表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう泣き言はいいません!愛する人を守るために立ち上がります  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/56

第28話:おしゃべりな魔王

 もう我慢できない。


「お母様、どうかここから動かないで下さい。いいですね」


「アイリーン、あなたまさか」


 一気に手に魔力を込めると、そのまま魔物たちに一斉にぶつけた。さらに燃え盛る炎を、水魔法で一気に消し去る。


「皆様、落ち着いて下さい。平民たちはまず安全な場所に避難を。魔法を使える貴族たちは、応戦をお願いします!あなた達、散々私を魔法で虐めていたのだから、魔物の1匹くらい倒せるでしょう。


 魔物を倒すのが怖いのなら、けが人の治療を行ってください!何をぼんやりしているのですか?今すぐ動いて!


 魔物は次から次へと襲い掛かって来るのですよ。気を引き締めて。皆、これは魔王の奇襲作戦です。パニックになった方が負けですよ。冷静に、いつもの訓練を思い出して。肩の力を抜いて。私達は皆魔力持ちです。自分の出来る事を自分で考え、戦うのです」


「アイリーン様…」


「アイリーン様の言う通りよ。私達も戦いましょう」


「私、戦いは苦手で。治癒魔法なら使えますわ」


「そうです、皆様、いつもの様に私に対する憎しみを、魔物たちにぶつけるのです。こんな感じで」


 大きな炎をだし、魔物たちに思いっきりぶつけた。どうだ、私の魔力の威力は。


「アイリーン嬢」


 私元にやって来たのは、ジルバード殿下だ。


「どうしてあなたが、ここにいるのだい?」


「どうしてって、今日は激励会だと聞いたので、皆様の有志を見に来たのです。せっかくのドレスが、魔物と魔王のせいで台無しですわ。令嬢の大切なドレスを汚した罪は、償ってもらわないといけませんね」


 にっこり笑った私に、ため息をつくジルバード殿下。


 そう、私は悩んだ末、ジルバード殿下と共に魔王と戦う事を決めていたのだ。けれど魔王が復活するまでは、令嬢として生きたい。そう思い、今まで生きていた。魔王と戦うための訓練も、人知れず行って来た。とはいえ、私がトレーニングを行えたのは、わずか2週間。


 この程度で魔王どころか魔物と戦えるのかと心配だったが、ジャンティーヌの時の記憶のお陰で、それなりに戦えている。


 いや、むしろジャンティーヌの時よりも、魔力量がアップしているのは、気のせいだろうか。


「おい、貴様がジャンティーヌの生まれ変わりと言っていたな?それじゃあ、俺と戦って見るかい?」


 ふと魔王の声が聞こえ振り返ると、腰を抜かし涙を流して震えているレア様に絡んでいたのだ。


「わ…私は…ジャンティーヌ様では…」


「そうだよな、貴様は500年前、あの女の傍にいたのに、いざ俺が現れたら我先に逃げ出した女だったよな。尻尾を巻いて逃げる姿には、俺もさすがに笑った」


 声を上げて笑う魔王。そして私の方を真っすぐと見つめている。


「久しぶりだな、500年前とちっとも変っていないな。せっかくあの女が、お前から魔力を取り上げ、今世では平和に生きる事を願って死んでいったのに。まさか自分から魔力を取り戻すとは。


 大したものだな、ジャンティーヌ…いいや、今はアイリーンか」


 魔王が真っすぐ私の方にやって来た。


「ジャンティーヌが、アイリーンの魔力を取り上げただって?」


「ああ、そうだ。あの女はずっと、貴族令嬢としての平凡な日々を願っていた。だからこそ、今世では魔力を持たない令嬢として、争いには関わらず生きたかったのだろう。だが、運命がそれを許さなかった。


 そうだろう?アイリーン。お前は俺と再び戦うため、無意識に封印されていた魔力をよみがえらせた。俺はずっとお前が魔力を取り戻すのを、待っていたのだよ。再びお前と戦いたくてね」


 ニヤリと笑った魔王。この人、こんなにおしゃべりだったかしら?本当に嫌になるわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ