ネロが恐怖する一番怖い人は彼だ
俺の名前はネロ。
ホムラに黒と言う意味でネロと付けられた。
ネロか。いいね~。
ロート見たいに間違えられない。
ぷくくく。
ホムラには相棒がいる。
白銀髪と銀灰の瞳の相棒。
名前は、ジル。
初めは、口数が少ない男だと思ってた。
だが、最近良く話すが、何処か通じない所もある。
ああ、ホムラはちゃんと通じるぞ。
安心した。
だが、ジルは違う。何かが違う。
俺の事はドラコンだと思ってる。
確かにドラゴンだ。
ドラゴンが人の姿になったのだ。生け贄を使って。
まぁ、この話はいい。
ジルにとって俺の認識はドラゴンのままで止まってる。
だからか?
俺の扱い方酷くない?
殴ったり、蹴ったりはあまりしないが、箸の持ち方、茶碗の持ち方に厳しくない?
まぁ、今は何処に出ても恥ずかしく無いが、レストランでも「汚い食べ方」と軽蔑する視線を感じないが・・・。
でもさ、囮にホワイトウルフの群れに投げ込む?
まだ有るよ。
ライガーウルフに噛み付かれて、ジルもホムラもロートも助けてくれない。
「甘噛みかぁ~」って笑ってる。
俺、流血よ。流血。
甘噛み何て言葉で許せる?
許せない。だけど、ジルに勝てない。
何か知らんが、たまに凄く怖く感じる時が有る。
本能的に「こいつは駄目だ!」って思う。
五稜郭迷宮に行った時だって俺の扱い方は最低だった。
だけど・・・、
イヤ、辞めとこう。
何て言葉にすれば良いのか分からない。
ただ、凄いとしか言えない。
だって、あの変態が、「こいつ話が通じない!」って俺に言ってくる。
分かってたさ。ジルに言葉が通じない事が有る事を知ってたさ。
ホムラ、ロートは「天然?」つて言ってるが、あれは違う。
何かが違う。
何かが・・・。
「うぅぅぅ。」
唸り声を上げる俺。
「気付いたか?」
ロートが心配そうに見てくる。
「何が合った?」
「覚えて無いのか?」
「ああ。」
ロートからあの変態に操られていた事。
ジルの裏拳で気絶していた事。
その変態は今、ジルにコキ使われて今、迷宮の核を取ろうとしている処。
「駄目でしょう?核を傷付けちゃ?!」
「少しならいいって」
「はぁ?ジル本人でもやってんの?」
「違う。違う。ジルは見てるだけ。やらせているのは変態共。何か合っても此方は被害無い様にって」
そうなんだ。
で、紅茶を飲みながら見てるのね。
「ジルの兄貴、割れません!」
えっ?!。素手でやらせてるの?
そりゃ割れんわ。
「ジル?」
ネロが呼び、ジルがネロを見る。
「起きたか。」
「起きました。裏拳で殴ってくれてありがとう(怒)」
俺は、眉毛をピクピクさせて皮肉って言う。
「そうか。それは、良かった」
ほら、通じない!。
皮肉って言ってんのに通じない!
俺に興味が無いのかジルは核を見る。
あの目だ。あの目。
氷の様に冷たく、変態共が生きようが死のうが、迷宮が消えようが、蝦夷が消えようが、何も感じないこの目。
俺はこの目が、怖い。怖くてたまらない。
俺は冷や汗をかいてる。
ちらりと回りを見れば、ホムラもロートも緊張した顔をしている。
・・・ジル。あんたは何者なんだ?・・・




