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異なる者

ジル様とホムラ様の1日体験。をする事になったアユとススムで「1日とは言わずずっと体験していればいいじゃないか?」と言うジルの言葉にホムラが賛同して、当初の予定から1ヶ月の体験をする事になったアユとススムは苦笑い。

朝、鳥が鳴く前から起きているジルとホムラに合わせてアユとススムも起きた。嫌。起こされたのだ。東屋で朝のルーティーンで温かい紅茶を入れる。アユとススムは椅子に座ったまま舟を漕いでる。

「紅茶ができましたよ」

「ありがとう。ホムラ」

「「………」」

「寝てますね」

「寝てるな」

「起こしますか?」

「やめとこ。朝無理やり起こされたのだから寝かしてやろう?」

「何だかんだ言ってジルは、優しいですね」

「そうか?」

「そうですよ」

うんうんと頷いてホムラは、紅茶を飲んだ。

「そう言えば蝦夷の二条迷宮で出た宝箱に何が入ってた?麻袋の中に」

二条迷宮では、海鮮の迷宮だ。それなのに冷凍されている魚に混じって麻袋の中に小さな箱が有った。

マジックバックの中に入れてその事をすっかり忘れていて、今、思い出したのだ。

「何でしょうか?開けて見ますね」

指輪が入る位の小さな箱。開けると中には稲妻の紋様が刻まれた指輪ある。

「じゃ、次は俺が開けるな」

ジルもホムラと同様に箱を開ける。十字架とは違うまるで剣の紋様が刻まれてる指輪だ。

「指輪……ですね」

「指輪……だね………着けてみる?」

ホムラが右手の薬指に指して見るが小さくて入らない。次に中指に指しても駄目だった。次に人差し指に指すとすんなり入った。

それを見たジルも右手人差し指に指輪を通す。

「人差し指でなんかしっくりきた」

「これで何が有るのでしょうか?」

「分からん。アクセサリーの一つとしておけばいいかも」

「そうですね。そろそろ2人を起こしますか?」

「うーん、今日は彼らが朝食を作るってのはどう。だから僕達は紅茶を飲みながら待ちましょう」


全く起きないアユとススムを放置して、やっぱりお腹が空いたので料理を作る事にした。

山切りパンを焼いてマーガリンをたっぷりと塗り、本日2杯目の紅茶とゆで卵を作った。


「「頂きます。」」


ふかふかでマーガリンが溶けておいしくなった山切りパンを食べる。紅茶の2杯目はミルクティにした。

籠に入ったゆで卵の殻を捲り中ツルツルの白身が出てくる。パンダの容器から塩と書かれている札を持っている容器を逆さまにして適量の塩を振りかけてパクリと食べた。

「う~ん、美味しい。」

「それにしても全く起きませんね」

「本当だね。」

そう言うとジルは水魔法で水球を作りアユとススムに目掛けて魔法を解いて大量の冷たい水を頭から被る形で慌てて起きるアユとススムだった。

びしょ濡れで冬の寒空に冷たい風が吹く。

「何事ですか?!」

ススムが椅子から立ち上がり辺りを見回す。

アユも慌てて立ち上がる。

「ホムラ、起きたみたいだ」

土魔法で穴を開けた処に卵の殻を捨てて土魔法で土を被せてるホムラに伝える。

「やっと起きましたか?。 ああ、また眠るなら今度は水魔法と雷魔法で起こして差し上げます。 そんな、アユもススムも首を横に振らないで、何処まで耐えられるかやって見ましょう。」

「「すいません」」

「それは何の謝罪かな?」

「寝てばかりですいません。ここに来てから寝てばかり何ですが、寝ても寝ても寝足りなくて」

「「?。寝足りない?」」

「じゃ、起きれる時間帯で行動してもらおう!」

「朝は早く起きなくていい。目が覚めたら家の仕事をして(無いと思うが)。いいよね。ジル?」

「いいぞ。無理が無いようにしとかないと。明日、王都に行かない?アユとススムに王都を見せておきたくて。どうかな?」

「いいですね。王都でしっとりクッキーを食べてもらいたいし。甘い物行ける口だよね?」

「はい。たまに奴隷商会で出される焼き芋が甘くて美味しかったです。」

「………」

「………そうか」

「では、今度王都に行きましょう」



◇◇◇



1つだったものが2つに別れた。

2つ異なる者となって。

だけどいずれ、また1つに戻る。



その時が来るまで、限りのある人生を………楽しみなさい。

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