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  いつか別れがやってくるものなのですが……。

 妖精の里で長にもてなされながら私は少し考え事をしていました。

 戻ってきてもその考えが離れません。


「アルジェさんどうしました?」


「私なら平気よアルジェ、2日もすれば怪我も治るって言われたし心配させてごめんね」


 私が黙っていると心配そうに皆が声をかけてきました。何やら心の中に重いものが沈んでいるようです。ふむ早く帰って来てくれよとクリスに拗ねられましたが。

 里に入れなかったので拗ねているようです。

 なんでしょうねぇ。ドラゴンと人間の恋なんてありえないと聞いてからずっとなのですよ。

 

「なんでもありませんです」


 そういえば小さい時お母様が話してくれたたんぽぽドラゴンとお姫様のお話には現実の恋があったと聞きましたです。

 ご先祖様のことか? と思ったら違うお話だったですよ。


「しかしあんたを追放したクリスティーナって女ってよくわからない人よね」


「え?」


ティンカさんがうーんと首をひねります。よくわからないというか王太子殿を愛している普通のお嬢さんで偶然魔力を持った人だという認識しかなかったですが?


「計算しているように見えて抜けているところもあるし、後その王太子殿って自分大好きな人でしょ? 外見重視ならなぜそのクリスティーナって子を好きになったのかな?」


「可愛らしい系統の方でしたよ」


「美形好きって割とかわいい系は微妙って人多いわよ。私もそうだけど……」


 さらっと言い切るティンカさん。そういえば妖精王も美形でしたね。

 

「アルジェ、一応公爵令嬢でしょ? それがただの庶民の女の子にたぶらかされた王太子の権力程度で断罪とか普通できる? 貴族の反感とか買わない? アルジェは王様に認められた婚約者なのに」


 そういえばティンカさんって割と長年生きて……いえまぁ長生きしているだけあってこういうところは鋭かったです。

 うーんと首をひねる私。

 だって王太子殿の権力って結構絶大ですよ? 私が何とか追放くらいで済むよう手を打つのが精いっぱいでしたしね。


「計算高くアルジェを追放した割にその後の詰めが甘いかなって」


 言われてみればそうとも思えますが、でも私を追放して安心したからとかじゃないですかね? 

 考えてもその辺りは良くわかりません。

 鋭い意見です。クリスティーナさんって詰めが甘いような気もしますね。王太子様の愛があるから大丈夫と豪語されていましたしねえ。

 でも一度だけ彼女が泣いている所を見たことがあります。

 割と根性が据わった方だと思っていましたが……何かあったのでしょうか?

 すぐこちらを睨まれて泣きやまれたのでよくわからなかったのですが。


「一応、気をつけておいたほうがいいと思うわよ」


「ティンカさんに言われると微妙ですが……気をつけます」


 木のうろにハマって抜けなくなったり、鷹に襲われて怪我をしたりの人に注意されるのは微妙な心境ですが、気をつけろという忠告は確かなので頷きました。


「助けてくれてありがとうね。アルジェ、ジュニアス、クリス」


 クリスとティンカさん結構意気投合してました。なんでしょうねぇ。妖精って偏見がクリスにないからでしょうか? 割と他の種族ともつきあいありますし、ジュニアスさんのことを打ち明けても大丈夫なような気がしますよ。

 ティンカさんがクリスにお礼が言いたいと言うので一緒にきました。

 お礼を言い損ねたとのことでしたが、そういえばクリスにお礼を言っていませんでしたね。

 こう言う所は律義なのですよ。

 また再びティンカさんを妖精の里まで送っていったら、オークさんがまだ長さんに愚痴を言っていましたよ。片思いの相手の幸せを祈ってあげなさいと言われていましたが……複雑ですね。

 ずっと好きだった人らしいので、マリエルさんの幸せはそりゃ願うけどとオークさんが泣いています。

 あう、見ていて悪い事をしましたです。


「鷹に襲われないようにしてくださいティンカ」


「気をつけてくださいです」


「わかったわ」


  愛する人の幸せを祈ること……この言葉が何か心に刺さりました。お母様もアークがいたことがわかったとき色々ありましたからねえ。

 ジュニアスさんがにっこりと笑うとなんでしょうねぇ、やっぱりお日様の下にいる時のようなあったかい気持ちになったんですよ。

 でももうすぐ成人で伴侶をめとるっていう話をちらっと前に弟さん達に聞いた時なんだか胸がちりちりしたです。


 あーう、ちょっと最近の私おかしいかもしれませんね。

 ぼおっとしているとジュニアスさんが大丈夫です? と聞いてきました。

 大丈夫ですと答えてはみたんですけど……ふう胸が何かドキドキしたですよ。

 

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