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北の玄武噴水広場、地の女神噴水広場

 雅を出て、北の玄武噴水広場に来たジルとホムラ。噴水広場の玄武の口から水が出てる。ジルもホムラもコートを着て熱々のスープに口をつける。「あちち」と言いながらコーンスープをすする。

 王都の東西南北で気温が違う。

 北は寒く、温かい物が常備売られている。街を歩く者は皆コートを着ている。雪も振る。雪かきする程じゃないが冷たい風に雪が振りたまに樹氷をつくる時もある。


 スープを飲み干したジルとホムラはゴミをゴミ箱に捨ててベンチに座り行き交う人を眺めていたが、1時間待っていてもヒジカタは現れない。


 ヒジカタは、獣人だ。王都には沢山の獣人がいる。猫人族は、等身大の猫で二足歩行で身体の柔らかさで、偵察をする者が多い。狐人族は、狐の耳と尻尾が付いてる人間に近い姿をしている。牙狼族は、犬の耳と尻尾がついて忠誠心をもっているからか警察になってるの者が多い。狼族は数が少ない珍しい獣人で、狼と気付かれない様に髪を染めたりして姿を牙狼族に似せている。

 ヒジカタは、分かりにくいが狼の特徴をもっている。牙があるのだ。だからか余り笑ったりしない。

「少し歩きますか?」

「そうだね。食べ歩きしながらヒジカタを探そう」


 探している時程、会えない。ジルとホムラは北の玄武噴水広場から北東の地の女神像噴水広場に向かって歩く。途中で焼き串を食べると「味が濃くて美味しい」など言いながら歩く。


 北東の地の女神像噴水広場に4時間かけて着いた。この像は地の女神の足元が大地の様に作られて水が溢れる様に溢れてる。

「大地と共に生きる」が売りなのか露店で野菜を売っているのが多い。大根、白菜、人参、ブロッコリー、レンコン、かぶ、ほうれん草が売っている。

 地の女神像噴水広場の近くにレストランを見つけた。こじんまりとした小さな店で、2人程しか入れない店だ。ジルとホムラは、店内に入る。木の匂いがするレストランで、まだ開店間もないお客様第1号となった。


「いらっしゃいませ。空いてる席にどうぞ」

 店主が言うが席は1席と椅子が2脚有るだけ。

 ジルとホムラは店内を見渡せる席に着いた。

 店主がつかさずお冷やとお手拭きを持ってくる。テーブルの上にお冷やお手拭きを置いて説明をする。

「本日のおすすめは、冬のかぼちゃの具材沢山入ってるスープと具沢山のグラタンです。お決まりになりましたらお呼び下さい。」


 ペコリと頭を下げて厨房に戻る店主にジルとホムラは、具沢山グラタンと具沢山スープを頼むと話をしていると店主がジルとホムラの元にやってきて

「すみません。今日のおすすめは具沢山のかぼちゃスープだけです。すいません」

「………では、具沢山のかぼちゃスープを2つでお願いします」


 店主の作る具沢山のかぼちゃスープは丸々1個のLサイズのかぼちゃを使う。

 かぼちゃのヘタを蓋のとってにするために身の処を輪切りに切り落とす。スプーンで中の身と種を掻き出しかぼちゃを器とする。

 かぼちゃの身を裏ごしして滑らかにする。裏ごしした身に牛乳を足して鳥のモモ肉、大根、人参、ブロッコリー、レンコン、かぶ、ほうれん草を一口大の大きさに切って鍋に入れて一緒に煮る。煮たったらかぼちゃの容器に戻してとろけるチーズをのせてオーブンに入れて焼く。チーズが茶色く色が付いてきてらオーブンから取り出してかぼちゃに蓋をする。


「お待ちどうさま~」

 料理が出来て運ばれるまで3時間。

 待たされた。本当に待たされた。


「蓋は食べれませんのでとってから食べて下さい。」

 ジルとホムラはかぼちゃの蓋を取りチーズとスープと具をスプーンですくい、一口食べる

「「美味しい」」

「空腹ほ最高のスパイスですから、かぼちゃの器もそのまま食べれます。」

「「…」」

 店主の声が聞こえない程にジルとホムラはガツガツと食べ始めていた。

 ガツガツなのに食べ方はとても綺麗だ。

「綺麗な食べ方だな」

 思わず見惚れてしまう程にジルとホムラの食べ方は本当に綺麗だ。

 熱々の具沢山のかぼちゃスープを食べたジルとホムラは、かぼちゃを食べるが、あまり美味しくないのか一口食べてやめた。

「お口に合いませんでしたか?」

「いえ、もうお腹いっぱいなので、でも本当に美味しかったですよ。」

「かぼちゃの器も食べれるとは斬新ですごくいいと思うよ。ただ、器も食べてもらいたいならもう一回り小さいSかMのかぼちゃを使ったらいいと思う。味は最高だからね」

 ジルとホムラのアドバイスを聞いて店主はメモ書きを取る。字が汚い。ミミズの様な走り書き。速記と言うものがあるからこれは、本人が読めれば良しなんだろう。だが、そんなに簡単に問屋が下ろしてくれない。

「僕は速記と言う物を始めて見ました。」

「俺も」

「なんて書いてあるか分かるのですか?」

「いえ。全く何て書いてあるか自分でも読めません。アハハハ」

 いい笑顔で否定したよ。

 普通ならば「代わりに書いて上げよう」と言うのだが、ジルとホムラは全くその素振りを見せない。ジルもホムラも「まぁ、本人が読めなくても、他の人が読めるだろう」としか考えていない。

(あれ?何時もなら代筆してくれるのに、今日の客人はやらないのか?)

 などと考えている店主。

 一通り書けて(読めないが)「ふぅ」とため息をつく店主は、胸のポケットから煙草を出してライターで先端に火を着けた。

 煙草の煙に敏感に感じたホムラは、店主にお勘定を聞いて銀貨6枚を払い店を出た。


「煙草吸っててあの味を出せる何て凄いな、ホムラ」

「そうですけど、僕は煙いから嫌いです。ジルは…好きですか?」

「興味は有るけど好き好んで吸いたいとは思わない。まだ料理にお金をかけた方がいい。」

 煙いだけなのに何がいいのか今一分からないジルとホムラ。まだ食べた事の無い料理を食べた方がいいのだろう。

 王都の食事処は、沢山ある。まだ行ってないスパゲティ屋、オムライス屋にも行った事が無い。しかもジル、ホムラは中々王都に来ないからその間に閉店になる店も沢山ある。今回の様に隠れ家見たいに小ぢんまりとした店も開店したばかりで、看板は無くても表札は出ているからただの小さい家と思っているのも多い。

 今回、ジルとホムラが入った店は、開店して3ヶ月たった店でまだ新しい。店主のこだわりの料理を出してくれるのだが、かぼちゃだけの料理が多い為か表札も“かぼちゃ”って書かれてる。ただし店内は、めちゃくちゃ狭くて1回に入れるのが2人だけ。調理場を大きく造ってしまった為か、お客さんが入る処がめっちゃ狭くなったのだ。


 地の女神の噴水広場のベンチに座り行き交う人の波を見てる。

「ここにもいないね。やっぱり西町の噴水広場にいるのでしょうか?」

「う~ん、分かんない…仕方がない、日も暮れて来たから帰ろうか?。」

ジルとホムラはホテル雅に戻った。

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