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2話 脱出開始

5/30 1話の改稿に合わせて一部を削除しました。

設定に欠陥があったので武器設定を変更しました。

 脱出するならば、まずは武器を確保したい。


 というわけで今いるのは教室だ。

 本当は技術室がいいんだが、北校舎なんだよなぁ。

 仕方ないから教室にあるものでなんとかしよう。


 おっ!これがいいんじゃないか?

 選んだのは箒だ。

 というかそれぐらいしか武器になりそうなものがない。

 カッターナイフとかもあるけどゾンビに近づくのは嫌だし…。

 ある程度リーチのあるものだとこれしかない。

 でも箒で叩いたぐらいじゃ、ゾンビには効かんわな。

 だってあの女子生徒左腕食われたのに、平然としてたもん。

 ゾンビには、痛覚がほとんどないと考えていいだろう。

 だとしたら倒す、または追いかけられた時に、足止めするにはどうすればいいのだろうか。

 部位欠損ぐらいじゃ、足止めにもならないと考えると、やはり頭とかを潰すしかないのか?

 よし、 「バキッ!」おお、うまく折れたな。

 箒の木の柄を先が尖るように折ってみた。

 これで目とかに刺せば、動きを止めるぐらいはできると思う。

 これで何事もなかったら、もうどうしようもない。


 これで分かったが、ゾンビについての情報があまりにも少ない。

 次は情報を集めよう。


 窓から外を見ると、ゾンビがいたるところに徘徊している。

 体育館周辺でも軽く十体以上はいるだろう。

 さっきよりも増えている。

 もともとこの高校の生徒だったらしく、制服を着たゾンビも数体はいる。

 あとは、恐らく一般人だ。

 外から入ってきたんだろうね。

 ということは外でも同じ状況なんだろう。

 俺はしばらく、窓からゾンビを眺め続けて情報を集めることにした。



 もう日が沈む。

 夜と昼で行動が変わるかもしれないが、もう寝よう。


 寝る前に分かったことを整理しよう。

 まず一つ目、ゾンビどうしは、襲わない。

 女子生徒が緑になり始めた瞬間、襲うのをやめたことから、恐らく仲間という認識なのだろう。


 次に二つ目、五感は恐らく人間だった頃と同じ、ただし知性はない。

 これは、俺も肝を冷やしたが、黒板消しを窓から落としてみたのだ。

 落ちた周辺のゾンビは、黒板消しの方を一瞥したが、その後去っていった。黒板消しが勝手に落ちるはずもないので、知性があれば南校舎に人がいると気づいて、襲撃してくるだろう。

 最悪、教室に立てこもるつもりで、実験したが、体育館に避難した人達を狙わない時点で、あらかた予想はついていたが念のためだ。


 三つ目、餌は人間。正直、予想になるのだが、生命体として歩き回っている以上は、餌が必要になるだろう。

 しかし、見ている限り何かを食べるということは、なかった。

 恐らく人間という餌が見つからないから、食べないということかもしれない。

 まぁ、昼に腕食べてたし。

 なら、このまま隠れてれば勝手に餓死してくれるのではないかと希望を抱いたが、俺が観察を止めようとしていた時に、見てしまったのだ。

 ゾンビが共食いをする姿を…。

 正直グロかった。

 生徒らしき人が、お爺さんを組み伏せて内臓を貪り食っていた。

 正直吐きそうになったが、なんとか持ちこたえた。

 四つ目、身体能力は生前または感染前に依存、かなりの年配のお爺さんだが、最初は走って逃げていた。

 しかし、そこは全盛期の男子、軽々と追いついていた。

 少し身体能力が上がっている気もする。

 よくあるリミッター解除って奴かもしれない。


 五つ目、これで最後で一番気になることでもあるのだが、お爺さんを食べた男子生徒は、次の瞬間、北校舎をあっと言う間によじ登り、屋上から獲物を探すようにしていた。

 ゾンビの共食いで、身体能力が上がり、またただ徘徊していたのが、高いところから探すという、知性も現れ始めた。

 これが何を表すかというと、放っておくとどんどん強くて、知性のあるゾンビが増えていくことになる。

 どうやら、早く手を打った方がいいようである。


 考えた結果、校外に脱出することにした。

 校内に食糧が確保できそうなところは、もうない。

 危険だが校外に出るしかないだろう。餓死するよりマシだ。

 ……………よし!


 覚悟を決めた俺は、防火扉を開く。

 どうやら、階段にはゾンビがいなかったらしい。

 階段の上から一階の廊下を覗くと、一体のゾンビを見つけた。

 見た目は三十代のサラリーマンだ。やれるか?

 いや、やるしかない。

 校外へ出るまでに、一匹のゾンビに見つからないなんて、無理だろう。

 最盛期を過ぎたこのゾンビに勝てないようでは、脱出は不可能だ。


 俺は、再び覚悟を決めて箒で音を鳴らす。

 ゾンビはこちらに気づいたらしい。階段を駆け上がってくる。


「ウガァアアアアアア!」


 最早、人のものとは思えない鳴き声に、足が竦みそうになるが、なんとか踏ん張りタイミングを図る。

 ゾンビに知性はない。

 なら人を発見したら、何も考えず一直線に突っ込んでくるだろう。

 ならそこで目に箒を突き刺す。

 シンプルな作戦だが、戦闘なんてしたことのない、普通の高校生ならこんなものだろう。


「今だ!」


 慎重に、狙いをつけてゾンビの右目目掛けて箒を突き刺す。

 ゾンビの突進の力と合わさり、うまく脳まで突き刺さったようだ。

 そのままゾンビは倒れ、動かなくなった。


「ふぅ〜…」


 怖かった…。

 そして、ゾンビとはいえ元は、人だったものを殺してしまった罪悪感に今更ながら襲われる。


「これは、生きるために仕方ないと割り切ろう」


 そう言ってみたものの、涙が自然と溢れ、しばらくはその場から、動けなかったのであった。


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