4話 vs斧ゾンビ
5/30 設定に欠陥があったので、武器設定を変更しました。
というわけで今いるのは、北校舎だ。
一階は、探し回ったが廊下には、ゾンビの姿も見えず、教室も鍵がかかっているのでおそらく一階にはいないだろう。
二階への階段を慎重に登る。
そして、二階廊下を覗くと、二体のゾンビがいた。
不意打ちで一体、その後もう一体を殺るか。
まぁ、最悪この身体能力なら走って逃げ切れるだろう。
一体のゾンビが階段に向かって歩いてくる。
こちらには、まだ気づいていないようだ。壁の陰に隠れて、顔を出すとバレそうなので足音で、タイミングを図る。
足音が大きくなってきた。
そろそろか…………今だ!
俺は、陰から飛び出してゾンビが反応する前に、箒を突き出す。
もう3回目となれば、慣れたものだ。
そのゾンビの断末魔に気がついた、もう一体のゾンビがこちらにかけてくる。
同じように、目に突き刺して終わりだ。
『レベルが上がりました。スキルが覚醒しました。』
おぉ、どうやらレベルが上がったようだ。
そしてスキルも手に入れたようだな。
どれどれ、
神崎 清 16歳
レベル 3
体力 120
力 12
耐久 13
速さ 18
精神力 15
スキル 空間把握
ステータスが上がったのはいいとして、問題はスキルだな。
空間把握ということは、周囲の状況がわかるようになるってことか?
試しに、周りの状況を知りたいと念じて見ると。
おお!これは、すごい。
脳内に直接3Dマップが送られてくるようで、大体学校の半分くらいの範囲の様子がわかる。
どうやら北校舎には、もうゾンビはいないようだ。
北校舎を出ようと、出口に向かって歩いていると、体育館が空間把握範囲内に入った。
どうやら、ゾンビたちが体育館前に集まっているようだ。
まだ空間把握を使い慣れていないのか、この程度の能力なのかはわからないが、ゾンビたちがなにをしているのかまでは、わからない。
俺は気になって、体育館への歩みを早める。
校舎の陰に隠れて、体育館の方を伺う。
どうやら、体育館のドアを壊そうとしているらしい。
しかし、体育館のドアは分厚く、たいして生前と能力が変わらないゾンビには、壊せないだろう。
と思っていると、一体だけ他のゾンビよりも、一回り大きいやつが目に入った。
そいつは、斧を持っていて何度もそのドアに打ち付けている。
おそらく、レベルアップして知性が生まれたので、体育館に人がいると感づいたのだろう。
武器を扱っているのが、レベルアップした証拠だ。
まずいな、このまま放っておけばあの斧ゾンビは、ドアを壊し、中にいる何百人もの生徒たちを襲い始めるだろう。
あの中には、おそらく、いや確実に俺の2人の親友もいることだろう。
あの斧ゾンビに勝てるかはわからないが、とにかく体育館から注意を逸そう。
俺は物陰から飛び出し、まず手前にいたまだレベル1っぽいゾンビを片付けることにした。
一体を不意打ちで片付けると、その断末魔に気がついた他の数十体のゾンビが一斉に襲ってくる。
数こそ多いが、レベル3の身体能力と空間把握によって死角がなくなった俺は、あっという間にゾンビたちを屠った。
『レベルアップしました。』
どうやらレベルアップしたらしいが、いまはそれよりも、斧ゾンビだ。
斧ゾンビは、ゆっくりと振り返りニヤリと笑った。
とその瞬間斧ゾンビの姿が掻き消え、腹にとてつもない衝撃を感じた。
俺は、放物線を描き地面に叩きつけられる。
斧ゾンビは、その笑みを崩さず、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
俺が死んだら、こいつは体育館のドアを壊し、中の人を襲うだろう。
絶対にそれは阻止してやる。
俺は、空間把握を起動し、斧ゾンビの次の兆候を観察する。
斧ゾンビは、俺の前に立ちトドメを刺そうと、斧を振り上げた。
俺は、体中を襲う激痛に耐えながらも、横に転がり回避する。
斧ゾンビが、地面に刺さった斧を抜く間に俺は立ち上がった。
徐々に鮮明になって来た空間把握は、斧ゾンビのふくらはぎの筋肉が引き締まる様子を捉えた。
それを見て俺は、斧ゾンビが踏み出す数瞬前に横に回避する。
斧ゾンビは、回避されたのに腹を立て、何度も攻撃を仕掛けてくるが、最早筋肉の動きまで分かるぐらい、鮮明になってきた空間把握を駆使して、数瞬前に回避行動を取っていく。
最初は、あまりの速さに動きが見えなかったが、こうやって冷静になって見てみると、動きが単調なんだな。
大体の動きを見切った俺は、斧ゾンビの突進を最小限の動きでかわし、その進路上に箒を置いておく。
斧ゾンビはいきなり、進路上に現れた箒に反応できず、自分から刺さりにいった。
箒は、目から脳まで貫通し、斧ゾンビは断末魔を残して倒れた。
なんとか倒せたが、俺も満身創痍だな。
戦いが終わり、アドナレリンが切れたのか、今更のように痛みが体を襲ってくる。
『レベルアップしました。空間把握が、一定の熟練度に達したため、空間支配に進化します。』
どうやら、スキルが進化したらしい。
戦いの中で、空間把握が鮮明に見えるようになったのは、ギリギリの戦いで習熟度が上がったからか。
神崎 清 16歳
レベル 5
体力 140
力 18
耐久23
速さ 22
精神力 25
スキル 空間支配
耐久と精神力が結構上がっている。
ステータスの伸びには、そのレベル帯で経験したことが関わっているのだろうか。
それより、今はどこか休めるところを探さないと。
この満身創痍の状態で、ゾンビと遭遇してしまっては、勝てる気がしない。
あと、箒は斧ゾンビを倒した時に、ポキリと折れてしまった。
俺は、ゆっくりと南校舎に向かう。
歩くだけでもかなりの苦痛だが、とりあえず安全な自分の教室に戻りたい。
死にそうになりながらも、教室に着いて鍵を閉めた。
その時、疲れと痛みがドッと押し寄せて、そのまま眠った。




