騎士養成学校3
「起きないね~」
とつまらない様に言う元親。
「だな」
と同意するロード
最後の1人の生徒が倒れたから数時間が経過した。
「ううぅ…」
唸り声を上げて起きたのは、ローランドだった。
「ほぉ~」
感心する声を出すネロ。
いじめられっ子のローランドが1番始めに起きた。
起きたのを確認すると元親は剣を肩に担いでトントンと叩き
「じゃ、試合始めるか?」
と言った。
「えっ?!」
鳩が豆鉄砲をくらった顔をするローランド。
うん。分かるよ。
気絶して意識を取り戻し起きたら直ぐに試合。
脳筋どもと思うよ。
でもね。弱いのは君たちだよ。
先生の話だともう少し出来ると聞いたけど、全くダメじゃん。
ローランドは元親と剣を打ち付ける。
いつもの野次馬がいないのか先程よりローランドの動きは先程より良くなってる。
これが本来の動きだろう。
元親は剣を絡めて上に跳ね上げて肩に剣を打ち込む。
そしてまた撃沈するローランド。
ジルは早々につまらなくなって何処から持ってきたパイプ椅子に座ってマジックバックから取り出した本を出して読んでる。
ホムラもジルに習って何処から持ってきたパイプ椅子を持ってきてジルの隣に座り王都観光雑誌をペラペラめくって見てる。
胡座で床に座るとロートとネロ。
つったたままで剣を肩にトントン叩き、倒れている生徒を見て一言
「つまらん。ゴブリンでもまあ少しはやるぞ!こいつらは、ゴブリン以下だ!」
と吐き捨てた元親にロートとネロは笑う。
嘲笑う。
その様子を見ていた代表者が、困った様に声をかける
「あの~」
申し訳なく小さい声を出す代表者。
「何?」
「何?何?」
「何?何?何?」
少し怒気を入れて言うと
「ヒィィィ!」
と代表者が悲鳴を上げ一瞥するジルとホムラ。
ロート、ネロ、元親が声の方に一斉に見る。
蛇に睨まれた蛙の様になる代表者。
(((誰も取って食わないのに、どう思われてんだ?)))
何とか代表者をなだめ………?代表者の声聞く。
「あのー。あの2人はあのままでいいのでしょうか?」
恐る恐る言う代表者。
あの2人とは、ジル、ホムラの事だ。
2人はのんびり、自由に読書をしている。
「あの~………」
声が聞こえた方に、ジルとホムラは一瞥して、興味が無いのか直ぐに本に戻る。
そして視線を本に移したまま
「何?」
「何ですか?」
興味が無いのか様にぶっきらぼうに答えるジルとホムラ
「剣術の………」
「………見て分からないのか?」
ジル達が顔を上げて代表者に視線を合わせる。
銀灰の瞳と茶色瞳に見られ冷や汗が、ダラダラ。
「ククク。屍の状態で、どうやって性根叩き直すのですか?
それに元親のかなりの手加減であっさりやられてのはどうでしょうか?
ちょっと当たっただけでピーピー泣くのは、どうかと思います。
直ぐ、パパに言いつけるとは、弱い男達ですね」
ホムラが珍しく人をディスる。
青い顔でヒョロヒョロの代表者はさらに小さくばかりだ。
「もうちょっとガッツあると思ったにてんでダメダメなんだ」
ロートがため息交じり言う。
「ホムラが蹴りを入れた生徒ならあそこでで伸びてる」
指を指すジル。
代表者は、近くまで行って生徒の顔を見る。
そこには顔が腫れ上り、折れた鼻に折れた歯に鼻からも口からも流血の生徒の姿だ。
「………生きてるのですか?」
「胸や腹が動いてるなら生きてるだろう」
それぐらい分からんのか?と言う顔をするジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親。
それから数時間後、意識を取り戻した生徒らは、床に座らされている
「お前ら口先だけで、剣の腕は皆ゴブリン以下。
あ~、ローランドの剣の腕はゴブリンより上だ。ディージーお前、ゴブリンよりもこの生徒の中よりも下。最下位。
良く、今まで平気で居れたな?あ~、もしかして、またパパに言ちゃうのか? パパ~、今日来た人がいじめるの~」
小馬鹿にする元親。
ディージーは唇を噛む。
「パパ~の次はママ~かもな」
ネロも小馬鹿にする。
ディージーの拳がプルプル震える。
「イヤイヤ、ジイ様かバア様に泣きつくだろう」
生徒を見ながらニヤニヤ笑うロート。
うつむく生徒。
「イヤイヤ、分からんよ。兄貴や姉御が出てくるかも」
「ブハハハ。じゃ、こいつらは親、祖父母、兄弟がいないと何にも出来ない、人間の屑だな」
泣きそうになるディージー。
ゲラゲラ笑うロート、ネロ、元親。ちなみに生徒が起き出してもジルもホムラは一瞥するだけで、何も話さない。
興味が全く無いのだ。
「ジルもホムラもなんか言ってよ~」
「屑に教えることなんて無い」
とジルは一喝。
「そうですね。きっと親御さんは今の彼らを見て失敗作、ゴミと思ってるいるでしょうね。」
辛辣な言葉を言うホムラ。
ジルとホムラは、マジックバックに本を入れて椅子から立ち上がりロートの共にに行く。
「さて、ゲームの結果。誰1人として僕達から1本も取れなかったんだから」
優しい声で言うホムラ。
だが、優しい笑顔が消えて能面の様に感情を入れず、淡々に話す
「あんたら全員………死んじゃえば?。 はっきり言って必要無いんだよね。直ぐ、親に泣きつく餓鬼って1番僕が嫌いなタイプなんだよね。あの甘ったれた根性。何にも出来ないくせに文句だけは1人前。腐った親。なめきった馬鹿な餓鬼」
ディージーは自分以外は、屑、ゴミ、取り巻きしか出来ないって思っていた。
「殺し会いをして最後の1人になった処で、鍛えて行くのはどうでしょうか?」
恐ろしい事を平気に言葉に出すホムラ。
「バトル・ロワイアルだな」
「バトルは大乱闘、乱戦と言う意味で、ロワイアルは大格闘、死闘と言う意味です。」
ホムラがジルに言う。
ジルは「そうなんだ」と軽く受け流す。
「勝つのはローランドだな。殺らんでも分かる」
「ですね」
ジルとホムラは笑いながら話している。
「俺が、」
「「「「「何?」」」」」
「俺が弱い分けないだろう!俺は強いんだぞ!」
唾を飛ばして言うディージーにジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親は失笑した。
「ハハハ。マジか?お前?」
「お前では無い。ディージーだ。ディージー・ブラウンだ。王族とも面会が出来る家柄だ。」
「元親。見ての通り冒険者。」
「その冒険者が誰に物は言ってる?」
勝ち誇った様に言うディージーに元親の隣に座っているロートがジルに耳打ちしてくる。
「あのディージーは偉いの?」
胸を張るディージーに対してジルは本を閉じて、マジックバックに入れて淡々的に話した。
「嫌。偉くないよ。ここにいる生徒は、皆等しく何も偉くない。偉いのはこいつらはの父親や母親。食べさせてもらっている時点で俺達より低い」
「下の下だね~」
冒険者は、自分の剣の腕、魔法の腕でダンジョンに入り踏破を目指す。作戦や道のり、罠に引っかかれは、チームごと全滅もある。どんなに簡単な迷宮する気が全く抜けない。そんな世界にいると、貴族が甘ったれた事を言っているのは実に不愉快なのだ。
「下の下とは何だ!」
「俺達にやられてる時点でダメダメだろう。それに俺達5人ならものの10分で制圧出来るよ?………この学校の生徒と先生達を」
笑いながら言うネロ。
ジル、ホムラは、また本を読み始めた。
本当に我が道を往く2人だ。
「では、俺達が勝ったから俺達の言うこと聞くんだろ?。じゃ、発表するね~。学校の周りをマラソン10週。それが終わったら腕立て伏せ1万回に腹筋1万回、その他として素振り10万回~を毎日やって」
元親の言葉に顔面蒼白になる生徒。
何せこの校舎は広い。
貴族の子らが行く学校だから広い。
『そんなの出来るか!!』
生徒一同の叫び。
パタンと本を閉じて椅子に座ったままジルは、
「俺達の特訓に付いてこれる奴だけ来い。」
と上から目線ので言う。
「そうだな。強くなりたい奴だけ来い。」
ロートも喉の奥で笑いながら言う。
「今より強くなる。」
ネロもニヤニヤ笑う。
「俺達はサンドバッグではないぞ!」
「はい。お前、失格。」
その場でディージーは失格とホムラに言われた。
その後も次々と決めていく失格。
合格を言い渡されたのは、ローランドとディージー取り巻き4人と魔法を先行している2人だった。




