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防御特化と塔九階。

「メイプル、シロップ呼んで!」


「うんっ分かった!」

メイプルはシロップを呼び出そうとするものの、スキルが発動しない。同じようにサリーの【糸使い】も発動できないでいた。


「な、何もできないよ!」


「落ちるしかない……?」

二人はどうしようもないと覚悟を決めるが、しかしゆっくりと速度は落ちていき空中でピタリと止まった。


「浮いてる?」


「みたいだね」

改めて落ち着いて辺りを見渡してみると、いくつか同じように浮かんでいる星の形の足場もいくつかあり、それはキラキラと光っていた。

二人の体も同じように光っており、浮いていられるのはこれを纏っているからだった。


「見て、メイプル。バフがかかってる。【星の力】だって、二分しか持たないみたいだけど……あの星型の足場に二十秒乗ってれば掛け直せる」


「落ちないように休憩しないと駄目ってことだね!」


「スキルも発動できるようになってるし、ここからようやく戦闘フィールドかな」


「よかったー。シロップも今度こそよろしくね」

メイプルはシロップを巨大化させ自由に移動できるアドバンテージを得る。

サリーなら、シロップを寄せれば糸を伸ばして緊急避難することもできるだろう。

そうして、二人が準備するのを待っていたかのように空の様子が変わる。


「何か来るよ」


「うん、大丈夫」

星の煌めく夜空から、二人でも手を回せないほどの太さの黒い円柱が降りてきて、そこから鉤爪のついた十メートルはある長い腕が二本伸びてくる。

ぷつりと空との接続が切れ、顔と思える部分に二つ目のように光がともり、その下が避けて大きく咆哮を響かせた。

それは明らかに雑魚モンスターとは思えない見た目で、二人に緊張が走る。


「……ボス?」


「恐らく!八階以降はボスとの戦闘なのかも」

八階のようにボス自体に特殊なギミックあるわけではないようで、頭の上にHPバーが表示される。本格的な戦闘の予感に二人は武器を構えた。


「先手必勝!」


「真っ直ぐボスのところまでっ!」

八階とは違って目の前を遮るものはない。【星の力】など不要とばかりに自爆して、サリーを連れてボスの目の前まで吹き飛んで行こうとする。

しかし、ボスがそれを見過ごすはずもなく、メイプルに向けて横薙ぎに腕が振るわれる。


「よいしょっ、とぉ!」

メイプルは体を捻って【悪食】付きの大盾でもってその腕を受け止めダメージを与えるが、そのまま横へと吹き飛ばされる。


「ノックバック付いてるよ!」


「防御貫通じゃないなら大丈夫!」

距離はそれほど詰まらなかったものの、ダメージがないことに安心し、体勢を立て直す。


「じゃあ【全武装展開】!【攻撃開始】!」


「っ、待って!」


「え?」

メイプルが銃撃を始めたところで二人の体の光がふっと消え、地面に向かって加速し始める。


「任せて!」

サリーはメイプルと繋がった糸を引くと、ステータスを低下させ足下に透明な足場を作り出す。そして、とんとんとそれを飛び移り、近くの星型の足場に飛び乗った。


「ふぅ……多分落ちたらメイプルでも即死だからね。気をつけて」


「う、うん。そういえば二分だったね」


「次来るよ!」


「えっとえっと、あ!【ヘビーボディ】!」【STR】が【VIT】以下のため動けなくなるが、代わりに一分間ノックバックを無効化する。

これさえ使えば強制的に吹き飛ばされずに、【身捧ぐ慈愛】で防御するできる。



「ナイス対応!」


「えへへ、せっかくミィに教えてもらったし!使いこなしていかないと!」


「下手に手を出して変な行動されても困るし、様子見かな。シロップをもっと寄せておいて」


「りょーかいっ」


「メイプルが大丈夫そうなら、私は別で攻撃に向かおうかな。これなら避けられるし、私を狙わせた方がいいと思う」

八階から続けて攻略しているため、景気良く爆破したメイプルの兵器もそこまで残っていない。そのため、落ちた時のケアのために温存して、糸と空中歩行のあるサリーがメインで攻撃することとなった。


「気をつけてね!」


「うん、そっちこそ落ちないでよ?」


「が、頑張る!」

サリーはめに繋いでいた糸を外すと、すっと空中に舞い上がって、移動の感覚を確かめる。

空中移動の速度は遅く、きっちりと攻撃を読み切る必要がある。


「私が引き付ければ、メイプルの【毒竜】も通せるはず……朧!【覚醒】」

サリーは朧を呼び出して肩に乗せるとそのままボスへと向かっていく。


「これだけ的が大きければ……【ウインドカッター】!」

メイプルに向いている注意を自分に向けさせようと、手始めに魔法を放つ。それは確かにボスに命中し、わずかにHPを削る。

それと同時、ボスの体が動き、サリーの方に黒い刃が飛んでくる。


「っと……同種のカウンターか」

もちろんその程度サリーに当たるはずもなく、悠々と回避する。サリーは数回魔法を放ち、カウンターだということを確信する。

それと同時にメイプルに安易に攻撃させられなくなったと感じた。


「攻撃をそのまま真似してくる!ノックバックも付いてるかもしれないし、撃つタイミングは考えて!」


「分かった!」

サリーの【剣ノ舞】も八階で回避するようなことがほとんどなかったためまだ効果が薄い。

ボスのHPも多く、HPの減りから防御力もなかなかのものだということが見て取れる。

メイプルも攻撃に入る必要があることは本人が一番よく分かっていた。


「足場がないのは困るし……うーん、そうだ!」

次の攻撃までに名案が浮かばないものかと考えるメイプルは、思いついたとばかりにポンと手を打った。

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[気になる点] 「サリーはめに繋いでいた糸を外すと、」 ↓ 「サリーはメイプルに繋いでいた糸を外すと、」 ???
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