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迷宮のドロップ品のセンスが

液体胃薬を飲んで回復したホムラは、ジルと一緒にススムとアユの部屋に行った。

どうやらアユが体調を崩して寝込んでいる。


「どうだ?」

ジルがススムに聞く。

「熱が下がりません。」

ベットに寄り添いながら首を振る。

「うーん、医者に見せる方がいいですかね?」

ホムラが、ボリボリ頭を掻いて言う。

「ダメです!医者程信用出来ない人はいません!!」

振り返りススムは言う。

「でも熱が下がらないのは辛いな」

ベットに腰を下ろしてジルはアユを見る。

「座薬でも入れる?」

「有ればね。無いし、自力で何とかしてもらわないと、当分雅に泊まるから安心して」

「ハイ。すいません」

「いいよ。僕達は部屋に戻りますからお昼は何か食べた方がいいよ。ススムも倒れちゃうから」

「ハイ。ありがとうございます」

ススムがお礼を言うとジルとホムラは部屋を出る。


部屋に戻るとソファーに座りボーイに頼んだ紅茶を注ぎジルに渡す。

一口飲んでテーブルの上に置いてジルとホムラは深いため息をついた。

あのアユが熱を出したのだ。

「大変な事になりましたね」

「そうだな」

「どうしますか?」

「どうするってもどうにもならんだろう?」

「ジルも打つ手無しですか?」

「無しだな。まぁ死ぬ事は無いが、何ヵ月は王都にいないといけなくなったな」

「本当ですね。早く良くなり王都から出たいですね」



王都にいる間、ジルとホムラは冒険者ギルドで依頼を受けたり近場の迷宮に行っていた。

迷宮でボスを倒して稀にポーションが出てくるからだ。

ジルとホムラはアユの為にポーションを得る為に迷宮に潜る。


「ダメでしたね。今回もハズレですか」

「そう簡単には行かないと思っていたけど、51回目でそろそろ来る頃合いだと思っていたのだけど、なんで50年物の紅茶の茶葉なんだよ」

「良かったじゃないですか?紅茶好きでしょ?」

「好きだけど、まぁいいか。ボスのコスプレ衣装よりかはいいね」

「それは深く同意です。」

ボスの宝箱から出てき来たのは、紅茶の茶葉以外にモンスターのフィギアとモンスターのコスプレ衣装やミスリルの鉱石(大)や大量の金貨だったり盾だったりする。

ジル、ホムラには、紅茶の茶葉とミスリルの鉱石(大)以外はいらないから全て現金に変えた。

「一応鑑定に出します?」

「あそこの鑑定士は紅茶好きだから絶対に欲しがる。鑑定に出さずホムラ、一緒に飲もう!」

「いいのですか?」

「良い。良い。さっ、地上に戻ろう」

ジル、ホムラは仲良く地上に戻り、冒険者ギルドに行った。


「お疲れ様です。今日も薬の迷宮に行ったのですね。何か収穫は、有りましたか?」

薬の迷宮で色んなポーションが出て来るがそうでないものも出てくる。

それこそ中々治らない病気を迷宮から出てきたポーションで治る。特効薬みたいな物が出る。はずなんだが、ジルとホムラは相性が悪いのかモンスターのフィギアやコスプレ衣装、ミスリル鉱石、大量の金貨が出て来た。


「これって言う物は無かったよ」

「そうですか、カード、ありがとうございます。お返し致します。」

「どうも」

「ありがとうございます。」

ジルとホムラはカードを受け取り冒険者ギルドを後にした。

ホテル雅に戻る途中でススムとアユに人気の屋台“肉屋”で焼き串を2本買って噴水の近くのベンチに座り小腹が空いた為、焼き串を食べた。


ジルの治癒魔法も有るが擦り傷、切り傷を治せる位で熱を下げたり、欠損部分を治したりする能力は無い。

それこそエリクサーしか無いのだ。

ホムラから話は出たけど「無理」と言って首を横に振った。

だからアユの熱も下げる事は出来ない。

自力で何とかして下さい。


「涼しいな」

「蝦夷は冬でしたし、こちらはまだ雪も降ってませんし、涼しいですね」

焼き串の串をゴミ箱に捨ててベンチに座ったまま動かないジルとホムラ。

戻った処で何もやる事が無いのだ。ススムの看病の手伝いも考えたが、手違いが合ったらいけないので辞めた。


「ん?」

「どうしました、ジル?」

「嫌、あの青年さっきもいたなと思って、道場帰りかな?」

ジルが見る先には1人の青年がいた。誰かに殴られたのか顔が腫れてる。

「くっそー、あいつら力いっぱいに殴りやがって!。ん?なんだよ。人をジロジロ見やがって、何か俺に用か?」

「(ジル?)」

「(言葉は乱暴だが、鍛えたら価値が上がる原石だな)」

「すまない。ジロジロ見るつもりは無かった。ただ、顔が腫れてるって思ってな」

ジルは丁寧に受け答えをする。

「腫れを引く位なら出来るが、遣るか?」

「金を取るのか?」

「取らないよ。ジロジロ見たお詫びだ。」

男は訝しげな目で見てくるが、顔の腫れが引くならやってみるかと思いジルに近付く。

「保冷石で冷やすだけなら俺だって出来るぞ」

「(保冷石ってなんだ?)」

「(分かりません)」

「少しかがんでくれ」

立つ気がサラサラないジルは青年に言うと、青年は少しかがんで顔を近付けた。

ジルの手が青年の顔に触れるか触れないかに近付けて淡い緑色の光が溢れて出る。

(治癒魔法、久々に見ました。)

みるみる青年の顔の腫れは引いて顔がはっきりと分かる。

「意外とイケメンだな」

「そうですね」

「顔の腫れが引いた?身体の痛さも無い?これ回復魔法か?」

「そんなもんだよ。」


回復魔法は1000人に10人いるかいないか位だが、治癒魔法は違う。

治癒魔法なんてそれこそ何百万人に1人いるか、いないかだ。


「凄いなーあんた。名前教えてくれよ。俺は、ヒジカタだ、あんた達は?」

「俺は、ジル隣はホムラだよ」

ジルが説明するとホムラはペコリと頭を下げた。

「ジルとホムラか。何処に住んでいるんだ?」

「今は、ホテル雅にいる。たまたま王都に来たから、まだ滞在するよ」

「ホテル雅ってあの雅か?」

「あのって何ですか?」

「金持ちが泊まるホテル雅って有名だぞ。一泊で金貨10枚は軽くするって聞いたけど違うのか?」

「確かにお金はかかるが、セキュリティが低いホテルには泊まらないんだ。」

「ヒジカタは、剣士なのか?」

「嫌。違うが…薬売りをしている」

「そうなんだ」

「剣に腕が有るなら剣士を目指して冒険者になった方が実入りも有りますよ。まぁ、全て自己責任ですが」

「冒険者?名前は聞いた事はあるがどんな事をするんだ?」

「迷宮に入ったりするんだよ」

「迷宮って?」

「自己責任で入る迷路みたいな処ですよ。僕達も迷宮帰りなのです。剣の腕も上がりますし一石二鳥ですよ」

ホムラが迷宮の事を簡単に説明をする。

「ふーん。楽そうにみえて難題な処なんだな」

簡単に説明をして納得出来るヒジカタは相当頭がいい。

「それでは僕達はそろそろ帰ります。ヒジカタは何処に住んでいるのですか?」

「俺は、……その辺に住んでる」

「西町か?」

「………そうだ」


西町。金持ちじゃなくて貧乏人が暮らす町。スリや薬が謳歌していて西町と聞くだけで東町の人が嫌な顔をして、鼻を摘まんであっち行けと手を振る。

後は、西町には奴隷もいる。西町の人が殴られても西町の人は訴える事が出来ない。

西町出身ってだけで………。


「顔の腫れを治してくれてありがとうな。俺はもう行く処が有るからここでサヨナラだけどまた合ったら声でもかけてくれ」

ニカッと笑いヒジカタは帰って行く。そんな姿を見てジルとホムラは重い腰を上げてホテル雅に戻った。


ホテル雅は入口、フロントも豪華絢爛の作りでどう見ても金持ちしか泊まらない。最新式の魔道具がある。その1つが部屋が上下に移動する箱だ。

ジルとホムラは上下する箱に乗り10階のボタンを押す。

「ススムはどうでしょうか?ちゃんと寝れてますでしょうか?」

「分からん。取りあえず部屋に寄ってみよう」

ホムラとジルが話をしていたらいつの間に10階に着いた。

部屋を出てススムとアユが泊まる部屋のチャイムを鳴らしてススムが出て来た。


「ジル様、ホムラ様。どうぞお入り下さい。」

部屋に招き入れて入ってきたジルとホムラはアユの容態を聞いた。

熱は続いているが、今は落ち着いていると………

「そっか、良かったな。ススムもちゃんとご飯を食べてぐっすり寝る事。落ち着いている今なら夜ご飯を食べてぐっすり寝るそうじゃないといつか倒れるよ?」


一応注意は入れておく。後はススム次第だ。


ホテル雅は最新式部屋の鍵も魔石で作られた鍵を使用している。

鍵穴に鍵を差し込み半回転させると“ガチャ”と音がしてドアのランプが、赤から青に替わる。

部屋に入りドアロックをしてベットのサイドテーブルに鍵を置いて初めに湯船にお湯をはる。


風呂をすませて、互いにベットに座る。

「アユは、身体が弱いのですかね?」

「分からん、でも体力は有ると思うよ。顔色良しになってきていると思うし」

「そうですね。処でヒジカタと言う方は、冒険者にさせるつもりですか?」

「西町ってだけで不当な扱いを受けていると思う。本人が嫌なら辞めるけど、一度話をしてみようも思ってる」

「ジルの勘は当たりますから、きっと冒険者になると思いますよ?」

「さて、今日も寝るか?」

「そうですね。おやすみなさい」

「おやすみ」

ジルとホムラは部屋の照明を暗くし眠りに落ちた。



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