17話 帰ってきたよお兄ちゃん♪
「来世じゃ女に優しくしろよな。ロリコン童貞短小マザコンゲス野郎」
情欲に負け完全に油断しきった死霊術師の首を刎ね、止めを刺してから、犠牲者の無念を込めて暴言をぶつけた。
魔眼?最初から効いてない。
ヤツの力及ばず俺にレジストされただけ。
はっきり言ってあの程度の魔法ではドラゴンに竹槍、アイアンゴーレムに豆鉄砲で挑むようなものだ。
魔法を使う者なら相手の魔力抵抗は想定しかるべきだと思うのだが。
これまでレジストされたことがなかったことで性能を過信したか、才能に溺れたか。
どちらにせよ本来の持ち主よりも遥かに力は劣るだろうと見た。
どれだけ魔力量に優れようと出力が足りていない。
とはいえ人質に効いているのは事実で、追い詰められたヤツに自害でも命令されては困るのでかかったふりをしてやったというわけだ。
彼女達を救えるなら俺の裸ぐらい安いもんさ。
おじさん女には優しくが信条だからね。
女と言えば、強奪された目玉も持ち主に返してやるか。
元々ギルガルドの首都付近のラメイソンには立ち寄る予定だったしな。
ダガーを取り出した俺はモンスターを解体する要領でジュノンの瞳を回収した。
―――さて、生存者を街に帰してやらないと。
家に帰るまでが遠足。
依頼主に報告して初めて依頼達成なのだ。
死霊術師の頭に突き刺していたクレイモアの刃を抜いて女達の元へ。
魔眼の効果が解け、虚ろだった彼女達の瞳に生気が戻ってきた。
犯し、生贄捧げるための人質だったので面倒な呪いをかけられていなかったのは幸運と見るべきか。
「ここは……?」
「私たちは確かあの魔術師を捕えようとしたところで……」
「あー、ちょっといいかな?」
自分達の身に何が起きたのか理解が追いついていないようなので声をかけてやる。
「貴女は?」
女たちの内比較的意識のはっきりしている人族の騎士風の女が問いかけてきた。
「冒険者のアスカだ。
領主の依頼で君達を助けに来た。
そこの悪い魔術師は俺が責任もって討伐したので安心してほしい」
彼女の拘束を解きながら説明する。
「……え?え?」
どうやらすっぽんぽんの少女に助けにきたと言われて余計に謎が深まってしまったらしい。
場違い感マックスだよなあ、これじゃ
服を着る暇がなかったからねしょうがないね。
耳をひっぱって見た目通りの年齢じゃないぞとアピールしながら
「アイツを油断させるのに服を脱いだんだ。
鼻の下を伸ばしてたからな。隙をついて殺すのは簡単だったよ。
女を馬鹿にした報いを受けさせてやった」
「私達が人質にとられていたからそうせざるを得なかったんだろう?
すまない……」
勘のいい人だ。俺に言われてから部屋の状況を見て瞬時に判断したらしい。
「考えるのは後にしようぜ。まずは家に帰って体を休めた方がいい。
な?」
大人の包容力を駆使して落ち着かせてやろうとしたのだが、
「そんなわけにはいかない!私は隊長だ!
私の部下を知らないか?この場の3人を除き、後8人男の騎士がいるんだが……」
必死の形相で肩を掴まれた。騎士団の隊長だったのかこの人。
どうしたもんか……
全滅したと聞いて取り乱されるのはなあ……
「頼む。私は女である前に一人の騎士なんだ。
どんな結果であろうと受け入れなければならない」
まったく騎士ってやつは頑固者が多い。
誇りだの忠義だのそんなに大事かね?
―――分隊は兄弟、分隊は家族って名言もあるからな。
肉親同然なら心配して当たり前か。
「俺が到着した頃には全員アンデッドになっていた。
手遅れだったから殺したよ」
「そうか……
私が不甲斐ないばかりに貴女に尻拭いまでさせてしまった。
部下を救ってくれて感謝する」
「礼なら生きて帰ってから聞かせてくれよ。
それが一番の報酬だ」
いつもなら金のためだから気にするなと返していたかもしれない。
騎士に恩を売るという打算も働いていただろう。
本当に変わったな俺。
「貴女のような冒険者もいるのだな。アスカと言ったか覚えておこう。
動くのに問題ない。
私も他の者の解放を手伝おう」
残っていた生存者を伴い、無事帰還した。
ギルドに戻ると釈放されたエドがジョエルと共に待っていた。
「やあ、無事で何より。
生き残った騎士から通信アーティファクトで報告を聞かせてもらったよ。
まさか、指名手配中の魔術師がうちの領に逃げてきていたとは
何はともあれ事態を解決してくれてありがとう。
つい今しがた学院から派遣されてきた魔術師がやってきたんだが、放置していたら国が転覆するほどの犯罪者だったらしい。
民に代わり、領主として礼を言わせてもらうよ」
感謝の言葉を述べ、エドが頭を下げた。
「殉職した騎士と亡くなった冒険者の葬儀が終わったら、皆を励ますために食事会を開こう思うんだけど、招待させてくれないかな?」
「気持ちは嬉しいが辞退させてもらう。明日にでもラメイソンに行くつもりなんだ」
「魔法学院に?」
「ああ、人捜しの用があってな」
「そっか、いつでもグリーンウッドに立ち寄ってくれよ。キミなら領全体を挙げて歓迎する。
初めて会った同郷だから、2人きりで色々話したいこともあるしね」
「世話になった娘がいるからな。また来るさ。
それと2人きりは遠慮させてくれよ。ロリコン相手じゃ何をされるか分からん。
きっと権力にものを言わせてイタズラするつもりなんだろ?」
エロ同人みたいに!
「う、僕は前世から続くロリコンだけど少女は見守るべきがモットーだよ。その証拠に日本でも純潔を守り続けてきた。
誓ってキミに触れるようなことはしない」
エドが顔を赤くして狼狽した。
あの死霊術師と同じ優男のロリコン童貞だが、こいつは根が優しくて誠実さがある。
童貞歴50年は説得力があるわ。(ちなみに俺は16の時に捨てた。)
だからついついからかってやりたくなるな。
「ホントに?わたしはお兄ちゃんのこと好きなんだけどなー?」
スカートの裾をつまんで膝のあたりまで持ち上げてみる。
見とる見とる。
他に見るもんがないのかってぐらい釘付けだ。
ちょっと楽しい。
太ももまではサービスサービス♪
どや?膝枕して欲しい?それともprprしたいか?
「ほらほらーあと少しでパンツ見えちゃうよーお兄ちゃん♪」
「ゴクリ……」
エドが唾を嚥下する音が聞こえた。
男の理性を弄ぶのっていいもんだな。
昔、俺を焦らしまくってきた女の気持ちが今なら分かる。
「えっちな目だねー。お兄ちゃんなのに妹に欲情しちゃうなんていけないんだー。
わたしの太ももに触りたくて我慢できないって顔してるよ。
しょうがないよね。お兄ちゃんロリコンの変態さんなんだもん。
でもね、愛があるなら何をシても犯罪じゃないって思うんだ。
今度は警察さんにも黙っててあげるよ。お兄ちゃんのこと好きだから。
ねえ、お兄ちゃんはわたしにどうしたいの?
お・し・え・て、お兄ちゃん♪」
「お、お、お、お、おお、」
「お?」
「お、大人をからかうのはよしたまえ!!」
ロリコン領主が葛藤と羞恥で爆発した。
『妹味、季節のビッチと誘い受け風味を添えて』は大成功だ。
美少女力の確かな成長を感じ、女として新たな段階に進んだことに満足した。




