失敗が多いなら失敗をしないように仕事をさせるのも大事かなとおもう
カロルはドジっ子メイドで、結構鈍臭い。
性格的には献身的で家事が好きかつ、誰かの役に立ちたいと思って頑張っているのだが結果的に迷惑をかけることも多かったりもするな。
カロルと私は今朝食をとっているがオムレツを一口食べたカロルが固まっている。
「はうう、また失敗しちゃった……」
「どうしたカロル?
また洗濯機に洗濯物を放り込んだままで、干すのを忘れたのか?」
ああ、ちなみにこの世界には魔法を使った洗濯機や冷蔵庫はちゃんとある。
それなのに射撃武器の中には銃器もあるという文明レベルのよくわからない世界だったりするが。
で私がそう言うとカロルは顔色を変えた。
「え? あ! 洗濯物干すのを忘れてた!」
「おいおい……」
そしてカロルは走っていったのだが、どうも一つなにかやっている間に他の何かが入って来て、そちらをやるとその前にやっていたことを忘れたりするみたいなのだな。
「ん……これはちょっと甘すぎるな」
本人には全く悪気はなくやる気がないからと家事を途中で放り出しているわけではないが、そんな感じで失敗が多いので、過去に何度かクビになったりもしているらしい。
洗濯物を干し終わったらしいカロルが戻ってきた。
「で、だいたい想像はつくけども失敗っていうのは何をしたのかな?」
「お料理で大さじと小さじを間違えちゃって……」
「それでは味付けがレシピとは変わるだろうな。
通りでオムレツが甘すぎたわけだ」
「うう、ごめんね、王子」
「別に食べられないわけではないから問題はないが……」
「はうう……どうして失敗するんだろう……」
今日は何故かだいぶ落ち込んでいるな。
「カロル。
気分転換に街に出かけるとしよう」
「え、お出かけ? うん、わかったよ」
というわけでカロルと一緒に街へ出かける。
街の中には女子供の姿も見えるようになり、男が女子供にプレゼントを買って渡している様子も見られるな。
カロルが落ち込んでいるみたいだし、私もなにか買ってプレゼントしてみるか。
カロルが好きなものは本とかぬいぐるみだったはずだな。
ならば本屋にでも立ち寄ってみるか。
というわけで本屋を探してその中に入った。
「うわあ、本がいっぱい!」
とカロルはかなり喜んでいる。
この世界の本は結構高いものでもあるのだが庶民の娯楽として色々と売られているし、ガイドブックのようなものもあったりする。
「カロルはいつも頑張ってるし一冊プレゼントするよ。
欲しい本は自分で選んでくれるかな」
「え、お本を買ってくれるの?
私になんかに?」
そういう問本棚から一冊の本を取り出しニパッと笑った。
「えへへへ、ありがとうね王子。
このお本、大切にするよ」
タイトルから見て内容はくあるシンデレラストーリーの寓話の本を抱えてニコニコしているカロルは何だかんだでかわいい。
そしてシステム的なことを言えばこうやって贈り物をして好感度が上がれば能力が少しプラスされる。
「まあ、とりあえずは一つのことをやっている間になにかほかにやることができたらメモを取っておいたほうがいいぞ。
そうすれば忘れても気がつくと思うし、後失敗するかもとあんまり考えすぎないほうがいい」
「う、うん、これからはそうするね」
まあ、結局メモをとるのを忘れることも多かったりするのではあるけど、カロルは失敗を恐れるあまりそれで緊張して余計に失敗するというタイプでもあると思うんだ。
それならばなるべく失敗しない方法を考えて使うのも大事だと思う。
能力があってもそれ以上にプライドが高く、基本的に人のことを見下してきたり、損得勘定ばかりで動くタイプよりはずっとずっとマシだと思うのだ。




