番外編② 忍者の里1
「ここが、白鳥さんの故郷か……」
俺と柴咲さん、白鳥さんの三人は、現在白鳥さんの故郷である忍者の里に辿り着いたところだ。
田舎だし辺鄙な場所にあるのは間違いないが、忍者の里という割にはあまり隠れてはいないし、民家も現代風だ。
今時はドローンや衛星で集落や〇つんと一軒家などが見つけられるケースも多いので、変に隠す方が怪しまれるのかもしれない。
俺達の目的は一つ。俺と白鳥さん及び、柴咲さんとの交際と婚約を親御さんに認めてもらうことだ。
最終的にはこの里に受け入れてもらいたいところだが、それについてはあくまでも希望であり、まずは関係を認めてもらわなければ話にならないため保留案件とする。
「ねぇ、今更聞くのもアレなんだけど、静香ちゃんって里から追放されたんじゃなかったっけ? 帰ってきて大丈夫なの?」
「あ、はい。忍者になれなかった若者は書類上は追放者として扱われますが、実際は若者に別の生き方をさせるための救済措置のようなものなんです。だから帰省に制限もありませんし、自立していると認められれば里に戻ることも許されているんですよ」
「へ~、何かしきたりとかで厳しそうなイメージあったから、ちょっと意外かも」
「昔はもっと厳しかったみたいですけどね。ただ、時代に合わせて柔軟にアップデートできないと、生き残れない世界でもあるんですよ」
そういえば、白鳥さんはドローンで撮影したり、その映像をスマホへ転送したりと現代技術もしっかりと使いこなしていた。
忍者と聞くと古いイメージが付きまとうが、やはり現代を生きる上では技術や考え方のアップデートは必須なのだろう。
文化や生活に関しては昔ながらの伝統的なやり方を継続していることも多いが、金銭が関わる仕事では基本的に世の中の進化に合わせて内容を更新していく必要がある。
技術や環境的問題もあるし、コンプライアンスや法律の変遷もあるからだ。
忍者の業務には「暗殺」もあるらしいので、その辺は特にシビアだと思われる。
「……まあ、だからといって今回の件を簡単に許してくれるとは思えないがな」
「言い出しっぺが、今更怖気づいたの?」
「ああ。ストレスで屁が出そうだ」
「……こいたら蹴るからね」
「蹴られたらさらに出てしまうぞ?」
「ぐぬぬ……」
柴咲さんは相変わらず武力を行使してくる悪癖はあるが、以前とは異なりかなり手加減ができるようになっている。
それが絶妙に気持ちいいため、今後も是非続けて欲しい。




