない。分かりたくない!いないなんて信じない!
「………。………ラ。………ムラ。ホムラ!」
「!!」
パチリと目が開いて視界に写し出したのはジルの心配した顔だった。
「ホムラ、起きたか?魘されていたけど、怖い夢でも見たのか?」
ジルが心配した顔をして僕を見る。
起き上がり辺りを見回して、ほっとした。心底ほっとした。
いる。ここにジル、ロート、ネロがいる。
「大丈夫………です。」
無理矢理出した言葉にしばし考えたジルは、掛け布団を僕に掛け直すとポンポン叩いて微笑んだ。
「もう少し寝ろ。青い顔して、大丈夫なんていうな。倒れられちゃたまらん。眠るまで側にいるよ」
「ジル…」
「ん?なんだ?」
「何処にも行かないで下さい。」
「?。当たり前だ。ホムラは俺を相棒だからな」
そう言ってたのに………。
そう笑っていたのに………。
なんでそいつがいるんだ!
ちゃっかりお茶をしているそいつは牙狼族の薺。酒が大好きで腰に酒瓶を付けている色々と問題を起こすが、回復魔法が得意な………得意な女。
その女性がどうした?って
ちゃっかりジルの太ももの上に座っているんだよ!これが怒らないでなんになる?
あーはい。はい。って聞いてる?
聞いてますよ。
回復魔法が得意なら一緒にダンジョンに行けばいいじゃん?
………そうか。知らなかった。そうだね。その手があったね。
クククク………。
ホムラさん?
「ホムラ目が覚めたならお茶しないか?」
「勿論する~!」
ホムラが薺をジルから引き離すとちゃっかりロートが座る。
「重い」
呟くジルの言葉を華麗にスルーするロート、それを見ていたネロは、スゲーなって、顔をして視線をホムラに向ける。
ジル、ロートもホムラの方を見る。口喧嘩するホムラと薺を見てジル、ロート、ネロは笑った。




