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おじい様が心配してきてくれましたが、あれ以来声は聞こえませんです。
「シルヴィアがアルジェの中にいると?」
「いえ、シルヴィアを騙る何かの可能性が大きいですな」
どうもシルヴィアさん死亡説と、生存説があるようです。
クリスティーナさんがシルヴィアさんの血縁説が有力、死亡して私にとりついている? なら闇系統の魔法だからおかしい等など。
「しかしのう、我が孫娘にどうしてシルヴィアが?」
「関わりという点では私とグロウズ殿もありましたからな」
「ふむ……」
今は特に私の中から違う人が出てくることもなく、普通にパンを私は食べています。
ミルクが美味しいですが、ティンカさんがじと目でよく食べるわよねと見てきます。
あう、ご飯あんまり食べてなかったんですよ!
「私はここにいたいのです。でも……」
「極力、アルジェ殿のご希望に添えるようにしたいですが、あなたの中に存在する異物が何か分からない限り……しかし王家の機密に関することに関係あるかどうかもわかりませんな」
しかし王家の秘密っていわれたら気になりますね。
アッシュさんはクリスティーナさんと王太子殿の婚礼の日取りが近づいて来たとぶつぶつ言っています。
「来年じゃありませんでした?」
「来年の春とはいえ……あれが……」
「アッシュさんが庶民さん差別をするとは意外なのですよ」
「いや庶民だから差別ではなくあの娘はなにやら怪しい……」
うーん、呪われた色彩を持つと言われた私がいうのもなんですか怪しいといわれても……魔法の学園で二人は出会い、恋に落ち……。
ちなみに私は家庭教師に魔法は習いましたから、学園とやらは行ってないですよ。
かなり王太子殿が入れ込んでましたから、そういう例は他にもありましたし……。
確か今の王太子殿のひいひいおじい様の王妃様は元踊り子でしたよ?
「何か魔法の気配を感じるのですが……あの娘には……」
「はぁ」
お茶を肝心なところで濁してしまうのですよねアッシュさん。
クリスティーナさんがシルヴィナさんの血縁説をかなり押されてますが、そうしたらすることは王家への復讐ですかね?
私の頭じゃこれが限界ですか?
何やらややこしいことになってきたのですよ。
私は第二の人生を故郷でのんびり過ごすはずだったのですよね。
でもまあジュニスさんが大丈夫ですよってぎゅっと手を握ってくれたら大丈夫なような気がしてたのです。
意外に私単純かもしれませんねぇ。
「ここにもう少し私泊りますよ。父と母には許可を貰いましたから」
「しかしそろそろジュニアスさん、伴侶探しをしないと……」
「え? 伴侶って?」
「弟さん達が言ってましたよ。そろそろ伴侶探しをするようにって言われていて、アリスさんが候補とか」
「そんなことは考えてませんよ! 私の伴侶はもう決めていて、それはなんというか私の考えで決めていると言うか、あのそのえっとあの!」
ものすごくジュニアスさんが焦っています。
目を白黒させていますよ。ふむ、お相手は自分で決めるんですね。好きな人がいるならそれでいいとおも……むう、やっぱり何か腹が立つですよ!
「よかったですねジュニアスさん、伴侶がもう決まっていてです!」
「いえまだあの打ち明けることもきちんとで……」
「打ち明けられたらいいなのです!」
「あ、えっとそうですね……」
私何か腹がたってきたですよ。あう、私たちを見てほほえましいですなとかいってアッシュさんが笑ってます。
でも好きな人って誰なのでしょうか? ティンカさんとかまさかですよね。
ムカムカしてきましたですよ。
そんなことを考えていると、まだ先ですからとジュニアスさんが笑います。
うー、好きな人、思いつかないのですが誰なのでしょう?
「わしは賛成だ、ジュニアス、そうじゃな、想いを打ち明けることができたらわしにも教えてくれ。ふむわしの跡取りはこれできまりかの」
「はぁ? おじい様、何がどうなったらそうなるですか!」
「愛はこの世界の全てで素晴らしいものだな」
うう、遠い目で何やらおばあさまとの出会いについて語りだすおじい様。
ジュニアスさんは頑張りますとか言ってますし、二人とも私にわかるよう会話をしてくださいです。
私たちを見てやっぱりみんなは何処か生温かいような目で見ています。
はうう、鈍いわねとティンカさんが言いますが、何が鈍いのかほんと教えてほしいですよ。




