冬野つぐみは思う
この人物から逃げ出す方法をと考えながら、つぐみは奥戸へと笑顔を向ける。
隙をついて逃げるのは難しい。
今は自分の意志で体は動くようだ。
だがこの店にいる間は、急に体の自由がきかなくなると考えておいた方がいい。
今、思い浮かぶ対策は二つ。
一つ目はどうにかして店の扉に近づいて、そこから一気に逃げ出す。
二つ目はなるべく時間を引き延ばして、品子達が助けに来てくれるのを待つこと。
加えてシヤの聴く力がまだ繋がっていると信じ、相手の情報を彼らに伝えることだ。
どれも厳しい条件だ。
目の前でほほ笑んでいるこの人を見るだけで、手の震えが止まらない。
それでもつぐみは、静かにこぶしを握り、必死に笑顔を保つ。
何もしなければ、このままつぐみも行方不明者になるだけなのだから。
だからつぐみは抗う。
そのためには、相手が自分をどれだけ把握しているかを知ること。
そして相手の油断を見つけて、そこから相手に情報を話させることが大切だろう。
つぐみは考える。
どうしたら自分が生き残れるか。
どうしたら相手の情報を引き出すことができるのを。
今、頼れるのは自分の観察力と判断力だけだ。
――はじめよう。
自分は必ず皆の元に帰るのだから。
お読みいただきありがとうございます。
そろそろ終盤に向かいつつあります。
つぐみたちと一緒にドキドキして頂けるように頑張っていきます!




