第十一話 ハッピーバースデーと希少石 ②
不確定要素というピースしか見当たらない中、好んで難解なパズルに挑む気など毛頭ない達也は、早々にその不毛な作業を放棄した。
司令官として直率している部隊があれば別だが、動かせる部下すらいないのでは、完全に手詰まり状態で打つ手がないのも事実だ。
それにしても、銀河連邦軍の勢力圏内で、このような不可解な事態が罷り通っている理由が分からない。
同盟国の地球統合政府から駐留艦隊の撤退要請が出される辺りに、根深い不和を招く何かがあった筈なのだが……。
現左翼政権が軍縮路線を強硬に推し進めているという理由ぐらいしか、めぼしい事象は見当たらないのだが、それが全てだとも思えない。
(やはり、あの艦隊襲撃の件に何かしらの関係があるのだろうなぁ……とは言え、それが何なのか……)
手懸かりがない状況で一人悶々としていても良い考えが浮かぶ筈もなく、達也は席を立って教官室を後にした。
正面玄関に向かう道すがらで擦れ違う候補生達には、挨拶をして来る者もいれば、笑顔で黙礼する者もいる。
先日の航宙研修時の戦場での奮戦が表沙汰になった事で、候補生達の達也を見る目にも、僅かながら変化の兆しが表れていた。
相変わらず根も葉もない悪質な中傷や風聞が流れてはいるが、それを真に受ける候補生は明らかにその数を減じている。
達也とて人に好かれれば嬉しいし、嫌われれば陰鬱にもなる普通の人間だ。
とは言え、率先して御機嫌取りをしようとまでは思わないが、候補生らへ丁寧に挨拶を返す程度の労を惜しみはしない。
それによって、自分の教え子たちへの風当たりが少しでも収まれば良い、達也はそう願って已まないのだった。
ものの数分で校門を出て、学校前の待機所にいた無人タクシーに乗り込み北部の繁華街を目指す。
目的地は中心街にあるブランド店が軒を連ねるアーケード街だ。
メイン通りの停留所でタクシーを降り、重厚なデザインのアーケードを潜るや、途端に周囲に買い物客が増えた。
人波を避けながら品定めを兼ねて、ブランドストリートをゆっくりと歩く。
レンガを敷き詰めて舗装された瀟洒な小径の両脇には、磨きあげられて美しい光沢を放つショーウィンドウがずらりと並んでいる。
お洒落な婦人用衣料品の店から、若者に人気のブランド衣料メーカーの店々が、それぞれの個性を競い合っている様は華やかの一語に尽きた。
人気の小物店や高級時計店、女性用の高級化粧品店や宝飾品の専門店が、自慢の商品を陳列しており、道行く老若男女問わず大勢の客の視線を集めている。
そんな人並みに紛れてショーウィンドウを物色していた達也は、古びた門構えが特徴的な宝飾店の前で足を止めた。
そして、ガラスを隔てた中に展示してある商品に視線を釘付けにするや、思わず感嘆の吐息を漏らしてしまう。
漆黒のビロード布の上に大小二つの桜が咲き誇っている様は、武骨な達也を以てしても、美しいと思わずにはいられない一品だった。
桜といってもそれは宝飾品で、説明書きには女性用の髪留めだと書かれている。
プラチナで台座と桜の枝が拡がるさまを再現し、その枝先に小さく砕いて研磨された無数のピンクサファイアを、絶妙のバランスで飾り付けた逸品が上品な光沢を放っているのだ。
同じデザインの大小の髪留めが仲良く並ぶ姿が、クレアとさくらの母娘と重なって見えてしまい、僅かばかりの呵責に胸が痛む。
(彼女には世話になりっ放しで万分の一の感謝も返せてはいないな……)
長年の懸案だった帰省問題もクレアのお蔭で穏便に解決できた。
あの夜に背中を押されなければ、今でもグズグズと躊躇い後悔を引きずっていたに違いない。
然も、日々御馳走になっている美味しい料理も、材料費程度のお金しか受け取って貰えず、非常に申し訳ない気持ちを持て余してもいた。
だから、柄にもない言い訳を取り繕ったのかもしれない。
(恋人でもない女性にアクセサリーを贈るのは野暮かも知れないが、さくらちゃんと御揃いの品ならば問題ないだろう)
尤もらしい理由をつけて自分の背中を押した達也は、アンティーク調の木製扉を開けて店の中へと足を踏み入れた。
白壁で統一された明るい雰囲気の店内には機能的に配列された大小様々なショーケースがあり、その中には一目で高級品と分かるアクセサリーが陳列されている。
その華やかさに感嘆の吐息を漏らしていると、洗練された身のこなしの老紳士が歩み寄って来るや、丁寧に頭を下げて歓迎してくれた。
「いらっしゃいませ。ようこそおいで下さいました。私はこの店の主でございます。当店は主に宝飾品の販売と、お客様の御要望によって、加工を施す商いをしております……本日はどの様な品物を御求めでございましょうか?」
「実は、店頭のショーウィンドウに展示してある、桜を模した髪留めを購入させて戴きたいのですが……」
「あれは、二つでひとつの商品ですが、よろしいのですか?」
「はい。贈る相手が二十代半ばの女性と、五歳になるお嬢さんなのです……大きさも丁度良いし、母娘御揃いの品物というのも良いだろうと考えたんですが……」
「さようでございますか、暫くお待ちください。今、品物を取って参ります」
そう言って鍵束を取り出した店主は、ショーウィンドウの施錠を解除し展示してあった品物を取り出す。
そして、傍にあった小さな丸テーブルの上に丁寧に置いてから、近くで見る様にと達也を促した。
間近で見るその髪留めは上品な品物で、室内灯の光を受けてキラキラと輝く桜が一段と艶やかな風情を醸し出している。
その繊細で洗練された雰囲気がクレアとさくら母娘に似合うと確信した達也は、すっかりそのアクセサリーを気に入ってしまった。
「差し支えがなければ、是非とも購入させていただきたいのですが?」
「ありがとうございます。これを製作した職人はまだまだ若手の域を出ませんが、彼自身の渾身の作であります。貴方様のような御方が御求めになられたと知れば、きっと喜ぶでしょう」
そう言って破顔した老店主は見栄えの良い包装を施すため、奥に控えていた女性店員を呼んで細かな指示を与える。
それを待っている間、何気なくショーケースに飾られたアクセサリーを見ていた達也は、宝石は取り付けられていないものの、様々なものをデザインして形作られたプラチナ製品が並んでいる棚に眼を止めた。
「オーナー? こちらの品物は石が入っていませんが?」
その問いにオーナーは相好を崩す。
「そちらの商品は工房の若手がデザインしたものです。お客様のお好みの石を合わせて、ペンダントやイヤリングとして販売しているのです。比較的安価ですから、二十代の若いお嬢様方に人気があるのですよ」
オーナーの説明を聞きながら品定めをすると、デザイナーの力量の影響なのか、様々な方向性が見て取れて面白いと感じてしまう。
特に目を引いたのは、斜めに連なる三つのハートを黄金の矢が射貫いているデザインだった。
その時、過去に戦功著しいと認められて下賜された勲章を、次元ポケットに放り込んだ儘にしているのを思い出した達也は思案する。
(あれに付いていた石に、大層な由来があった筈なんだが……)
空間に空けた亀裂に手を突っ込んだ達也は、驚く店主をしり目に次元ポケットを物色してお目当ての品物を探り当てた。
それは鶉の卵大の真紅のティアドロップ。
その紅玉を見たオーナーの顔が一瞬で驚愕の色に染まった。
「そ、その石はっ!? まさか《エルフィン・クイーン》でございますか?」
エルフィン・クイーンは厳密には研磨されて宝石に加工される石ではなく、希少鉱石に分類されるものである。
銀河系北部辺境域の惑星でしか産出されない代物で、主に高性能光学機械の部品として使用されていた。
だが、この希少鉱石を有名足らしめているのは、『願いが叶う奇跡石』と伝承に謳われる、ロマンチックな御伽噺に他ならないだろう。
それ故に、その真紅の光沢を放つ石は、多くの女性が一度は身につけたい宝石として、巷では高い評価を得ているのだ。
しかし、産出量は微々たるもので、加工部品の原料以外は全て銀河連邦評議会に於いて管理されており、一般市場に出回る事はない。
連邦評議会はこの希少鉱石を、毎年各分野で著しく活躍した功労者や科学者に贈る賞の副賞として、そして、軍人に与える勲章の装飾品として使用していた。
達也がエルフィン・クイーンを所持していたのは、戦果を認められ表彰を受けたからだ。
因みに、この二年間だけでも貰った勲章は十個になっており、真紅の妖精女王様があと五つほど次元ポケットで安眠している。
「そうです。有名な【妖精女王】です。私は銀河連邦宇宙軍の軍人でして、過去に拝領した勲章についていたものなのですが……これを加工して、そこの三連ハートのペンダントを二つ……出来れば今週木曜日の夕方までに仕上げて貰いたいのですが、難しいでしょうか?」
「それは可能でございますが……この鉱石は非常に脆い石ですから、加工の段階で大小に分解され、屑になる部分も少なからず出てしまいますが……」
店主は達也の提案に否やは唱えなかったが、折角の希少石が無残な姿になるのには職人としての逡巡が働いたのか、本意ではないとばかりに渋い顔をする。
達也は暫く考えてから店主に提案した。
「それでは加工して残った物については、全てこの店に寄贈させていただきます。貴方が有望と認めた若手の作品に御褒美として飾り付け、彼らの創作意欲の高揚に役立ててはいかがでしょう? 勿論対価を要求したりはしませんし、お客様に販売していただいても構いません」
「い、いや、それはっ! それでは、貴方様だけが損をする事になりますぞ」
「私は気に入った品物を手に入れられるのですから、あながち損とは言えないでしょう。それに砕かれた品物では伝説の御利益も期待薄でしょうから……仕上がりの時間などで無理を言っているのは承知しておりますので……どうかよろしく御取り計らい下さい」
さすがに恐縮する店主と交渉の末、譲渡する分の石の対価として、特注品のペンダントについては代金を無料にする事で折り合いがついた。
木曜日の夕方に品物を取りに来る約束をして店を後にした達也は、思いがけずに良いプレゼントを手に入れられたと心が浮き立ってしまう。
(ふたりとも、喜んでくれたらいいんだが……)
クレアとさくらの笑顔を思い浮かべると、自然に頬が緩むのが分かる。
自分らしくない態度だと苦笑いした達也は、家路を急ぐ人々の波に紛れて家路につくのだった。
◇◆◇◆◇
マンション前で無人タクシーを降りたのだが、今日はさくらのお出迎えはなく、少々物足りなさを覚えてしまう。
時間はまだ夕方の六時前で、傾く夕陽が周囲をオレンジに染めているとはいえ、いつもであれば、まだ外で遊んでいる頃合なのだが……。
(あの娘にしては珍しいな。今日は早く帰宅したのかな? それともローズバンクさんの仕事が早く終わったのかも知れないな)
一人で勝手に納得しながらも、念の為にと前庭の公園を覘いてみると……。
予想に反してオレンジ色の景色の中に少女はいた。
お気に入りのブランコに一人で座っているさくらと、頭上の支柱の上に鎮座するティグル。
その見慣れた光景を目にして口元を綻ばせたのだが、公園に足を踏み入れようとした瞬間、少女の様子がおかしいのに気付いて足を止めた。
いつもと変わらない無邪気な笑顔なのだが、不思議にもさくらの口元が忙しなく動いていており、時折笑い声まで上げているのが見え、その不自然な様子に達也は小首を傾げてしまう。
ティグルに話しかけているのかと思ったのだが、幼竜は鉄製の支柱の上に寝そべって我関せずとばかりに大きく欠伸をしており、さくらに構っている様子はない。
漠然とした違和感を覚えた達也は、気配と足音を消して木々の間を縫うようにしてブランコへと接近した。
「えへへ……うん……そう……えぇ~~……だよぉ……」
呟くような断片的な声音が、風に乗って耳に届く。
白い歯を見せながら微笑むさくらが誰かと会話をしている様にしか見えないのだが、周囲に人影はなく携帯端末を使っている様子もない。
達也は訳が分からずに小さな吐息を漏らしてしまったのだが、その気配を察したティグルが警告するかの様に鳴き声を一つ発する。
隠れる必要がなくなった達也が立ち上がるのと、驚いた顔のさくらが彼を見たのは同時だった。
クリクリの黒い瞳を見開いて可愛いお口を両手で隠す少女。
その愛くるしい仕種に追及の矛先が鈍ってしまいそうになるのを我慢した達也は、殊更に厳めしい表情を作って見せた。
「ただいま、さくら。どうしたんだい? 随分と楽しそうにお喋りをしていたみたいだけど?」
子供相手に迂遠な駆け引きをしても仕方がないので、ストレートに問い質す。
すると、急に挙動不審になった少女は、口を両手で押さえたまま頭を左右に振り立てるのだ。
然も、それは、あからさまに白々しい言い訳付きだった。
「お、おかえりなさい! えへへっ……うんとねぇ、おしゃべりじゃないのぉ……一人おままごとをしてたんだよっ!」
「一人おままごとぉ?」
さくらの答えに意表を衝かれた達也は一瞬惚けてしまう。
「ティグルぅぅ! ママに叱られちゃうからお家に帰るよっ!」
その隙を見逃さずブランコから飛び降りたさくらは、一目散に公園を飛び出して正面玄関へと駆け込み、必死に羽ばたくティグルが後を追いかけていく。
その微笑ましい様子を呆然と見送るしかない達也だったが、胸に蟠る正体不明の何かに不安を懐き、暫しその場に立ち尽くすのだった。
◇◆◇◆◇
朝食と夕食は学年毎に決められた時間に同一メニューを食べると、伏龍士官学校では決められている。
唯一の例外が昼食であり、これは候補生の自由裁量に任されていた。
食堂でランチメニューから選ぶも良し。
売店で軽食を買って好きな場所で食べるも良し。
学校から近場のお店で弁当を買うのも良し。
勿論、許可さえ取れば飲食店での外食も可能である。
但し、昼休みの時間はとても短いので、わざわざ外に出る物好きは殆んどいないのだが……。
白銀組の四人は、毎日揃って夕食の席を囲むようにしていた。
その日の授業内容を論じ合い、意見交換をしながら問題点を指摘して解決方法を検討する為にである。
なにも食事の時間までも……と陰で笑う級友達の視線など気にもしない四人は、周囲の喧騒も無視して会話に没頭していた。
「明日から私と蓮は操縦訓練のヴァーチャルシステムも受けるのよね……やる事が多すぎて時間が足らないわよぉ」
「それでも上手くやり繰りして特訓しないと、仮想空間でさえ満足に操縦できないんじゃ、実機での訓練なんて夢のまた夢だからなぁ」
蓮と詩織にしてみれば、幼い頃からの憧れの延長線上で戦闘機課を希望したのだが、達也から詳しい説明を聞いて己の浅薄さを後悔せずにはいられなかった。
「今週は木曜から四連休だから無駄に空き時間があるからな。休日や放課後も訓練できりゃぁいいんだが……」
「基本的に白銀教官が一緒じゃないと、リブラに乗船できないしね。でもヨハンの言う通りだよ……もっと訓練したいよね」
ヨハンと神鷹が溜息交じりに顔を見合わせた。
彼らが揃いも揃ってネガティブでいるのは、自分達の成長を実感できないからに他ならない。
順調に成長する教え子達を慢心させない為に、達也が訓練のレベルを調整している等とは気付きもしない彼らは、連日の訓練で一矢も報えずに負け続けている現状に忸怩たる思いを懐いているのだ。
全員で挑んではコテンパンにされて、自分の非力さ、無力さ、未熟さを嫌というほど思い知らされ、悔しさに歯噛みする日々はまさに地獄のようだと言えた。
「……だからと言って逃げ出すわけにはいかないんだ! 俺は学年最下位であとがない身だ。でも、白銀教官は当然のように教務を引き受けてくれて質の高い授業を与えてくれた。せめて教官が優秀なんだと証明したい! 他の教官が言うような、いい加減な人ではないと!」
この問題になると誰よりも熱くなる蓮の言葉に詩織も相好を崩す。
「冴えない外見は兎も角として、軍人として一級品であるのは疑うべくもないわ。御自分の事は二の次で、いつも私達を第一に考えて最善の方法を選択してくれる。でもさぁ、もう少し欲張って身だしなみに気を遣えば、それなりに女性にもモテると思うんだけどなぁ~~」
「如月……お前さ、貶すのか褒めるのか、どっちなんだよ?」
ヨハンの呆れたと言わんばかりのツッコミに蓮と神鷹もウンウンと頷く。
詩織が可愛らしく舌先を出して恍ける姿を無視して、ヨハンは急に顔つきを険しくした。
「でもよぉ、そんな優秀な白銀教官が、どうして太陽系なんかの辺境に左遷されたんだ? 傭兵あがりで前任地で問題を起こしたからだと聞いちゃいるけれどよ……上官反抗は重罪だ。士官とはいえ尉官クラスでは、左遷なんかの軽い処分で済むわけがないんじゃないか?」
「確かにそうだね……志願して傭兵契約から特別任官を果たしたのは凄いけれど、昇進は最高位で少佐まで。それ以上昇進出来ない士官に上層部が目を掛けるなんて有り得ないしね」
ヨハンに続いて神鷹も否定的な意見を口にする。
彼らが懐いた共通の疑問は蓮も詩織も以前から不思議に思いながら、達也に聞く機会を逸していた事だった。
四人とも父親が軍属であるため、軍人という存在が軍法の下で如何に厳しく管理されているのか良く知っている。
それ故に白銀達也という軍人に、ある種の胡散臭さを感じてしまうのだ。
とはいえ、それはやむを得ないのかもしれない。
達也の実像を知る術のない彼らに、巧妙にカムフラージュされた真実を看破しろと言うのが無茶な話なのだから。
大尉という階級は詐称されたものであり、本当は地球人初の銀河連邦宇宙軍将官だという事。
信じられない程の数多の武勲を以て名を成し、銀河連邦軍内どころか評議会内部の高官でさえもが、彼の存在を無視できないという事実。
寧ろ、こんな荒唐無稽の話を信じろという方が無茶であろうし、滑稽であると一笑に付されても仕方がない内容なのだ。
教え子達が煙に巻かれるのも当然だし、だからいつもの結論通りに『今度、教官本人を問い詰めてみよう』という代わり映えしない結論に落ち着くしかなかった。
だが、彼らは気付かない内に、白銀達也という軍人から数多の恩恵を受けるという幸運に浴しているのだ。
今は無自覚であっても、いつか自分達の決断が正しかったのだと知る日が来るだろう。
しかし、そんな未来を予測する術は今の彼らにはないし、況してや、今後の人生を左右する重大な選択を迫られる事態が間近に迫っているとは、知る由もなかったのである。




