21話 復讐者と下水道の闘争1
宣言通りちょっと早めの更新です。
目標は今週中にもう1話更新!!(できたらいいなぁ‥
冷蔵庫の中身を思い出しつつ明日の夕食の献立を考えて買う必要のあるものを携帯のテキストファイルにメモして忘れないようにトップ画面に置いておく。
結構時間をかけて考えたつもりだったが時刻はまだ午後7時前、まぁやる事がないなら少し早くインしてもいいだろう。
ログインするとゲーム内時間は午後9時過ぎ、隣を見るとまだログインしていないロータスのキャラクターが寝転がっていて、反対側の少し離れた場所にあるベッドロールを見るとアリスが寝て……と言うか起きていてばっちり目が合ってしまった。
「お、おはよう……」
取り敢えず声をかけてみた。
「寝られないんですか?」
ゲーム内時間では1日経っている筈なので少し違和感を感じるやり取りにこういう部分はやはりゲームなんだなと思わせられる。
目を開けたまま寝ているなんてことはなくアリスはベッドロールの中をもぞもぞしながら尋ねてくる。
「いや、僕は吸血鬼だからそもそも寝なくても平気なんだよ」
「なるほど」
「まぁ朝までには戻るよ」
「そうですか、ではおやすみなさい」
「おやすみ」
そういうと直ぐにアリスは寝息を立て始めNPCとはいえ女の子の寝顔をじろじろ見ているのもどうかと思ったので直ぐに部屋を出た。
アンデットのグール達は吸血鬼の僕と同じように夜行性なので洞窟の中は昼よりも少し活気づいていた。
昼よりも多くのグールと挨拶を交わしつつ洞窟を出る。
朝まではかなり時間があるので一度街に行ってなにかクエストでも受けよう、ついでにアリスの件の真犯人について情報を集めてみるのもいいだろう。
という訳でエーアストに戻ってきた。
道中野犬3匹に襲われた以外はこれと言ったことはなかったので省略。
他に当てがある訳でもないので自警団の訓練所へ、時間的にインしてる人が多いのだろう夜だというのに街は賑わっていた。
自警団の訓練所に入って依頼書の張り付けてある掲示板を眺める。
出ている依頼は野犬退治、オオカミ退治、倉庫の見張り番、etc……。
適度に時間が潰せそうなのは……これなんてどうだろう。
下水道を拠点としている盗賊の掃討、報酬は銀貨5枚、戦闘系の報酬としては結構低い方なので難易度もそこまで高くないと思う。
他に目につく依頼もないのでこれにしよう。
早速受付に依頼書を持って行って手続きを済ませると、下水道の見取り図を渡されて簡単な注意事項を伝えられる。
注意事項は負傷や死亡については自己責任であるということ、これは洞窟の見回りの依頼の時にも言われた。
そして下水道の設備の破壊になるような手段を避けること、これもまぁ当然と言えば当然なのでさほど気にすることでもないだろう。
受付のNPCは全て話し終えると訓練所の裏にある路地のマンホールまで案内してくれた。
NPCに礼を言って下水道に入る。
ゲームの時代設定は近代なので下水道といっても処理施設につながっているという訳ではなく単に川の街より下流の場所に流しているだけなの簡単なものだ。
現代の下水道を連想していただけに思ったより風通しがいいことに少し驚く、確かにこれなら住処にしても問題はないだろう。
渡された見取り図を見ながら歩くこと10分未だに敵との遭遇はない、と言うか見取り図に印が入れられている住処にしているであろう場所まではまだ少し離れているのでそこまで気を張らなくてもいいかもしれないが……。
ふと気づけば視界の端のステータスの空腹度がいつの間にかかなり高くなっていた、そういえばすこしお腹が減っているような感覚もある。
仮想の空腹感も結構リアルなもので集中力にも影響する……気がするので戦闘になる前に食事を済ませておいた方がいいだろう。
そういえば獣の血は野犬から手に入れて結構なストックがあるので当分の食事は獣の血になりそうだな。
アイテムパックから獣の血の入った小瓶を取りだして中身を口に含む、
口の中に広がる甘さに少し気分を和ませつつ更に奥へと進んでいくとかなり広い場所にたどり着いた。
地図に付けられた印はここを示している。
恐らくは川の氾濫時に下水が逆流しないようにするための設備なのだろう部屋(部屋と言っていいのかはわからないが)真ん中には大きな円形の貯水槽があり直径20mほどのそれをのぞき込むと平時の今は底の方に少し水が流れている程度だ。
よく見ると部屋の端には生活の痕跡がありここが盗賊の住処なのは間違いないと思うのだが、人の気配はない、深夜なので活動時間なのかもしれないがそうだとして誰もいないということはあり得るのだろうか?
置かれた簡易ベッドや生活用品を見る限りでは10人近く居る筈なのだが……既に住処を別の場所に移した?
それにしてはつい最近と言うか、幾つかのランプには火がついているしついさっきまで使っていたような状態なのだが……。
悩んでいても仕方ないので取り敢えず奥に進もう。
そう思って更に奥へと続く通路へ歩き出そうとした瞬間
「動くな」




