森で もうすぐご飯
「さてお嬢さん。何か聞きたいことあるケー」
紳士を気取ろうとして失敗しています。
パンネはだんだんこのカエルのような者が好きになってきました。味見された事に気付いていないからです。
「あなたはティコって言うの? 私はパンネ。ねえ、あなたってカエルなの?」
「グエェ! よろしくーパンネ。そうその通り、オレはティコ。カエルじゃないぜー。その証拠に尻尾があるんだぜ!」
クルリと後ろを向いて、尻尾を見せてくれました。確かにトカゲの様な尻尾が付いています。
「魔物でもないんだぜーゲ、ゲ」
やっぱり魔物っぽいとパンネは思いました。
「ここは何処なの?」
「最初にお前に会った時、近くにでっかい木、あっただろ」
登ったあの木だろうと思い頷きました。
「ゲゲゲ! あの木の中さ!」
パンネは天井を見て、部屋の中も見渡し、壁に触ってみました。横の壁だけ丸みを帯びている様な気がします。窓は一つ付いていますが、果たして木に窓なんて付いていたでしょうか。
でも本当の事なんだろうと、なんとなく感じました。
「さっきの人は?」
「ありゃクェマだ。掃除屋なんだぜー」
森にそんなにゴミが落ちているのか不思議に思いましたが、不思議な事ばかりでしたので、一番気になる事を聞くことにしました。
「わたしはこれからどうなるのかな」
「ここから一番近くの村に送ればいいのか?」
一番近いのは恐らくペンネが以前住んでいた村でしょう。
「多分違うかな。他の村でも送ってもらえるのかな」
「グーェェエ……クェマなら大丈夫だと思うぜ」
パンネはホッとしました。
「でもなんであんなとこ、一人でいたんだ?」
子供がくるとこじゃないぜーとティコが言います。
パンネは置き去りにされたかもしれない事を話しました。
「ゲ、ゲ、これは事件のニオイがするぜー。でも母ちゃんになにかあったのかもー」
意外に冷静な意見でした。
「クェマに相談しようぜー」
丁度隣の部屋から声が掛かりました。
食事の準備が出来た様です。




