食べ過ぎは、良くない。
食べ歩きはまだ続く。
今度はススムが「あの屋台にしませんか?」と言って、美味しい香りのする屋台に向かって足がふらふらと行く。
屋台の看板には、誰もが分かる言葉で “ 肉屋 ” と書かれている。
「そのままじゃん!」
「食べますか?」
屋台の店主に焼き串を買う。
「店主、4本下さい。」
「あいよ。処で兄さん達。端から端の屋台の料理を食べてる人達じゃないか」
「屋台めぐりは初めてでな、どうしようかと迷っていたら、端から端まで食べて、美味しい処が合ったらまた行こうと話になったんだよ」
「そうか、じゃ焼き串4本で銅貨8枚だ」
銅貨を8枚を渡して焼き串を受け取る。
一口食べる。
溢れる肉汁。
今まで食べて来た中でも一番美味しい!
「「「「うま~い」」」」
「屋台の中で1番うまい」
とススムが言った。
「嬉しい事言ってくれるね」
屋台のおじさんが嬉しそうに言う。
「「もう食べれない」」
ホムラ、ススムが言う。
あまりにも美味しくてついつい早食いをしてしまった。
「食後のデザートは何にする」と話をするアユにジルは、「俺はお腹いっぱいなので辞めとく」とやんわりと言って辞退すると言ってきた。
「やっぱり食後は、甘い物ですね」
ホムラの言葉にススム、アユは“うんうん”と頷く。
「さっき“食べれない”とか言って無かった?」
「甘い物は別腹です。ジル様」
モンブランを一口食べるアユ。
ニコニコ笑うアユに対してジルは紅茶を一口飲んでちらりとホムラとススムを見る。
ショートケーキやチョコレートケーキを食べるホムラとススム。
「そう言えばこの前ジル様もショートケーキを食べていましたが、今回は食べないのですか?」
「あの時は疲れて甘い物が凄く欲しかったから食べただけだよ。しかし良く食べるな…」
お皿に乗っていたケーキが次々とホムラ、ススム、アユの腹の中に収まって行く。
ケーキ12個はあっという間に消えた。
お会計の時ケーキだけで銀貨8枚も払った。屋台めぐりより高かった。
「「「もう食べれません」」」
ホムラ、ススム、アユは店を出て一番に言う。
本日2度目の言葉。
「当たり前だ!!」
突っ込むジル。
噴水の処に来るまでにホムラ、ススム、アユは仲良く食べた物をリバースしていた。
「腹も身の内だ」
ため息を付きながらジルが言う。
「「「ハ~イ。」」」
元気良く返事をするホムラ、ススム、アユ。
「ジル~お水下さい~。」
「「口の中が酸っぱい~」」
「…」
酒は飲んでないのに、飲んだ様に間延びした言い方をするホムラ、ススム、アユ。
「こりゃダメだ」とジルは思い取り敢えず水魔法で水球を作り出してホムラ、ススム、アユは口を濯ぐ。
「食べ過ぎなんだよ。ホテルに帰るよ。」
「すいません」
「「すいません」」
「帰るよ。」
「「「ハ~イ」」」
フラフラになりながらホテル雅に戻るジル、ホムラ、ススム、アユだった。
「散々な日だった。」
「こっちのセリフだよ」
「肉屋の肉は何の使っているのかな?」
「ここら辺で安定的に取れる肉と言ったら角兎だな。」
コップに水を注ぎホムラに渡す。
「ありがとうございます。」
一口飲んでテーブルの上にコップを置いた。
「処でアユの事ですが」
「今はその時では、無い。」
「それも、そうですね。」
「もう、寝ちまえ」
そうジルが言いベットに潜るホムラ。
「あした明日起きれなかったらすいません」
「どっちにしろススムもアユもホムラも駄目だから気にするな」
翌日、ジルの宣言通りホムラ、ススム、アユはベットから降りれなくなっていた。
物理的に小さくなったとかではない。
夜中に気持ち悪くて起きたホムラ、ススム、アユは、そのままトイレに直行。
何度もリバースしていたのだ。
「何か食べれそうか?」
「今は何も要りません。ススムとアユは?」
「二人ともノックアウトだよ。液体の胃薬を飲ませて寝ている」
「そうですか」
「ホムラもホレ、液体胃薬だ。飲め」
「これ苦いのですよね。絶対に飲まないと行けない?」
「苦しむ方が好きなら飲まなくていい」
「飲みます。」
リポ○と同じ大きさの瓶の蓋を開けて中身を飲み干す。
「ウゲェ~、不味い。でもこれが効く。」
「飲んだら寝ておけ」
「ジル」
「ん?」
「すみません」
「いいよ」
ジルは言うとソファーに腰を下ろしてマジックバックから本を出して続きから読み出した。




